よりどころのない妹は、何でも言いたいことを言う姉を、隣でずっと見ていた。何も言わずずっと。五十嵐貴久「リカ」「リバース」
「リカ」は何回も読んだから、もう読んでいない。
出会い系にハマった男がハマりすぎ、ついには殺され…るよりもはるかに恐ろしい事態になってしまう。舞台も一つだった。
相手の女、「リカ」はその声とおしとやかな文面で相手を虜にする。「リバース」はリカが誕生するまでの物語だ。
しかし「リバース」、情報量が多すぎて…。
もちろんネタバレ含みます。※解釈は人それぞれですが…。
一度は読んだことがある。ふと今日、急に読み返してみた。感想は…。
あれ、こんなに色々と起こってたっけ…。
両脇に差し込まれた腕が、使用人の幸子の両脚を切りつけ、バスルームへと運ぶ。
バスルームには、ピンクのパジャマを着たもう一人の遺体…。
麗美(母親、奥様)か?あれ。違うな。昔読んだ記憶では、確か双子の妹、結花(姉の梨花と違っておとなしく、虐げられている)が梨花を殺してなりきったって解釈だったんだけど…。
昔から母親が着せるのは、女王様のような姉にはピンク、控えめでおとなしい妹には水色だった。
バスルームで倒れているのはピンクのパジャマってことは梨花…だけど、昔から賢くて、ませていた梨花は結花の水色のパジャマと交換し、結花のふりをして現れたのかと思った。
血だらけの空間で楽しそうな少女。高笑い。性格的に姉の梨花のほうと考えるほうが自然だ。
幸子は旦那様の不倫相手を殺したのは奥様だと思い込んでいたけど、私は読みながら「梨花だな。パパを奪られたから。」と思っていたから、
動物が残虐な方法で殺される、一連の不気味な事件を「この辺に変な人がいるみたいだよ。とっても怖い。だからあたしとこの家に一緒に住んで」なんて好きな家庭教師にすがりついて、わざとらしいにもほどがあると思っていた。
だけどやっぱり、結花だ。
どこにもすがるものがなかった結花のほうがよっぽど病んでいて、「リカ」のようになりそうだし、ところどころにそんな表記があった。
双子なのに結花様の方が少し背が高いのです。
結花様は病床の間、文通を楽しんでおられるようでした。
結花様はそのお茶を飲ませられると、体が痩せ細り、黒くなっていったのです。また妙な匂いが鼻をつくようになりました。
結花様は梨花様より運動が苦手ではないようです。
リレーの選手に選ばれたようですが、辞退したのでした。
うーん、やっぱり結花だな。
あんなに大人しく、常に姉に従い、感情も出さず、ただうなずくだけ…。
「リカ」で男性を翻弄するその声も、姉から話さないように言われたのか。
何でも思い通りにならないと気が済まないその性格も、
会って間もないのに、6つも年上の幸子の両脇に腕を差し込んで、体を触ったのも梨花。
結花はただ横で、じっと梨花をみていた。
「お姉様のようになりたいと」、
そんな眼差しで。家政婦の幸子はいつもそう感じていた。きっと結花様もお姉さまと同じ思いなのでしょう。幸子の感想はいつしかそればかりになっていた。
幸子が心配でついに長野県から東京を訪ねてきた神父さん。
この雨宮家に家政婦として幸子が働くことになったのも、この神父さんのつながりだ。
『雨宮家におぞましい何かが潜んでいることに気づいていた。はっきりとその正体が何なのかはわからないが、邪悪で狡猾な何かだ。わからないからこそ恐ろしい何か。異常なまでに残虐で触れてはならない魔…。』
結花、お姉様になれたんだね。
でも結局は、なれなかった。
「リカ」を読んだ私はそう思う。
残り2つのシリーズも読んでみたいな。なんだったっけな、タイトル…。
確か、「リ」から始まる………
サポート受けてみたいなぁ…。