スウェーデンの聖ルシア祭とイタリアの意外な関係
12月13日スウェーデンは聖ルシア祭です。
子どもたちが歌いながらロウソクをもって列をなして歩きます。とても、美しくて素朴で、心が落ち着く素晴らしい光景です。
あれ、ちょっとまって。このメロディーどこかで聞いたことがある?
「サンタ・ルチア」ってカンツォーネ、イタリアのナポリの歌じゃなかったっけ?
ナポリ語で美しい地中海に面したサンタルチア港の姿を歌ったの陽気な歌から、冬の厳かな雰囲気に、歌詞もスウェーデン語で暗くて寒い冬に聖ルチアが家々を訪れる内容に変わっています。どうしてなんでしょう。
聖ルチアはナポリ(シラクサ)の聖人で目の守護聖人とされ、スカンジナビアで信者の多いルーテル教会にて信仰されています。記念日は12月13日、これは旧ユリウス暦で最も夜が長い冬至でした。
この時期のスウェーデンは、ストックホルムでも朝9時前にやっと日が昇り、15時前には沈んでしまうためとっても暗い。そんな辛さを乗り切るためかキリスト教がスウェーデンで広がる前からこの時期を祝う習慣がありました。それがキリスト教が広まるにつれ、いつの間にかルシア - ラテン語で光 - を意味する聖人をロウソクの光と共に祝うものに変わっていったようです。
一方、聖ルシアはその生まれ故郷ナポリの船乗りの守護聖人でもあり、サンタルチアという港がナポリにあります。1849年にその港を歌ったのがカンツォーネのサンタルチアです。この歌がおそらく聖ルシア繋がりでスウェーデンに持ち込まれ、スウェーデンの聖ルシア祭で歌われるようになった。というのが背景のようです。
今日のルシア祭では聖ルシアに扮してロウソクの輪を冠った女の子の他に、星の帽子を被った男の子(これはドイツから伝わったもの)、ジンジャーブレッドボーイなどが列をなし、学校、病院またはオフィスなどを訪れます。また皆でサフランパン(lussekatter)を食べ、スウェーデンのホットワイン(glögg) を飲みます。元々は宗教的な意味合いが強かった行事ですが、その形は時代に合わせて変わっているようです。一昔前までは国中でミスコン的に聖ルシアコンテストが行われていたようですが、これも時代に合わせ行われなくなったようです。誰がルシア役をやるか、今ではくじ引きで決めるそう。
北欧の冬は寒くて暗くて長いです。そんな冬を乗り切るための工夫がスウェーデンの生活のいたる所に見られます。ルシア祭もその一つと感じます。
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