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Pietàを巡る旅

田丸 公美子先生の
シモネッタの本能三昧イタリア紀行にPietàの話が載っていて…なんとなく調べていたら、ローマ、フィレンツェ、ミラノにあると知り…
2011年にミケランジェロのPietàを巡る旅を敢行。

まずは、ヴァチカン

「ピエタ」を題材とする数多の作品の中でも第一に挙げられるものである。
古典的な調和、美、抑制というルネサンス の理想の最終到達点ともいうべき完成度を誇り、
ミケランジェロの数多い作品の中でもとりわけ洗練され精緻を極めたものとなっている。

ガラス越しで細部まで見れないのが残念だけど…
ミケランジェロって筋肉隆々な彫刻が多い印象だけど、

これは艶やかさがある。
でもこれ何度も見たけど・・・
ホントにマリア様若くてお綺麗!
「キリストの母じゃないみたいだなぁ~!」といつも思ってた。
ミケランジェロ自身は6歳のときに母をなくしたので、(その後里子に出される)
亡き母を思い描いて聖母に投影したという見方もあるそうだけど・・・
聖母ゆえに年とらない!らしい。

次はフィレンツェ

ドゥオーモ博物館にあります。

「パレストリーナのピエタ」


ミケランジェロがその晩年に制作した彫刻3点(「パレストリーナのピエタ」を真作と認めないならば2点)はいずれもピエタを題材とするものであった。
1540年代の半ばを過ぎたころのミケランジェロは、親しい友人を次々と失ってゆく孤独感に加えて肉体の衰えも顕著になり、自身の死をも意識せざるをえなくなっていた。

約半世紀ぶりにピエタの制作へ挑んだのは、それを自分の墓所に飾るためだった。

1555年頃にこの作品の制作を放棄するまで、ミケランジェロはローマのサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂にこの像を飾り、その足下へ埋葬されることを望んでいたという証言をヴァザーリやコンディヴィがそれぞれ残している。
ミケランジェロがこの作品を途中で何故壊して制作を放棄するに至ったのか、諸説あるが・・・
大理石の質が悪くてうんざりしていたので壊したという説や、
イエスの足が不慮の事故で壊れたのが先で、ミケランジェロは止めを刺しただけだという説など・・・

いずれにしてもミケランジェロはこの作品にみずからハンマーを打ち下ろし、イエスの左の手足とマリアの腕を破壊した。

像の主部と腕の破片は弟子のアントニオ・ダ・ウルビーノに与えられ、その後フランチェスコ・バンディーニに売却された。

このバンディーニの依頼を受けて腕の破片を修復したのはティベリオ・カルカーニである。
カルカーニは失われた足も新たに制作して取り付けることを考えたが、
台座の前部中央に穴を開けたところで断念している(足の破片はダニエレ・ダ・ヴォルテッラが所有していたとも伝えられる)。
そのため「フィレンツェのピエタ」はイエスの左足を欠いたままの姿で残されることとなった。
その後1664年にメディチ家のコジモ3世がこれを買い取り、しばらくのあいだサン・ロレンツォ聖堂に置かれていたが、1721年にサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂に移転した。

なんだろ…バチカンのに比べると、完成度がぜんぜん違うのにガッカリ(笑)
未完成だから?

ここまで来たし、とりあえず贋作の疑いのPietàも観に行っておこう!とアカデミア美術館へ

「パレストリーナのピエタ」

この作品がフィレンツェのアカデミア美術館へ収蔵されるようになったのは1939年のことであり、
それまで数世紀のあいだはパレストリーナ(ローマ郊外)のサンタ・ロザリア聖堂内に放置されたままだったので「パレストリーナのピエタ」と呼ばれる。

1756年にパレストリーナの歴史学者チェコーニがこの作品を「ブオナローティの未完成作品」と著書に記していることや、
この作品のためのデッサン(これらが描かれたのが1550年代半ばであるため、本作の制作時期も同じ頃と推定されている)が
ブオナローティ資料館に残されていることなどから真作みなされてるが、長らく存在が知られないまま放置されていたことなどから
真作であることを疑う学者も多い。



なんか・・・バランスが悪いよね・・・
マリア様の手、男性みたいだし・・・
キリストの腕、足より太いし。
サンピエトロのピエタとは、大違い・・・

そして遺作のある、ミラノ
スフォルツァ博物館へ。

「ロンダニーニのピエタ」

死の3日前まで彫り続けた未完の遺作で、元はローマのロンダニーニにあったことからそう呼ばれるようになった。
1475年生まれだが、当時としては長寿で89歳まで生きて制作を続け、1564年に没した。

もうこの時期は、目が見えなかったと言われている。出来上がってる部分と彫る途中の荒々しい感じが、作品の哀愁を感じるなんとも感慨深い趣を醸し出している。

ヴァチカンの「ピエタ」との美とは、やはり違う。

あれは、完成された美しさだと感じるけど・・・

この「ピエタ」には・・・
死にむかっているミケランジェロなんだけど…この荒々しさが生へ向かっているような力強さだったりを感じてしまった。また
枯れた美しさ、桜が散る時のような・・・散り際の名残惜しい美を感じる事ができた。

作品の余白に観る人の心を引き込まれる作品。
間近でみれたのもあるけど、
一番これが心揺さぶられた。

番外編
ミケランジェロの作品ではないが…
長崎の日本二十六聖人記念館にあるPietà

イタリア🇮🇹ブロンズ製16〜17世紀。
1962年に長崎で発見される。長きにわたり隠れキリシタンが代々保存してきたもの。キリスト教への深い信仰が感じられるPietàに心が震えた。

テーマを決めて旅するのもなかなか楽しい💕


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