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「錫」の器で日本酒を呑みたい! 高岡錫器と日本酒マリアージュの会レポート

錫(すず)の酒器が、ほしい。
ガラスとも陶器とも違う、高級な印象のある「錫」の器で日本酒を飲むことにに、憧れていました。

そんな折、「日本酒と錫器を楽しむ会がある」「しかも、錫の器つき(=もらえる!)」というイベントを知り、いってきました。念願の錫、いったいどんな感じなのでしょうか。

大人の街・日本橋にある器ギャラリーへ

会場は東京・日本橋にある器ギャラリーの「MAMI MITSUDA 和モダン Style」。日本橋高島屋のすぐ前。どこをどう見ても品があるというか、お金持ちの方々が集まる匂いがする空間です。

店内のテーブルコーディネート。これが「和モダン」です。流木がある…
店内に桜が咲いていました。参加者も「よい大人」が多かったです。
主催のみなさま。エレガントはオーラを発しています。

今回のイベントは、富山にある「ナガエ 銀雅堂」さんが作る「高岡錫器」で、実際にお酒を楽しんでみようといったもの。お酒は「いにしえ酒店」の斎藤太郎さんがセレクトされたそうです。

本酒担当の斎藤太郎さん。見たことある人がいてよかった。

さらに今回は「おつまみ」も富山のもの。「お酒×器×つまみ」のトリプルペアリングを楽しみます!

①酒器「さかさ富士」×日本酒「龍勢」

1つめのペアリングは、広島県のお酒「龍勢 1年熟成」です。これを富山県の郷土料理である「しろえびの昆布締め」といただきます。ポイントは、富士山を模した「平たい」錫器です。

斎藤さん「龍勢は、完全発酵のやさしいお酒です。じわじわと米の旨味が感じられると思います。器は『平杯』を選びました。飲み口が広い分、熟成酒特有の香りが穏やかになり、しろえびの繊細な味にあいやすくなりますよ」

平べったい器にお酒を注ぐと、(空気に触れる範囲が)広い分、香りがすぐに消えて穏やかになるのだそうです。ねっとりした食感のえびと「甘くない」日本酒が、ちょうどいいバランスです。多分、錫もなにかおいしくなっている気がする。

よーく見てください。さかさ富士です。

また、この錫の平杯は「さかさ富士シリーズ」というアイテム。お酒を注いで横から見ると、水面に映るさかさ富士を楽しめるというものです。よいです。酒器だけでつまみになりそうです。

②酒器「静波」×日本酒「木戸泉」

続いては、千葉県の「木戸泉 5年熟成」という、なかなかハードな熟成酒です。
酒器は「静波」という、波をイメージしたアイテムのぐいのみです。

酒器の外側に走る線(=波)が手になじみます。錫って「持つ」ことそのものが楽しい

斎藤さん「木戸泉は野生味あふれるしっかりとした熟成酒です。酒器は、お酒の味をそのまましっかり伝えたい時に最適です。ですが、錫にはお酒の味をまろやかにする効果があります。『熟成酒がちょっと苦手…』という人もぜひ錫で角が取れた味を試してください」

お酒は結構すっぱいです。舌の上をざらりとします。そしてこれにあわせるのが「ホタルイカ」。卓上の蝋燭で軽く炙ってからいただきます。

ジュッと、いい音と焦げる匂い

そう、ライターで炙って食べる、あの手のやつです。
上品なギャラリーで、美しい錫の酒器に囲まれているのに、急に北国の場末の情景が目に浮かびました。行ったこともやったこともないのですが、鮮明に。

うまいです。パンチのある珍味と、パンチのある熟成酒。いかの肝の苦味とお酒の酸味がばちばちケンカしているのが楽しいです。

③酒器「アペリティフ」×日本酒「越中懐古」

ラストの日本酒は、富山県の地元銘柄「越中懐古」を、ラッパ型の「アペリティフ(食前酒)カップ」でいただきます。

底が縁起のよい「梅」の形になっています。

おつまみは、富山蒲鉾の代表格という「赤巻き」。はじめてみます。

斎藤さん「越中懐古というお酒は、何にでもあう万能のお酒です。ここからは、これまでの酒器を変えてたり、前に味わったお酒をもう一度確かめてみたりと、いろいろ試してみてください」

「越中懐古」、はじめていただきましたが、非常に好みです。全体的には重めなのに、くどくなく、するっといける。よくいう辛口酒とも違う、絶妙に飲み続けたくなる味わいです。

また、同じお酒でも酒器を変えてみるとおもしろいです。ラッパ型だとお酒の味が舌にくっつく(掴まれるような)感じで、お酒単独の味を楽しみたいときにあいそう。一方料理と一緒に味わう分には、香りがおだやかになる平杯が好みです。これはおもしろいです。

錫の器で日本酒は結構変わる!

追加で登場したおつまみ。富山で大人気という「しろえびビーバー」

錫器の感想まとめ
・お酒の味がまるくなる
・口当たりがシャープになる
・お酒の温度を感じやすくなる

今回は冷酒中心でしたが、熱燗にするとよりお酒の温度が伝わっておもしろいのだそうです。やってみます!

おみやげ錫器は、かっこいい平杯!

ここはアナログなくじびき

そして最後のたのしみが、おみやげの「錫器抽選会(はずれなし)」です。
私が当たったのは…(自宅で開封)

真っ平!

平杯です。大きめの平杯です。そしてみたことないくらい「平たい」平杯です!

横から

「注げるの!?」っていうくらい平たいです!そして底がぎざぎざしています!

底!

底がかっこいいです。ぐらつかないか?と思ったけど大丈夫でした。

おお…すぐこぼれそう。

実際にお酒を注いで飲んでみると…うん、おいしい気がします。背筋が伸びる気分です。形状もこれまであまり使ったことない平すぎるタイプで、口に入ってくる速さも広がり方も新しい感じ方。いろいろなお酒で比べてみたいです。

こちらは再び会の様子。銀雅堂の方。錫器の扱いをレクチャーしてくださいました。

ちなみに錫の器は、柔らかく曲がりやすいので扱いは注意。食洗機も不可とのことです。

銀雅堂のみなさん、斎藤さん、MAMI MITSUDA 和モダン Styleさん、ありがとうございました。大人のお酒飲みのアイテム「錫」。超平たい酒器からはじめていきます!


もちろん、お酒を飲みます。