ゼロイチインタビュー#2 「たくさんの人の力を借りながら、最後は自分のやりたいことを自分自身で決めきる」 SISTERS inc. 代表 鈴木 彩衣音さん
こんにちは!『ゼロイチ』社会起業家アクセラレーションプログラム運営事務局です。
『ゼロイチ』のエントリー締め切りまで、残り2週間を切りました。まだエントリーを迷われていたり、そもそも社会起業家になれるのか不安に思っている学生の不安を少しでも解消できたら、という思いで、既に社会を変える新たなイチを生み出す挑戦をしている先輩社会起業家へのインタビュー企画を実施しています。
第二回は、大学生時代にソーシャルビジネスの世界に飛び込んで新卒2年目で起業をしたSISTERSの鈴木彩衣音(すずき・あいね)さんです。
🗒インタビュー第1弾 PoliPoli代表 伊藤さんのインタビュー記事はこちらからご覧ください。
ゼロイチとは?
鈴木彩衣音さんプロフィール
SISTERS inc.
ソーシャルビジネスと巡り会えた時は、ずっと探していたものを見つけたような感覚だった
── 鈴木さんは自身での社会起業を前提に、新卒でボーダレス・ジャパンに入社されていますが、学生の時から社会課題の解決に向けた取り組みはすでにされていたんですか?
色々やっていました。高校生の時から国際協力や学生団体などの非営利活動をしていました。その中で、高校生の時にとある勉強会に参加して、ジェンダーの問題を知りました。それまではジェンダーと言われてもあまりピンと来なかったのですが、その勉強会に参加したことをきっかけに自分で勉強し始めて、自分が今まで当たり前だと思って我慢してきたような出来事は、社会的な構造から生まれている課題であることに気づきました。
大学に入学してからは、それまで行っていたボランティアなどの活動は一旦全て卒業して、ひたすらスタートアップなどでインターンをしていましたね。
── ボランティア活動から卒業されて、ビジネスに目を向けたのは何がきっかけだったんですか?
社会的なインパクトを考えた時に、この形で本当にいいんだっけ?ってなったんですよね。
ある時、渋谷のスクランブル交差点で大きく掲げられている化粧品の広告を見て、「興味がない人にもある程度認知されている商品は存在するけど、なんで社会問題は広がりづらいんだろう?」とふと思ったんです。
それまでやっていたボランティアの活動は、社会問題を広げようと頑張っても、関心がない人には響かないなという課題を感じていて、その広告とのギャップに純粋に興味を持ったんです。それでマーケティングの効果って面白い、それもビジネスの強みの一つだと思って、ビジネスに関心を持ってからはスタートアップでひたすらインターンをしてました。
でも、その間も社会問題への意識はずっと頭の中にはあって。ビジネスを目的でなく手法としながら、社会問題を解決していくやり方が何かないのかなって考えていたんです。そんな時に大学の教授に「ソーシャルビジネス」の存在を教えてもらってソーシャルビジネスと出会いました。
── そこからはソーシャルビジネス一直線で進んでいったんですか?
それがそうでもなくて。ネットで調べても、スタートアップ界隈の人に聞いても、インターンを募集しているソーシャルビジネスの会社に一社も出会えなくて。もう諦めるしかないかなと思ってたんです。
卒業後の進路も、インターンをしていた会社から内定をもらっていました。そこで3年くらい働いて実力をつけてから、ソーシャルビジネスで起業しようと思ってたんです。
でも、4年生の卒業間近の時にたまたま立ち寄った本屋で、ボーダレス・ジャパンの田口社長の本を見つけました。そこでソーシャルビジネスにこんなに取り組んでいる会社があるんだ!と衝撃を受けました。そこからすぐに調べて、当時募集をしていたボーダレスアカデミーの講座に応募しました。本屋で見つけてから2日後だったと思います。
── そんなにギリギリに出会ったんですね。
見つけた瞬間、ここだ!あったー!って。ずっと探していたものを見つけたような感覚でした。そこからは恩を仇で返してしまう後めたさはあったものの、やはりソーシャルビジネスに挑戦したいという思いのもと、内定を持つ持たないは関係なく、迷わずに応募をしました。
──とはいえ内定先をお断りして未知の世界に入っていく。 周りからの反対はなかったんですか?
