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政策立案とマーケティング

 政策の立案、見直しをする上では、マーケティングの考え方が重要である。

 例えば、創設した制度の利用実績が芳しくない場合において、利用実績の向上のための施策を検討することとする。この場合において、まず組織内で起こる典型的な議論が、「もっと周知徹底を図ればよいのではないか」「ではHPや自治体の窓口などでわかりやすくPRしよう」というものである。

 問題は、利用実績が伸び悩んでいる原因を特定しない、又は特定の密度(制度が対象としている人々、内容ごとの詳細なレベル)が薄いままに、経験則・感覚で改善策を打ち上げてしまうことである。さらに、改善策がターゲットに届くまでのプロセスに係る検討密度も薄いことが多い。

 すなわち、制度という「商品」を「ユーザー」たる国民(制度対象者)を届けるにあたって、マーケティングの考え方が反映されていないのである。

 マーケティングとは、一般的に「商品が売れるための仕組みづくり」であり、究極的には売り手が何もしなくても自然と商品が売れていくような状態を目指すものである。そのプロセスとしては、概ね、マーケットリサーチ→ターゲティング→商品開発→プロモーション→効果検証となっている。

 行政においても、制度が使われるための仕組みづくりに取り組むことは重要である。特にリソースが限られている中にあっては、マンパワー頼ることはできないため、その必要性はますます大きくなっている。

 公務員の業務の中では、特にターゲティングとプロモーションの部分が弱いと感じる。確かにターゲットとの距離が遠いという側面はあるのだが、ターゲットの絞り込みが十分にできておらず、従ってターゲットを意識した有効なプロモーションも打ち出せないという結果に終わってしまっているのだと思う。

 役所の中では、マーケティングに精通している人はほぼいないと言っていい。実際のビジネスを通じて身に着ける部分が大きいと考えられるため、もっともかもしれないが、それゆえにそのマインドだけでも頭の片隅においておけば、差別化できるかもしれないと感じている。自分も、何らかの方法でマーケティング力を磨いていきたい。

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