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【01Night】VCから調達すれば良いって訳ではない〜資金調達時 最初のポイント〜

こんにちは。ゼロワンブースターの大場と申します。

ゼロワンブースターは、「創造をルーティンに」をビジョンにアクセラレーターをメインに運営している会社です。 

ゼロワンブースターでは、01Night と表して、オンライン配信を積極的に行っています。

前回は、「スタートアップの採用戦略」について人材会社の代表をお呼びしてお話をしました。

下記にイベントレポートがございますので、ご興味あればご覧ください。

今回は私も登壇させていただいた「01Night VCから調達すれば良いって訳ではない~資金調達時 最初のポイント~」についてレポートをまとめています。

▼この記事はこんな方におすすめ
1.起業したて(する予定)の方
2.資金調達に向けて動き出した方
3.ベンチャーの資本政策に関心がある方

-----------------------イベント概要-----------------------

【オンライン・無料】0→1Night
ベンチャー企業にとって資本政策はとても重要な要素です。事業としてどのようなシナリオを描くかにもよりますが、ベンチャーキャピタルから資金調達を検討している人も多いのではないでしょうか。今回、ベンチャー企業のCFOとして資本政策の舵取りを行い、現在は、フリーランスCFOとして活動されている神田さんをお招きして、起業早期での資金調達のポイントについてお話します。
▼神田さんの経験
「立ち上げ当初から売上数十億まで」
「数十回の資金調達を経て感じたこと」
「ど素人から始めて、フリーランスCFOになるまで」
▼トークテーマ
・最初の資金調達のタイミング
・事業にあった調達方法
・銀行との上手い付き合い方
▼登壇者
・神田 英富
2006年龍谷大学法学部卒業後、日興コーディアル証券株式会社(現・SMBC日興証券株式会社)入社。その後、2008年に設立一期目の株式会社フリープラスに入社し、管理部門の立ち上げ、資金調達や上場準備等を担当。デット・エクイティ合わせ数十億円の資金調達を経験。2015年に同社取締役に就任。管理本部長を務め、2019年同社取締役を退任。

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・大場 翔太
大学卒業後、新卒で⑭山口フィナンシャルグループへ入社。法人営業担当として中小企業向けの資金調達を中心に、資金運用、債権管理、新規開拓業務を行う。福岡、広島での勤務を経て、2020年2月より01Boosterに参画。

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・木本 恭介 KYOSUKE KIMOTO
2001年日本技術貿易⑭に入社後、日本・米国市場を中心に、特許調査・分析案件に従事。専門分野は、情報通信分野で、主な顧客は、国内の大手電機メーカーをはじめ、通信事業者、自動車メーカー、複合機器メーカー、ゲームメーカー、など、国外は米国・欧州を中心とした各国弁護士事務所を担当。2017年からは、特許庁主導の中小企業支援事業の一つ、『中小企業知財金融促進事業(知財ビジネス評価書作成支援事業)』に、調査会社の一つとして参画し、社内にて当該プロジェクトを主導、地方金融機関向けに、融資先中小企業の事業性評価を行う業務にも従事。2020年1月より01Boosterに参画。工学修士、MBA。

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神田さんからのアドバイス~資本政策から銀行との対応まで~

はじめに、神田さんの経験談を踏まえながら下記の太文字の項目について、アドバイスをいただきました。

▼資本政策
・とにかくエクイティ、ではなく他の手段も検討する。
・1回目のEF(エクイティ・ファイナンス)の前と後ではできること全然違うので、最初からよく考えておく(SO:ストックオプション、資産管理会社など)

▼EF→株価がつく
デメリット:株価つくと後戻りできない
→株価がついてからだと余計な税金が生じる場合があるなど、不都合が生じる場合がある。

▼「後先考えずに突っ走る」は避けるべし
→先に資産管理会社作っておけばよかったというようなことにならないように。
→外部の知識を最大限に生かすべき。

▼種類株は最大限注意必要あり。
→VCやエンジェル投資家が良い人に見えて簡単にハンコを押すと、痛い目に合う場合があるので、ハンコ押す前に専門家の意見を取り入れる。

▼銀行とはうまくつきあおう。
→資金集めるたびに新しい銀行を開拓するのはしんどい。
→安定した良好な関係を銀行の担当者と築く。とはいえ、一つの銀行にだけ頼るのもよくないため、比率を意識しながら借り入れをする。

