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【EBISU BUSINESS CONTEST】グランプリインタビュー ~恵比寿で働く人たちの「隙間時間」をリフレッシュできる有意義なものに~


さる9月24日(木)に開催した、ビジネスコンテスト「EBISU BUSINESS CONTEST 2020」の最終審査会で、株式会社VooK(以下、「VooK」)がグランプリに輝きました。

今回は、ビジネスコンテストを主催するサッポロ不動産開発株式会社(以下、「サッポロ不動産開発」)の青田啓吾さん、そしてVooKの白髪勇太さんと西方 亮さんに、コンテストを開催した背景や応募したきっかけ、こののちの展望などについてお話を伺いました。
(聞き手:ゼロワンブースター水野)

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青田啓吾さん(サッポロ不動産開発株式会社 事業開発部 担当部長)
白髪勇太さん(株式会社VooK 代表取締役)
西方 亮さん(株式会社VooK 取締役)


1. 恵比寿で「働く人」にどんな価値を提供するか?

—— サッポロ不動産開発では新規、既存問わず、様々な事業に取り組んでおいでかと思いますが、その中で、今回のビジネスコンテストはどのような位置付けになるのでしょうか?

青田さん:
私どもサッポロ不動産開発は、サッポログループとゆかりの深い恵比寿銀座札幌で不動産賃貸事業を行っていますが、主要施設ができてから年を重ねていることもあり、さらなるバリューアップ、アップデートが必要と考えています。

例えば、恵比寿で考えた場合、渋谷などの周辺地域も再開発を行っていますし、“恵比寿らしさ”や周辺地域と差別化された価値といったものを提供していかないといけないな、と考えています。昨今の生活者の嗜好の多様化を踏まえて自分たちの力で新しい提供価値を生み出していくという選択肢もありますが、特にデジタルの領域については自社のリソースだけでは難しいところもあります。

そこで、社外の方々の新規事業開発をご支援する、または、社外の方々の力をお借りして私どもサッポロ不動産開発のアセットにバリューアップやアップデートをもたらしたいという思いで、オープンイノベーション型の取り組みを始めました。そういった中で、昨年と今年についてはビジネスコンテストを開催しています。

去年は広いテーマで募集させていただいたこともあり、お陰様で応募数が非常に多かったのですが、今年はあえてテーマを少し絞りました。

私が所属する事業開発部において、新規事業開発として不動産賃貸業領域以外の事業領域拡大を目指していく中で、事業開発の方向性や課題として感じているところをお伝えして、一緒に事業創出を検討いただける事業者様にとっても我々にとっても、お互いの目指している点を絞り込むことで、Willを一致させることができると良いと考えたからです。

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—— 今年のビジネスコンテストでは、「働く」ということにフォーカスしていました。決まった背景をお伺いできますでしょうか

青田さん:
私たちは、まちや社会とともに豊かな時間と豊かな空間を創り、育むという経営ビジョンを持っています。また、こうした価値を提供していく場というと、やはり恵比寿ガーデンプレイスのような複合商業施設が中心になります。ですので、ここで多くの時間を過ごしている方々、「働く人」にまず目を向けました。

その上で、不動産賃貸業として豊かな空間の提供はできるけれども、もう少し踏み込んで、「時間」にフォーカスしたいと考えました。働く人にとっての時間、例えば移動時間、ランチの待ち時間、エレベーターの待ち時間などがありますが、これらの中には無駄なものがあったり、逆に必要な時間があったりすると思います。

例えば、気持ちをリフレッシュするための時間は、もっと充実させたいですよね。こうしたこともあり、「働く人にとっての時間の使い方」にもフォーカスし、「働く人×移動」「働く人×場所」「働く人×リフレッシュ」というテーマを設定しました。

—— 今回、ビジネスコンテストに95件の応募が寄せられました。印象はいかがでしたか?

青田さん:
ちょうど我々がビジネスプランの募集を開始する時期に緊急事態宣言が発令されるなど、新型コロナウィルスの感染拡大時期とタイミングが重なったこともあり、リモートワークにおける場所提供業務支援や、飲食店の支援といった切り口の応募が予想以上に多かったように思います。

今回グランプリになったVooKさんのように「デジタル×リフレッシュ」のような文脈を持つサービスや、組織のエンゲージメントなどのリモートワークの普及に伴い生じてくるコミュニケーションコストに対するソリューションなど、私たちが想定していなかった切り口のアイデアをいただいたりするなど、良い意味での新鮮さがありました。

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2. 「本で得られる体験」をデジタルで届けたい

—— ここで、VooKのお二方にもお話をお伺いしたいと思います。貴社では、書籍を動画で紹介するサービスを展開していますが、事業を立ち上げた経緯や内容についてお聞かせください。

白髪さん:
私たちVooKは、前職の野村證券の同僚とともに立ち上げた会社です。前職に新卒で入社した当時、一番大変だったのは、株や保険、不動産、投資信託など、全く知らないものを一から勉強しながら営業しなくてはならないこと。