たくさん反対されました。特に言われたのは、「なんでそっちにあえて行くの?スモールビジネスで終わるよ」という言葉でした。やっぱり、ソーシャルビジネスはどうしてもスモールビジネスをやってる印象だったみたいです。
でも私にとって、ソーシャルビジネスがスモールなつもりは当時からなくて。始めるからには社会にインパクトを作っていくよ、くらいな感覚でした。あと、みんなソーシャルビジネスのことをよく知らないから不安なだけだろうなぐらいにしか思ってなくて、よし!やろうという感じでした。
自分の頭にあるものを整理することでアイデアが尖っていく
── 結果を出そうという意気込みだったんですね。ソーシャルビジネスの世界に入って、何から手をつけたんですか?
ボーダレス・ジャパンのサポートを受けながら、ソーシャルコンセプトに沿って、誰のどんな問題を解決したいのかを自分なりに考え始めました。
※ソーシャルコンセプトとは?
ソーシャルコンセプトとは、誰のどんな社会問題を、どのように解決して、どのような社会を実現していくのかを描く、ソーシャルビジネスの設計図です。ボーダレスグループのビジネスはすべて、ソーシャルコンセプトを元に作られています。
── ゼロイチの本エントリー時にもソーシャルコンセプトシートを提出してもらうのですが、初めて書く人から見ると、意味はわかるけれどこれであっているのかわからない、ちゃんと書けているのかなって不安になると思うのですが、鈴木さんはそんなことなかったですか?
いや実は私もその一人でした。というのも、取り組むテーマをジェンダーでやる!以外、他に何も決めてなかったんです。後から当時の自分を振り返ると、「本当に大丈夫かな、この子」って思われていたと思います。
当時を振り返ると、話してみて熱量もあるしちゃんと喋れるけど具体性が何もない、という感じだったと思います。
それで、自分なりに誰の何の問題を解決したいのか、どんな未来を描きたいのか、その一方で現実ではどんな壁があって実現されていないのか、という仮説作りにひたすらに向き合いました。でも最初は、時間をかけた割にはすごく抽象度が粗くて。何度も他人に見せてはフィードバックをもらって直してました。
── エントリーする学生においても、ソーシャルコンセプトシートを書き始めてからも悩んだり、手が止まってしまうことがあるんじゃないかなと思うのですが、難しかった点などあれば教えてください。
一番難しかったのは、最後に何をするのかを決断するためには、自分がやりたいことが明確に定まってないといけなかったことです。
ソーシャルコンセプトを作ってその仮説を検証して、というのは、ある程度イロハがあるのでやり方がわかったらできるんです。そして、それを繰り返していくとそれらしい正解はいくつか見えてきます。
でも、やり方や正解がわかったとしても、自分が何をしたいのかが、明確に定まってないと結局決められないんです。自信を持って決められないものって周りからも、この子は本当にこれやりたいのかなとか、本当にその仮設が正しいのかな、と疑問に思われたりとか、不安に思われたりするんです。
自分の中で確信を持つまで、色々な仮説を出したとしても、誰のどんな課題を解決したいのかは自分でしか決められないんです。それは誰に相談をしても、結局は自分が最終的に決めなきゃいけないので、すごく悩んだし一番大変でしたね。
── それでも書き切らなくては前に進めない状況だったと思います。そこはどうやって進めたんですか?
