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【酒蔵メシ】日本酒をつくる蔵人さんを支えた”元気の源”を教えてもらいました

春、多くの日本酒の酒蔵では、秋から取り組んできた今期の酒造りが終わりを迎えます。

体力仕事であると同時に、気を抜けない繊細なお仕事でもある酒造り。蔵人さんたちを支えてきた「仕事中のご飯」を質問しました。

おいしいお酒の秘訣は、造り手の日々の「ごはん」にあるのです。

福司酒造の「金曜日カレー」(北海道)

酒蔵名:福司酒造 回答者:梁瀬一真さん(製造部長)

まずは、北海道釧路「福司酒造」さんの酒蔵メシから。福司酒造さんでは毎日お昼に賄いが出るそうですが、毎週金曜日は「カレー」に決まっているとのこと。おいしそうです。

「毎日蔵で働いていると曜日感覚がなくなりがちですが、お昼にカレーが出てくると『今日は金曜日か!』と思い出します。また、カレーを楽しみに1週間頑張っているメンバーもいます」

また、同じカレーでもチキンやポーク、コロッケやカツと、毎週飽きないようにと工夫が凝らされているそうです。

「カレー以外にも、クリスマスにはチキン、ひな祭りにはちらし寿司と、季節のイベントにあったメニューもあります。食事管理だけでなく、仕込み中外に出ることのない社員への気配りが感じられてうれしいです」

宮泉銘醸の「大きめおにぎり」(福島)

酒蔵名:宮泉銘醸 回答者:匿名(蔵人・瓶詰め貯蔵班)

「冩樂」で大人気の「宮泉銘醸」さん。自宅から通っているという回答者のメシはお手製のおにぎりです。

「いつも夕方にお菓子や菓子パンを食べるので、お昼ごごはんは基本的におにぎり1個。たまにカップ麺買ったり、サンドイッチを持っていくこともあります」

体力仕事とあり、休憩時間に細かくご飯を食べているのですね。

「お菓子を持っていく時は、身体を温める食材ボイルor焼きいもなどの根菜類、チーズをもっていきます。あとはバランス調整にクリーム玄米ブランとか」

酒蔵の中はかなり寒いもの。その中で一日中働く蔵人さんは、食べるものでも体調管理をされているのですね。ちなみに、この時期のおすすめのお酒は甘い貴醸酒とのこと。写楽の貴醸酒…気になります。

本金酒造の「寒い日の酒粕トン汁」(長野)

酒蔵名:酒ぬのや本金酒造 回答者:宮坂ちとせさん(蔵元嫁)

「本金酒造」では、基本的に通いの蔵人が自分たちでお昼を用意するスタイル。街道沿いに建つ立地も手伝い、近所のセブンで買ってくる人も多いそうです。

「でもまれに、寒い日はお昼に酒粕入りのトン汁を作ります。この他、朝の仕込み作業が終わるときには、リンゴとみかんを絞ったジュースを飲んでもらっています。風邪をひかないように、って」

冬の体力仕事が大変な酒造り、風邪予防は大切。酒粕入りのトン汁、温まりそうです。

「また、おやつも持ち寄りです。私は『塩せんべい』や『雪の宿』を買うことが多いですね」

村井醸造の「いつものお弁当屋さん」(茨城)

酒蔵名:村井醸造 回答者:臼井卓二(醸造責任者)

「『蔵メシ』とまではいえないのですが……仕込み中は近所の弁当屋さんにお世話になっています。それが支えになってましたね」

との回答は「真上」を醸す茨城県・村井醸造の臼井さん。お店の人と顔見知りになり、いつもお惣菜の「おまけ」をいただいているそう。そういう関係って素敵ですね。

また、右に写っているのは栄養ドリンクの「ビイレバーキングA」。

「飯じゃないんですけどこれには胃の痛みを和らげてもらい助かりました…ダメですよね…」

とんでもない、栄養ドリンクも酒造りを支えた立派な「酒蔵メシ」です。そして、本当におつかれさまです!

https://www.komei.co.jp/

旭日酒造の「母の粕汁と、麹漬け焼き」(島根)

酒蔵名:旭日酒造 回答者:寺田(佐藤)栄里子(蔵元長女)

なんと、私(クリーミー)の偏愛銘柄のひとつ、十旭日さんに回答いただきました、感無量です。酒蔵メシは、回答者である寺田さんの「お母さん」手作りのメニューです。

「うちは泊まりの蔵人がいるので、晩ごはんはだいたい一緒に食べます。 母が賄いを担当してくれてます。

昔ながらの季節雇用に限界を感じ、今期からチーム編成を変えたのですが…若い人たちが集まり、やっぱりみんな蔵で寝泊まりしているという、面白いものです。

粕汁は母の定番で、写真はコシヒカリでつくる純米酒『おろちの舞』の酒粕をつかったものです。若い二人はおかわりしてました」

アットホーム感がとても素敵です。また、鶏肉の麹漬けは「玄米麹」で塩麹をつくったもので漬けているのだそうです。

「(今蔵で働いている)若い蔵人は、食べるものや、物に対してしっかりした考えを持っており、大切に作られたものを大切にしたい、食べたい、伝えたいという思いを強く感じます。 正直、勉強させてもらっている毎日です」


獺祭 旭酒造の「日々の晩酌」(山口)

酒蔵名:旭酒造 回答者:関口慎之介(上槽チーム主任)

ラストは世界に誇る「獺祭」でお馴染みの山口・旭酒造さん。いただいた写真は、「ししゃも」「小エビの素揚げ」「サーモンのちらし寿司(スーパーで購入)」「手羽唐揚げ」「エリンギとピーマンの炒め物」と、とても豪華でお酒が進みそう。そしてちゃんと「獺祭」も入っています。

「ほぼ毎日、日本酒を飲むので、魚を中心としたメニューが多いです」

獺祭のみなさんは、本当に日常の飲み会でも自社のお酒をガンガン飲まれると聞き、驚いたことがあります。日々の晩酌の中に自分たちのつくったお酒がある、お酒好きにとって本当に最高の瞬間ですね!


6蔵のみなさん、アンケートにお答えいただき、ありがとうざいました。

地域や伝統はもとより、泊まり込みor通勤タイプなどによってもいろいろ異なるのですね。「おいしそう」はもちろん、みなさんが冬を乗り越えるため、食事からしっかり対策されていることも発見でした。

みなさんの造るおいしい日本酒は、各々の「メシ」のパワーでできているのですね。改めて、いつもおいしいお酒をありがとうございます。

もちろん、お酒を飲みます。