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社内起業0→1チャレンジの道 vol.2 「事業はやってみなければわからない」

今回は、住友商事株式会社で開催されている事業案コンテスト「0→1チャレンジ(以下01C)」に応募された奥井さんへインタビューをしました。今回のプログラムを通じてご本人が学んだこと、変化したことについて色々お話を伺いましたのでぜひご覧ください。

奥井大介
大学院修士課程修了後の2006年に住友商事株式会社入社。主に農業資材、動物薬分野での事業開発・管理に従事。2013年から4年間南米(コロンビア・チリ)に駐在し、5か国で事業を行う広域農薬販売会社の立上げを担当。帰国後コーポレート部門在籍中の2018年に社内起業制度01Challengeに「世界の健康問題を解決する抗肥満薬開発」で挑戦。2020年より在ベトナム農薬販売会社の社長として奮闘中。

01Cの活動を通じて得た学びや気づきはありますか

枠に囚われずにアクションを起こしさえすれば、色んなことができそうだということは強く感じました。通常の業務では、それまでの経緯や資金面など制約要件を見がちですが、01Cに参加してみて、自分が制約要件だと思っていたことが実はそうではなく、違うところに課題があるというケースもありました。そのような事象には一歩踏み出さないことには気付くことができないと思います。

思考の枠を取り払って、「もしかしたらこうかも」と、殻を破って飛び出していこうと考える姿勢は01Cの活動で強くなったと感じています。

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具体的なエピソードはありますか

01Cに応募したのは、成功のリターンは大きいが通常の業務では取り上げにくいプロジェクトを、この制度を活用して次のステップに進めることができるのではないかという考えからでした。しかし、長期かつ成功確率の低いプロジェクトを取り上げることは、01Cの制度でも難しかったということは検討を進めていく中でわかってきました。

一方で、技術的な側面では外部の方に相談に乗っていただきアドバイスをもらう機会が多々あり、最初の仮説からの修正・改善点が多々ありました。専門家の中には最初から否定的な方もいれば、「面白い」と共感してくれたり、応援してくれる方もいました。実際にプロジェクトを実行しなければ分からないことが沢山あり、ロジックだけでは答えは出ないと感じました

01Cでの気づきは、今の仕事にどのような形で生かされていますか

現在はベトナムの事業会社で経営を担う立場で働いています。現場に到着してまだ1ヶ月なので、事業の詳細を把握し、今後の経営の方向性を分析・検証しているところです。

このような分析・検証のプロセスは01Cであっても、既存ビジネスであっても、変わらないと思います。また、01Cで責任者的にプロジェクトを行った経験は大きいかもしれません。最終的な意思決定には胆力が必要ですが、決めて行動するプロセスが以前より自然に出来ている気がします。

01Cが無ければ、もっと関係者にお伺いを立ててやっていたように思います。小さい組織のメリットを生かして、クイックにアクションを取れる01Cの経験があってこそです。01Cはもちろん、これまでの経験を生かしてまずは事業会社を成長軌道に乗せていく仕組みを構築、推進していきたいと思います。

その上で、出向先の事業会社はベトナムでの農業資材販売という大きな枠組みはありますが、かなり事業方針には自由度がありチャンスもたくさんあると思います。ぜひ広い目で事業環境を見て、大きく事業を飛躍させるチャンスを探していきたいと思います。そこで更に01Cでの経験を生かせるようにしたいです。

01Cの中で、一番嬉しかったことはありますか

バイオテクノロジー技術を活用した事業プロジェクトは元々やりたかったことで、またかなり確りと準備したので、二次選考を残ったことはすごく嬉しかったです。一方で、01Cは第一回でどのような位置付けの社内起業制度かよくわかっていなかったこと、所属部署に近い領域でかなり大きなプランをぶち上げてしまったので、本当に大丈夫だろうかとの心配もありました。

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逆に辛かったことは何かありますか

創薬プロジェクトは、収益化に時間がかかる上に、努力では超えられない確率に左右されるモデルです。商社の一般的な事業モデルでは取り上げにくいプロジェクトだとは応募前から分かっていました。分かってはいたものの、やればやるほどその不適合性が明らかになっていくのは厳しいところがありました。

元々の部署でやろうとしていたができないことを、敢えて01Cで突破しようとしたことに関して、内部では「なにしてくれているのか」という雰囲気があったということでしょうか

そういうことはなく、皆さん行動をしていることをポジティブに評価して応援してしてくれていました。社内でずっと医薬をやられていた方々からも、沢山のサポートを得て、「こうしたらもっとよくなる」「こういうところを回ればファンディングをもらえるかもしれない」といったアドバイスを頂きました。実際に、いくつかの社外パートナー候補も紹介してもらいましたが、結果的にはそこから先に飛び出せませんでした。

01Cにチャレンジされていない方々へ、何かメッセージはありますか

何かやりたいことやアイデアがある人にとって、すごく良い機会だと思います。商社に入ってくる人は、「とにかく成功したい、成果を挙げたい」といった思考回路の方も多いと思いますので、ぜひチャレンジいただければと思います。

一方で、必ずしも01Cに固執する必要はないと思います。それぞれの部署でもクロスファンクショナル(部門横断的)なタスクフォースでも、社員が個人発信で成果につなげることができる環境を、会社としてどんどん充実させてくれていると思います。

周りからどうみられるとか、自分のやっている仕事を蔑ろにしていると思われるとか、組織にいるとどうしてもそういう心配もあると思います。経験論ですが、私は全くありませんでした。どんどんチャレンジしていくべきだと思います。

奥井さんが追求されたのは肥満を治すテクノロジーでしたが、それはストップされたのか、それともバトンを引き継がれたのでしょうか

このプロジェクトはパートナーの森戸先生(昭和大学医学部)の基礎研究をベースにしたもので、森戸先生は継続して同じ研究を実施されています。私のプロジェクトへの関与はストップしましたが、将来、森戸先生の研究が実用に進まれることを期待しています。

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01Cの制度に対して何かアドバイスはありますか

新規事業・スタートアップでは、アイデアなり、それをやろうとしている人に対して、しっかりと後ろ盾になってくれる組織や投資家が付くかどうかが大きいと思います。必ずしも特定の誰かに響かなかったアイデアが悪いわけではありません。

そのため、チャレンジャーは住友商事の中だけでなく、広く外から支援者を募るアプローチのほうが良いと思います。新規事業は一般的な投資尺度では測れないことが多く、どうしても一つの仕組み・文化の中で評価をするとその事業の持っているポテンシャルを取り上げきれないことも多いと思います。

これまでは住友商事での事業化を目指すことが第一義ですが、むしろ、「ぜひ外で支援者を見つけてきてくれ」を第一義として、住友商事のネットワークを広げるために活用したら良いと思います。

能力のある人が、住友商事に残りながら新しいものを作っていく構図になりますね

そうだと思います。ピッチコンテストで上位に入ったらひとまず、活動費をもらって国内外のパートナーを走り回って、メインスポンサーを見つける。その上で住友商事が共同で参画するようなイメージです。実際の設計に落とし込むのは難しいかもしれませんが、自分の起業家としての能力とアイデアに自信を持っている人ほどチャレンジしたくなるのではないでしょうか。

(インタビュワー:渡辺朗 江本祐太朗、作業:王 翔一朗、構成・編集:辻こうじ)


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