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フルーティー夫と常温酒妻の晩酌【レマコムと私vol.13】橋村さんの日本酒事情

日本酒の冷蔵・氷温保存にぴったりの業務用ストッカー「レマコム」を保持する日本酒マニアを追う「レマコムと私」。今回はSSI認定酒匠、利き酒師・焼酎利き酒師などの資格をもつ日本酒ライター・橋村望さんを取材します。

休日、早めの時間から楽しむご夫婦の晩酌にお邪魔しました。

4つの温度帯で日本酒を管理する、日本酒のための部屋!

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レマコムオーナー・橋村望さん。左はご主人・鉄平さんです。

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ーーこちらが橋村さんの家の「お酒スペース」。すごい!
左から、レマコム100L。中央の棚は常温保存用。そして右は日本酒セラー「ZERO CHILLED」。レマコムが脇役に見えてきます。

鉄平さん「さらに、キッチンの冷蔵庫もお酒に占領されています」

橋村さん「役割が違うんですよ。冷蔵庫は開閉が多く温度が変わりやすいから『厳しく鍛えたい子(日本酒)』を保管する場所。レマコムはマイナス5度なのでじっくり氷温保存できる場所、セラーは0度以上で調節できる場所」

※日本酒(特に生酒)は保存状態によって味の変化や熟成の進行具合が変わりますが、レマコムの氷温ですと変化を極めてゆっくりにすることができます

鉄平さん「数度単位の管理…うるさい店長のいる居酒屋さんみたいですね。でも、同じお酒がいくつもあるわけじゃないので、別に味を比較できるわけじゃないんですよ」

とりあえず、日本酒で乾杯!

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ーー今回はお酒を楽しみながらお話をうかがうことに。最初は「夏だし、泡!」ということで「大治郎 活性にごり」から。盛大に吹き出しました。

橋村さん「ようこそ、今日は一緒に飲みましょう!」

ーーおいしいです! 結構ドライですね。強い味です。

鉄平さん「うん、軽やかな泡のイメージと違う。僕はもっと甘い方がいいな」

橋村さん「彼は、『フルーティーおじさん』なんですよ。カプロン酸エチルの、冷たいお酒大好き。私はどちらかというと…常温が好きかな」

鉄平さん「レマコム(氷温ストッカー)買ったのあなただよ」

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橋村さん「実は、今みたいに冷蔵庫や棚がいくつも揃ったのは最近なんです。もともとお酒は段ボールとキッチンの冷蔵庫で保存していて、入らなくなってきたのでレマコムを買おうって。最初はショーケース型にしようとしていたのですが、彼がショーケースはうちにはよくないって。あ、彼は職業がデザイナーで、家の中の家電はお任せしているので」

鉄平さん「レビューなどいろいろ見たところ、ショーケース型を使っている人の多くが、ガラス面に結露を防ぐための銀のマットを貼っていて、これは見た目がよくないって」

ーー今のレマコムは、旦那さん的にOKだった、と。

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(存在感があります。かつてここには旦那さんの自転車が飾られていたそう)

鉄平さん「デザイナーとしていいたいことはある。けど、まあいいかと…」

橋村さん「5年前かな、もう空気みたいな存在です」

鉄平さん「いや、邪魔ですよこれ」

ーー橋村さんが日本酒をたくさん買うようになった理由は何ですか?

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(「私の地元では、お客さんがくるときは必ず枝豆が食卓にあがるんです」とのこと。お酒が進みます)

橋村さん「私は秋田出身で、地元ではもともと人が集まったら日本酒を飲む、とういう文化で育ちました。18で上京したので当時は飲んではいませんでしたが、お酒を飲めるDNAはあったんです。

大学卒業後、最初に就職したデザイン会社の社長が新潟出身で、お酒が好きだったんですね。同じく東京に出ていた姉も飲兵衛で、そのころからお酒をいろいろ飲むようになりました。

最初は難しいこと考えずに、おいしいお酒と美味しい料理で最高!と思っていたのですが、だんだん『飲むだけでいいのかな』って思ってきて。お酒の勉強を始めるようになったんです」

鉄平さん「そういうタイプだよね、なんでも勉強したがる」

橋村さん「ほら、社会に比べたら、勉強はつらくないじゃないですか

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(とても明るくお話しされています)

橋村さん「デザインやライティングの仕事をしているのですが、その頃からだんだんとお酒関係の取材が増えてきました。それで、全国に取材に行くたびにその土地の日本酒を買うようになって、日本酒の量が一気に増えました。冷蔵庫に入らない分は段ボールで保管していたけど、要冷蔵の繊細なお酒を常温で悪くしてしまうのは申し訳なくて」

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(日本酒セラーは、開閉時にLEDが光ります。そういう車みたいです)

橋村さん「だから、レマコムを買っても氷温ではなくずっと『冷蔵用』として使っていました。でも昨年、日本酒セラーの体験モニターの仕事があり、セラーをいただけることになったんです。これで、やっとレマコムを本来の氷温保存用に使えるようになりました」

橋村さん登場のモニター記事

橋村さん「最近では、もちろん旅先でも買いますが、気になるお酒をECで買ったり、送料はつきますがそれも『味』だと思ってます。あとはこだわりの店主がいる酒屋さんなんかにいるとついつい買ってしまいます。で、こう(棚や冷蔵庫)なります笑」

鉄平さん「僕は冷酒好きですので、この常温棚はまったく興味がないんですよ。でも彼女はこちらの方が多いですね」

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(お店のような陳列)

橋村さん「私は棚を『眺める』ことが多いです」

ーー眺めて、どうするんですか?