▼しんどい時に社長が資金繰りを考えるのは△
→経理担当の出番。

資本政策を策定したうえで、今どの段階にあるのか、メリット・デメリットをきちんと把握することが大事ですね。

早い段階から相談できるような専門家(税理士等)と関係を築いておくと、取りうる施策の幅が広がります。

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Q&A Part1:銀行との付き合い方

次に、今回のイベントでは多くのご質問いただきましたので、Q&Aをメモしてみました。

Q.1回目のEFの時はどうやって意識決定を?
A.(神田さん)社長が意思決定しました。外部の社長さんとかにも聞いたり、セミナーの最後に質問したり。

Q.複数の銀行と付き合う事業会社はどうなのか?
A.(大場)業種と規模によります。銀行って良くも悪くも横並びなので、他行の動きも気になります。

業種によっては、そもそも銀行取引自体があまり不要なもの(融資が基本的には必要ない現金商売の業態等)もあります。

また複数の銀行取引がある場合、基本的にはメインバンクの動きをその他の銀行は見る傾向にあります。

メインバンクが融資を断る→「メインバンクは多くの情報を持っているはず、非公開だが何か悪い材料があるのではないか?」、と考えるようなイメージです。

Q&A Part2:資金調達の失敗

Q.ベンチャーの世界が長い中で見てこられた資金調達の失敗談などがあれば伺いたい。フリープラスでも他社ベンチャーの事例でもOK。
A.(神田さん)失敗は、立て続けに4回の借入が必要になった場面でのことです。A行より、「全部うちで進めさせてください」→承諾。2回目までは通る予定だった。2回目の前に担当者が変わった。はしごを外された。そこから違う銀行にいったら、「いやいやA行でやるといったじゃないですか。」となり、しんどくなりました。

銀行員は顧客との癒着防止や職場(支店内)での不正防止等の観点から、一般的には2~5年で転勤します。

これは現場担当者のみならず、支店長や本部担当者にも同様です。

更に数か月~数年にわたるプロジェクトにおいて初期段階で大枠の承認(この場合はA行が「全額融資します」)をとっていても、複数回の融資実行の都度、その会社の業況を見ながら融資の可否を判断するケースが多いです。

銀行の担当者が変更となったタイミングで、後任がきちんとプロジェクト(スケジュールや融資のタイミング)を把握しているか、を確認することと、会社としてもプロジェクトの進捗だけでなく、会社の状況(景気が悪くなりそう等)も適宜銀行と共有しておくと、融資直前に突然断られるといったリスクの回避がしやすいです。

Q&A Part3:デットとエクイティ・ファイナンスのバランス

Q.デットとエクイティとのバランスは、どのくらい先を想定して計画されたのか?
A.(神田さん)上場時点を逆算して決めました。2014年からみると3年後4年後。上場するその意思決定はCEO。また、ビジネスモデル次第でもあります。例えば、最初から売り上げが立つ(ビジネスモデル)であれば、最初はデットで賄う(資金調達)。売上が立ってきたら、借入を返していく形です。

返済義務の生じるデットでは、返済の据置期間(通常は融資実行の翌月から返済がスタートしますが、返済のスタートを先延ばしする)を定めることも出来ますが、長くても1年でかつ合理的な理由が必要です。

(例:飲食店をオープンするのに設備関係の支払(融資実行)は4月に必要だが、オープンするのは5月から→返済開始は6月~等)。

当初から売上(融資の返済原資)が確保しにくい業種であれば、デットでの調達にはパワーがいるケースが多いです。

(ただし、デットでの調達が不可能というわけではありません)

Q&A Part4:外部環境と人材

Q.外部の知識を最大限使う際、アクセラレーターはどんなメリット・デメリットがあるか?
A.(神田さん)アクセラレーター事業を加速させるためのツールでしかないないです。メリットは例えば大手とのパイプができることや大手から出資受けられることですね。

Q.CFO人材の向き不向きはあるか?
A.(神田さん)先回りして目利きができることですね、また社長とCFOとで足りないところを補あえる関係だといいと思います。

Q.前職のCEOとの相性はどうか?
A.(神田さん)僕は怖がりなので、リスクを常に考えるタイプです。CEOはやりたいことを実現させるには常に考えるタイプでした。

Q.上場準備中止とすると、既存投資家(金融VC、事業会社)は EXITプランが一旦無くなるということか?どんなやりとりがあったのか?
A.(神田さん)上場する前提でお金を入れてるのに中止。VCからすると上場して欲しいから、いつ再開するかを今決めてください。と問われる場面もありました。

Q.金融機関はスタートアップのことをあまり理解してくれない。どうしたら金融機関と良好な関係を築けるか?
A.(神田さん)銀行の人って一括りにはできない。銀行の中にも色々な人いて、話わかってくれる人も中にはいます。知り合いのスタートアップ仲間に情報を聞いたりするのも良いです。