ちゃんと自分の解決したい問題や作りたい世界の自己理解を深めることです。その一方で、やっぱり何もないところから考えるのって難しいと思います。だから、もし考えてもわからないのであれば、とにかく色々な人に会って話してみる。色々なアプローチをしてる人がいて、そこから情報を得てみる。自分は何に関心を持っているのか、何の問題をずっと考えているのかを見つけていくのが、私としては一番やりやすかったなと思います。
最初は確信がなかったけど、進めていくことで徐々に事業にできるという確信が持てる
──なるほど。まずは自分のやりたいことを、色々な人に相談しながら整理していったんですね。
そうですね。その後は、仮説を一つ仮で決めて、実際はどうなのかを明らかにするために、色々な人にヒアリングをしました。ヒアリングによって、かなり仮説をブラッシュアップすることができました。あと、第三者に仮説の内容など少しでもわからなくなったら、すぐに相談してました。それをひたすら繰り返しました。
──その過程でも紆余曲折はありました?
もちろんありました。特にヒアリングすることが難しかったです。事業の特性上、当事者の中には、知らない人に自分の経験を話したくないという方が多くて、ヒアリング相手を見つけることがとても難しかったんです。でも、そこでめげなかったのは、やっぱり自分の中で考えている仮説が、この社会問題を解決する糸口としてあっているのかを知りたい信念があったからです。諦めてしまって、そのままモヤモヤを残したくなった、という私自身の強い思いがありました。
──自分の仮説をヒアリングと第三者に話すことでブラッシュアップしていく。そうすることで今の事業に繋がるタネが見つかったと思うのですが、その時はどんな気持ちでしたか?
私の場合は、これだ!と言うよりも、事業を作る前のヒアリングや第三者からのアドバイスを通して、進めていくうちに事業の核を作っていく感じだったんですね。それを続けることで、第三者に話しても納得感が得られるようになったり、ヒアリングをしても私が考えていた仮説を、向こうから話してくれたときに、これだ!という感じになりました。
今振り返っても、私は自分一人でこの事業プランを作れなかったと思ってるんですよ。相談相手がいることって、起業する上で本当に欠かせない点だと思うんです。
起業まで来れたのは支えてくれるメンターがいたから
起業する上で事業スピードやサービスの質作りはもちろん大切ではあるんですけど、やっぱりソーシャルビジネスをやってる人が少ないので、一人で頑張るような孤独感が結構あるんですね。そこで支えてくれるメンターみたいな役割って、本当に自分自身に安心感を与えてくれるんです。だから起業まで頑張れたと思っています。
なので、学生時代にソーシャルビジネスに飛び込んでよかったなと思います。
──学生だからこそ起業に向き合ってよかったことはありますか?
よくある話だと、時間を使える学生時代から取り組むことで色々できるよねということ。あとこっちが大事で、若ければ若いほど何か失敗をしても、周りからすごい温かく見てもらえるんですよ。それは本当に強いなって。外部の方も、学生だと利益関係ではなくて純粋に意見交換をしてくれたり、教えてくれたり、学生というだけでウェルカムに話を聞いてもらえたりするので。すごく行動しやすいですよ。
だから、学生の時にやりたいことがあるなら、まずはチャレンジしてみるっていう人がどんどん増えたらいいなって思います。
──ゼロイチもまさに鈴木さんが言ってくれたように、チャレンジする学生が増えて欲しい。だからこそ学生がチャレンジできる環境をまずは作ろうと思い、立ち上がったプログラムです。
いいプログラムですよね。私が学生だったら入りたいです、本当に。
── ありがとうございます。鈴木さんはゼロイチのどんな点を魅力としてみてくれていますか?
まず一つは、私が社会人になってから挑戦したことを、学生時代から取り組めるところ。あとはやっぱり、さっきもお話ししたんですけど、相談相手がなかなか見つけづらいんですよ。だから、起業するまでの不安とか、事業内容を相談できるメンターや仲間、同志がいるっていうのはすごくいいなって思いますね!
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🍀ボーダレス・ジャパン入社後の鈴木さんインタビュー記事:
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