橋村さん「『あ、ある』って思います」

ーーはい…。

「…あとは、蔵の人がもう代替わりしていたりすると『このお酒はもう二度と飲めない!』と思ったり」

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橋村さん「面白いのが、常温保存で熟成しているお酒も、飲む前に冷やすとより美味しく感じられることがあるんですよ。常温棚のお酒が、飲むスタンバイ状態になるとセラーに移したりします」

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(よく冷えた熟成酒は、まるでデザートのようでした)

鉄平さん「(お酒の位置を)入れ替えたりもしているみたいですね」

橋村さん「季節なのか、気分なのか。思い出したように変えるのが楽しいんですよ。そして、レマコムはあぶれたものを入れる笑 悪い意味じゃなくって、包容力があるんですよ。このお酒どうしようかと迷ったら、レマコム。氷温なのでとりあえず変化は止まりますので。

…あるじゃないですか、もうなにも考えたくない時とか」

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(念のためですが、明るく話されています)

レマコムは、思い出のアルバムのよう

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ーーでは、ここから(とりあえず迷ったものを入れるという)レマコムの中身をみせてもらいます。

橋村さん「本当にもうしわけないのですが、私、特に同じ銘柄を集めたり、レアなお酒を買ったりしないので、中は普通だと思います。…あ、これ酵母です」

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(すごいの出てきた)

橋村さん「Youtubeに抽出の方法があがってたんですよ。『肥料用』ですけどね。私も酵母で何をするというものではなく、やってみようと思って」

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橋村さん「『天の戸』(浅舞酒造)、これは2019年に亡くなられた森谷杜氏の最後のお酒です。生熟が進んでいて、すごく美味しいです。

先ほど『ひとつの銘柄を追いかけられない』と話しましたが、そうなるかもと思っていたのが、森谷杜氏の『天の戸』でした。蔵に見学に行ったことがあるのですが、森谷杜氏自ら説明してくださったり、秋田民謡の長持唄を披露されたり、自ら料理も振舞ってくださったりしたことが記憶に残っています。自分のお酒以上に『日本酒の文化』を伝えようとされている方だなって」

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橋村さん「これは木戸泉です。私の名前が入っているのは、蔵人体験をしたときの記念品だから。コレクターではないのですが、こういう記念品はいくつか入っています」

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鉄平さん「あ、これまだ取っていたんだ。『よこやま』が復活したときの初年度のお酒だね」※2019年、長崎・壱岐で28年ぶりに復活した重家酒造の銘柄

橋村さん「これがラスト。熟成がすすんでいて、めっちゃおいしいんです」

鉄平さん「今、レマコムを見ていて思ったのですが『思い出の写真を残している人』と同じだなって」

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橋村さん「あー、確かに、そうかも。1本1本、買ったときの思い出があるんですよね。そのとき、そのときのお酒との出会いを大事にしたいとは思っています。レマコムってお酒の熟成を止められるので、思い出もそのときのままというか…でも、お酒の時間までは止めなくてもいいよね?」

鉄平さん「いやそれは知らないです」

レマコムのデザインに物申す

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(フルーティー鉄平さんが注文していた「獺祭」の搾りたて直送がちょうど到着しました。うれしそう)

ーーレマコム購入を考えている日本酒ファンに、アドバイスはありますか?

鉄平さん「掃除機をかけるときに間違って急冷ボタンを押さないように、ですね。僕いっかいやってしまったんですよ笑」

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(レマコムの足元にあるこのボタンを誤って押すと、マイナス20度まで下がりお酒が凍ります)

橋村さん「そう!彼がある日『ごめん…』って謝ってきて。私もその時は凍ることに慣れていなかったのでびっくりして、悲しい気持ちになりました。SAKAEMASU(榮万寿)というお酒だったのですが、ちょうど蔵の人がいらっしゃるイベントがあったので『凍ったらこうなりました』って持っていってみたんですよ。なんか、いい感じにおいしくなっていました!」

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(ポジティブ)

鉄平さん「でもさ、レマコムのこのボタンの位置、邪悪なデザインですよ。もしこれが、国家滅亡のスイッチだったらって思うと…」

橋村さん「彼は何でもそういう(デザイナーの)目でみちゃうらしいんですよ」

鉄平さん「僕は、レマコムのデザイナーと一度話したいんですよ。スイッチだけじゃない。レマコムの扉は上開きですが、これじゃあ上がデッドスペースになっていて何も置けない!」

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橋村さん「大丈夫だよ、置けるよ」

鉄平さん「え? 置いたらふた開かないでしょう!」

橋村さん「ふたを開ける時に、のかせばいい」

鉄平さん「……」

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橋村さん「私がレマコムデザイナーだったら、こう!(グイッ)引き出しタイプにします!」

ーーまあ、レマコムは業務用ストッカーで、日本酒用ではないですので

鉄平さん「いや、業務用としても、です。店舗デザインに携わることもあるのですが、実は厨房の規格からしても、レマコムの正方形に近い形はかなり置きにくいと思う」

橋村さん「へー、飲食店の規格も無視してるんだ! それって最高じゃん!!
規格なんか、基準なんか、クソくらえって! そういうの好き」

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(この日、最高の笑顔)

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(……)

橋村さん「5年もうちにいて、ずっと空気みたいに感じていたのに、この子(レマコム)こんなにパンクだったんだ…。こんなにレマコムのこと考えたのは初めてです!!」


ーーこの後、レマコムデザインをはじめ、さまざまな話題で楽しいひとときを過ごさせていただきました。橋村さん、鉄平さん、ありがとうございました。


もちろん、お酒を飲みます。