A.(大場)数字を持って銀行の担当者は判断するので、計画をしっかり作って、担当者に理解してもらえるまで説明すべきです。

銀行では顧客からの依頼や説明を聞き、それを担当が上司や本部に対して説明します。

担当者の理解が深まっていないと上司への説明があやふやになり、不明事項の確認に時間を費やしたり、「その会社大丈夫なのか」という不信感につながってしまうこともあります。

Q&A Part5:財務の対応

Q.現在社員5名、売上1億円未満の会社だが、具体的な事業規模によるタイミングやこんなことが起き出したら財務担当者をおくべき、というようなものがあれば教えてほしい。
A.(神田さん)この規模だと財務だけでなく、何でも屋になります。会社説明会の司会とかもやりました。

Q.財務担当者を置くときに、何を注意すればよいか?経験や能力なのか、社長との相性なのか。
A.(神田さん)待遇よりも会社のミッション・カルチャーに共感して入ってもらう。経理とかだとスキルマッチで選ぶと、衝突が起きる可能性はあります。

Q.デットの融資元が複数ある状態とは、民間だけでよいのか。
A.(神田さん)色々な金融機関と付き合うべきです。商工中金など政府系は他の金融機関と違った目線、独自の融資をしてくれる印象です。

A.(大場)政府系の公庫は入れたほうがいい。スケールしていくこと考えたら全国的に支店を持っている銀行が良いのではないでしょうか。

「メインバンク」の存在は必要ですが、(相談できる)調達窓口は多い方が良いと言われています。

ただし、事業規模と融資金額のバランスは大事であるため、「調達窓口を増やすために複数の銀行から少額融資を受けたが、トータルで見るとかなり多くなってしまった」とならないことが重要です。

銀行から政府系金融機関の紹介を受けるパターンもあります。(逆もあります)

Q&A Part6:資金調達と銀行

Q.資本政策を作って、その通りにいったか。
A.(神田さん)フリープラスはイメージ通り。SOの管理が大変で、割合を見ておく必要あります。

Q.事業転換の際は、銀行にはどのように説明されたか?私も元銀行員だが、事業拡大や事業変更の目には、疑いの目を持って見ていたので。
A.(神田さん)ありのまま説明するしかないです。単発の資金調達はできますが、長期的なお付き合いしていくには、事業を細かく理解してもらえるまで話す必要があります。

Q.デットでの調達で、ベンチャーに好意的な銀行とそうでない銀行はあったか?ベンチャーに好意的な銀行は、どのように見極められるか?
A.(神田さん)担当者がいい人が当たるかが鍵となります。

Q.ずばり、資金調達についてコロナの影響はあるか、コロナ空けはどうか。
A.(神田さん)2つの影響があります。1つは事業計画が見通しづらくなる、もう1つはCVCの内部事情が詳しくはないが、(CVCの判断への)影響が考えられることです。

Q.お話を聞きているとよい金融機関に当たるのは運かなぁと思った。どうしたら金融機関に好かれるか。
A.(大場)一番はちょこちょこ話する機会を設けるべきです。こうなるかも程度の相談でも良いので。

終わりに

今回は資本政策をテーマにお話しをさせていただきました。

事業を拡大していくうえで資本政策は欠かせない分野になりますが、事業拡大のことも考えながら、細やかな資本政策をCEO自身で税制面等も考慮しつつ策定していくのは大変な労力がかかることだと思います。

今回の対談を通して総括すると、

①エクイティファイナンス等を行う際には先々のことを考慮して決断を行う(「とりあえず」でやらない)、

②銀行付き合いにおいては「銀行」もそうだが「その担当者自身がどうか」も見極める、

③不確定事項であっても情報を共有する

といったところでしょうか。

かつて私が銀行にいたときに「顧客に対しては銀行の立場で。銀行の中では顧客の立場で」と上司に言われたことがあり、銀行内では担当先のCFOのつもりで上司や本部とやり取りをしていました。

「自社を理解し、そして応援してくれる」銀行担当者やVC、事業会社の方々と良い出会いがあることを願っています。

以上でレポートを終了いたします。ありがとうございました。

ご案内

以上で、「VCから調達すれば良いって訳ではない〜資金調達時 最初のポイント〜」の01nightのレポートを終わります。

今後のイベントはこちらから、案内を御覧ください。

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また、株式会社ゼロワンブースターでは、採用活動を積極的に行っています!

事業創造に興味がある方、ぜひ、お気軽にお問い合わせ下さい!

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Writer:大場 翔太(SYOTA OBA)

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大学卒業後、新卒で㈱山口フィナンシャルグループへ入社。法人営業担当として中小企業向けの資金調達を中心に、資金運用、債権管理、新規開拓業務を行う。福岡、広島での勤務を経て、2020年2月より01Boosterに参画。

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