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町洋食で(日本酒を)飲ろう! 経堂の人気店「デリス」で、牡蠣フライと熱燗を

洋食が好きです。小綺麗でおしゃれなそれよりも、地元の人たちに愛される「町の洋食屋さん」が。

東京・小田急線沿線の経堂駅に「町洋食」の名店・デリスはあります。安い、美味しい、満腹になる。三拍子が揃う店です。

ある日のランチ。これで800-900円くらい。すごい、いい。

このお店で「日本酒が飲める」と知ったのは、偶然でした。デリスの隣にある(建物は同じ)熱燗専門店「晴陽」にお邪魔したとき、熱燗師の店主さんと会話しているときに「うちと同じお酒、隣の洋食屋さんでも飲めますよ。卸してますから」と聞いたのです。さらに「デリスで飲むなら、カキフライがある季節がいいですね。熱燗とカキフライ、あとスペシャリテのビーフシチューも!」という、美味しそうな助言とともに。

おいしい町洋食で、日本酒の熱燗が飲める!! カキフライが出回る冬までまち、念願の「町洋食飲み」を体験してきました。

経堂の町洋食「デリス」とは

ここで改めて「デリス」について紹介します。
開業は1982年。「本格的な洋食を、リーズナブル」を掲げ、地元の人(学生が多いエリア)たちにむけて良質な食事を提供し続けてきた「町の自慢の洋食店」。現在は2代目の方がシェフとしてお店を切り盛りしています。ランチは1000円前後でボリューム満点な食事を提供されています。

週末限定のステーキランチ、これで1200円くらい。お昼時は行列ができます。

こんなお店で、本当に「日本酒」を、それも「熱燗」でいただけるのか。実前に電話で確認してみたところ「大丈夫」とのこと。「うちは日本酒店じゃないから、ちゃんとしたお燗はできませんが、提供はできます。種類の用意はないのですが、それでもよければ…」とのこと。行きます、専門店以外で飲むチンチンなお燗も好きです。

「デリス」で乾杯!

お店の外観。オレンジと白のしましまがかわいい
こういう日光にやられやすいメニュー、たまらないです
6割以上の人は、本日のホワイトボードから頼む模様です(客席からの体感)

平日の夜、お邪魔しました。
座席はカウンター4席と、テーブル2つ、お店の奥に数名がはいる横長の席があります。

1名だと自動的にカウンターになるのですが、この日は同じ志(洋食で熱燗を飲みたい)をもつ方と一緒にいきましたので、テーブル席に座れました。

人気の町洋食は「飲み屋」としても超優秀だった

テーブルから見える風景です。カウンターの客席と、その奥にはキッチン。

ミッキーのテーブルクロスに、ビニールの汚れ防止カバーがいい味

ボリューム満点なセットメニューが自慢のデリスですが、意外と「おつまみメニュー」も豊富です。最初はビールとつまみにします。

おつまみ①ウインナー炒め

ステーキとかハンバーグが人気の洋食屋さんで、「ウインナー炒め」です。味は、もちろん「ウインナー味」です。でも、これがいい。「これこれ」と、頷きます。

生より瓶が好きな年齢になってきました

おつまみ②プレーンオムレツ

普通のオムレツ。ケチャップは上にかけるのではなく、胴体の左右に置くスタイルです。

──おいしい。なにこれ、めちゃくちゃおいしい。スプーンで裂いた瞬間、半熟な部分があふれる、でも溢れすぎない、絶妙においしい。

居酒屋さんで卵焼きを食べる、その数段上の美味しさ。「すごい!さすが洋食屋さん」とテンションがあがります。

名物のカキフライと熱燗を

デリスの冬の名物が、この季節限定の「かきフライ」です。今日のメインはこれと、隣の日本酒専門店から仕入れている日本酒・熱燗です。

「かきフライと、日本酒、熱燗でお願いします」
「熱燗?…ちょっと待ってください…(店長に確認中)あ、大丈夫です、できます。銘柄ひとつしかありませんが、それでも大丈夫ですか?」

もちろんです。いただきます!