毎朝4時半に新聞が届いてから7時の出社までにすべて読み、夜は寮に帰ってお風呂に入って食事をして、なんだかんだで夜9時から、株や債券を勉強したりお客様とのトークの組み立てを考えたりしなくてはなりませんでした。その中で、勉強のために本を買ったけれど自分が欲しいと思えるような内容ではなかったことも多く、「何とかならないのか?」と思ったのが始まりです。

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しばらくして、寮で一緒だった同期の西方さんに「本の要約ってあったらどう思う?」という話をしたのがきっかけで、「もしビジネスにするとしたら?」「得意先の社長さんがどういう経緯で会社を立ち上げたのか、研究してみよう」ということになりました。

この頃はまだ、「起業はしないけれども、起業をするまでのフローを自分たちで勉強しよう」という感じでしたが、研究するうちに「あれ?俺たちもできるのでは?」と考えるようになって、入社してから3年が経ったころに前職を辞めて起業しました。

—— なるほど、ご自身のペインから事業のアイデアを育てていったんですね。

西方さん:
はい、事業の始まりは自分たちの「悩み」です。「もっと自分の欲しい情報を届けられたかった。だからこそ自分たちのサービスでお客様に届けたい」という思いが根底にあります。

実際、丸の内のサラリーマンにヒアリングしてみると、皆さん同じ悩みを抱えていることが分かりました。「読むのが面倒くさい」の次に多かった回答が「時間がない」。これを解決したいと思いました。

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白髪さん:
例えば1000年後の世界では、今のように本は読まれていると思いますか?私は恐らく読んでいないのではと思っています。チップを埋め込んだり、VRだったり、他のやり方で読まれているのではないでしょうか。その第一歩が、我々の取り組んでいる本のデジタル化だと思います。

これから5Gの時代がやってきます。今の中学生、高校生は動画で検索するのが当たり前。これからデジタルの世界になると皆が分かっている中で、今の紙の媒体で良いのでしょうか。本の体験をデジタルで届ける時代が到来するにあたって、私たちは、デジタル化のお手伝いをしたいと考えています。

—— 現在はどのような形で事業を展開しているのでしょうか?

白髪さん:
本の内容自体を要約しましょうというのは、出版社としては難しい話です。「要約したら本は読まれなくなってしまうのでは」と思われていますから。一方、本の紹介は電車の中で貼られているポスターなどが主流。では、まずはそれを映像化してデジタルで配信して、それがどのくらい販促につながるか、動画の汎用性がどのくらい高いかを知ってもらおう、と考えました。

実際に新宿の書店で映像を流していただいたところ、モニターの前で立ち止まってくれる人が多くなり、販売実績につながるといった結果を出すことができました。まずはこうした形で販促として出版社さんに活用していただき、浸透したら次は「本の要約」について取り組んでいければと考えています。

他にテキストベースで本を要約しているサービスもありますが、映像の方がより視聴者の印象に残りやすくなりますし、もっと手軽に楽しんでいただけるものになると思っています。

3. 恵比寿という街だからこそ提供したい、新しい価値

—— 今回のコンテストのテーマとVooKのビジョンには、通底するものがありますね。

白髪さん:
僕も本当にそう思いました!僕は「移動中の時間」が無駄に思えて、とても嫌いなんです。無駄に過ごす時間があったら学ばないと、と思っているのですが、「本を読む」という行為はハードルが高いんですよね。だからこそ、今回の「働く人×移動」を見たとき、「これだ!うちのソリューションで絶対にお手伝いできるものだ!」と思ったんです。

私たちが目指しているのは、”勉強している”と思わせないような動画。自分が勉強嫌いなので(笑)。リフレッシュにもマッチしていますし、移動時間の課題も解決できます。また、恵比寿はハイセンスで情報感度が高い人々が集まっている場所ですから、私たちの動画が活躍できるのではないかとも考えました。

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—— 恵比寿という街ならではの、そこで働く人たちのための新しい価値が提供できそうですね。この後の展望をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。

青田さん:
VooKさんのソリューションは、隙間の時間をうまく活用して利用者が上手く活用可能なデジタルのソリューションだと思います。恵比寿ガーデンプレイスまでの道のりや、エレベーターやエントランスホールなどのちょっとした隙間時間、これまで当たり前だと思っていた移動や場所に、新しいソリューションとしてご提供いただくというのはあり得ることです。

それは新しい場所に価値を生んでいく、ひいては恵比寿ガーデンプレイスやまちを訪れる人々に新しい体験をもたらすことになるのではないでしょうか。いわゆるリアルとデジタルの掛け合わせを含めた、新しい取り組みとして期待したいと考えています。

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VooKさんが事業のグロースを模索する中でやりたいことを、どのように私たちと実現することができるのか、これからご相談していきたいと思います。次の一手を具体的に検討していきたいですね。

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青田さん、白髪さん、西方さん、ありがとうございました!

「EBISU BUSINESS CONTEST 2020」について、詳しくは下記をごらんください。
http://ebisu-business-contest.com


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