粗めのパン粉のカキフライ。小さくないです、皿とサラダがでかいのです。
お酒は「十旭日」で、それも去年の正月限定ラベル。誰も頼まないのか、うっすらほこりをかぶっていました。

日本酒は、島根県は旭日酒造の「十旭日」です。温めるのは右のとっくり(1合瓶)でしかできないため、一度に注文できるのは1合まで。こういう「日本酒居酒屋じゃないから道具がない」というのが、またいいです。お手数をおかけさせてしまい、すみません。

飲みます…………すごい、ちょうどいい!  十旭日のやわらかいおいしさが全開です。1年前の正月ボトルだからか、まろやかさが増している気がします。

日本酒専門店じゃないところで日本酒を、特に熱燗を頼むと、レンチンで熱々になっていることが多いのですが(それはそれでおいしい)、デリスの熱燗は「ちょうどいい」温度です。すごい。普通に美味しい。

店員さん「隣の日本酒専門店の方が、瓶ごとに熱燗の温度を指定してくれているんです。これは60度です」

揚げたてのカキフライと、ちょうどよくやさしい熱燗。いいです。カキフライのタルタルが、和の味に寄せられない防波堤になっています。あくまで「町洋食」で飲む酒。すすみます。

洋食メニュー×熱燗の、パワー系ペアリング

ストロガノフ風牛肉の細切り煮込み

メモしていたビーフシチューは、この日は売り切れ(あまりに手間がかかるので、週に数食分ぐらいしか仕込めないそう)。その代わりにオーダーしたメインがこちら。がっつり肉&濃厚なソースが特徴です。

本日のセットBの、「白身フライ&生姜焼き」

そしてもう一品。3人でシェアするとはいえ、インパクトがすごいです。

洋食に日本酒の一合瓶って似合います

3名で食べて飲んでいたのですが、印象的だった感想は
「おいしい」
「すごくおいしい」
「なんか、カロリーを摂取している感じ」
「うん、強い」
「お腹いっぱい」

などなど

つまり、洋食は「強い」のです。
日本酒の、それも熱燗のおつまみって、野菜なら「漬物」とか、魚なら「お刺身」とか、、どちらかというとパンチ力ではない、お酒との相乗効果で味が引き立つものが多い印象。

しかし洋食は味もサイズもガッツリ。もぐもぐと味をむさぼります。

そして、そこに熱燗がやってくると……パニックになります。「濃厚な味わいの口内が、酒の旨みで溢れかえり、味覚の処理が追いつかない」といった感じです。ただ「よくわからないけどすごいおいしい」状態が続きます。

・和風居酒屋→抑えめのつまみが、熱燗で増幅する(ちょうどいい)
・洋食屋→しっかり味&ボリュームが、熱燗でカオスになる(これもよい)

すごい、うまい、おもしろいです。
日本酒は洋食にもあいます。しかし、あう方向が違うくて、よりヘビーな楽しみになります。そして、居酒屋さんのノリで頼んでいると一皿でお腹いっぱいになります。

居酒屋とも町中華とも違う、にぎやかでシャンとした飲み空間

テーブルからみえる、レジと給水の店。中央の四角は窓で、奥の水色はシェフの背中。そこで鍋を振っています。

お店に湯煎できる徳利が1つ(先ほどの十旭日の入っていたガラス瓶)のみとのことで、少しずつチビチビいただきます。

他のお客さんがやってきてオーダー(普通の夜ごはん)が入ると、厨房ではハキハキとかつ最小限のコミュニケーションがなされ、包丁がまな板を打つ音、揚げ物の音、肉の焼ける音といった「おいしい音」に包まれます。

洋食屋さんのBGMを楽しみながら飲む熱燗、いいです。

壁に貼られているメニューも、目移りします

人気の町洋食飲み、大満足でした。

事前にお店に電話して「日本酒を、熱燗で飲んでも(お店的に)迷惑でないか」と聞いてはいたのですが、いざ回転の速い町洋食で熱燗をちびちび飲むのは、少し申し訳ない気持ちでした。お昼のランチに、もっとたくさんお邪魔します。

おまけ:名物のビーフシチューはすごかったです!

別日、ランチで「ビーフシチュー」をいただきました。シチューというより肉の塊に濃厚なタレが絡みついたような「食べる」タイプ。とにかく濃密で、(胃もたれしましたが)たまらなかったです。これと熱燗…いつかチャレンジします。


※注
・日本酒は基本的に一種類です。選べません
・日本酒のお店ではないため、提供のない場合があります
・人気店でお忙しそうなため、ご配慮を
・ランチの満足度もめちゃくちゃすごいです!


もちろん、お酒を飲みます。