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まさかの「麹交換」日本酒誕生! 「賀茂金秀」「雨後の月」のコラボ酒を飲み比べる

リリースを目にした時時、「まさか」と驚き、是が非でも買いたいと思ったのが今回のお酒(2本)です。

広島の人気蔵であり、ともに上品でクリアなお酒を醸す「金光酒造(銘柄:賀茂金秀)」と「相原酒造(銘柄:雨後の月)」が、お互いの「麹」を交換して醸した2本。
最近は複数の蔵がコラボして醸したり、お米や酵母に工夫を凝らしてある種「遊び」の要素をもたせた日本酒を出すことが増えているのですが(そしてそれを心から喜んでいます)、蔵の「麹交換」は初耳。楽しみしかないお酒です。

一に麹、二に酵母、三に造り…

日本酒の味を決める重要な要素が上の3つといわれていますが、
「酵母」はいろいろな種類が出回っており(協会00とか)、
「造り」も比較的オープンになっている(有名蔵での修業話や、都道府県の技術センターも力をいれているよう)印象。
ついに、最後の聖域である「麹」ではじめたかー と思い、急いで買ってきました。こういう蔵のたくらみ、本当に好きです。

それぞれの蔵は下記です。どちらもおいしいのですが、僕個人は昨年「賀茂金秀」の低アルコール酒を知り、どっぷりはまりました。

金光酒造(http://www.kamokin.com/)
相原酒造(https://www.ugonotsuki.com/)

「麹交換」の日本酒2本がこちら


ラベルはいい具合にださいです。でも無駄におしゃれなラベルより、振り切ったデザインのほうが心に残るもの。背景が「麹」になっており、シンプルに「交換」が伝わってきます。互いの蔵名もしっかりはいっており、「仲いいんだな…」と、微笑ましい気持ちになります。

この2本、お米は「八反錦」、酵母は地元の「9号系」と、条件をそろえています。違いは「麹」と蔵で使っている「水」、そして造り手の「腕」。購入したはせがわ酒店さんにHPにそれぞれのコメントが載っていましたのでリンクを貼ります。これを読むだけでも一杯飲めそうです。

はせがわ酒店 商品紹介ページ
「雨後の月 賀茂金秀 麹交換醸造 純米吟醸 2本 飲み比べセット」
https://www.hasegawasaketen.com/eshop/products/detail/12198

「賀茂金秀」はハツラツとしたさわやかな味!

まずは賀茂金秀ver。香りは控えめですこしだけアルコールの風味。上品さが伝わってきます。

味は…シンプルにおいしい! と思いました。
「しみじみ旨い」ではなく、声を出して「おいしい!!」といいたくなるほど、はっきりとおいしい。
賀茂金秀の特徴でもあるかすかな微発泡があり、舌の上で甘みがじゅわっと弾けます。ラムネっぽいというか、軽やかなんだけどしっかり甘みがある。
後味はすっきり。体育会系というか、爽やかでハツラツとした印象です。

「雨後の月」は上品で思慮深い知的な味!

続いて雨後の月。香りは同じく控えめできれい(同じ酵母ですし)。飲むとこちらもジューシーな甘みがクッキリとしています。かなり近い味わいで美味。でもやや重心が低いようで、余韻も長く続きます。ちょっと渋みが舌にのこる、一歩引いた味わい。もちろんキレイな吟醸酒なのですが、比較すると文化系というか、ちょっと落ち着いた知的なイメージです。

おつまみと合わせてみる

試しに、苦味のある菜の花。生コショウとオリーブオイルです。

これは「雨後の月」があう! 控えめな分、菜の花のほろ苦さによりそいます。強すぎないやわらかさがオイルともちょうどいい。
「賀茂金秀」はフレッシュさが際立つ分、酸味系のほうが合うかもしれません。(コショウの辛味は賀茂金秀がよかった)

この後いろいろ合わせてみたのですが、今日の冷蔵庫(豆腐、そら豆、肉)は雨後の月に寄ってました。単体では賀茂金秀のフレッシュさは大好きなのですが。

これ…混ぜたらどうなる?

どちらも本当においしく、そのうえで繊細な差がある2つのお酒。飲んでるうちにふと思いました。「これ、混ぜたらどうなる?」と。

すると、これがまたおいしい!!
不思議と「まろやか」さが増したよう。フレッシュさは「賀茂金秀」がのこり、甘みや旨さは2つの間(それで丸く感じたのかも)、余韻は「雨後の月」の長さ。これ、あり!十分においしい。

まったく異なるお酒を混ぜたらもちろんダメなのですが、酵母や地域(比較的「水」の質が近いという意味)が同じならばありだと聞いたことがありますが、本当においしいです。
味の調和というだけでなく、商品を混ぜるという背徳感がまた酔い心地を盛り上げてくれます。
(お酒を混ぜるのは失礼にもなることがるそうで、本当にすみません。でもおいしい)

本当にいいお酒(×2本)でした。
今回の企画で特に僕が好きだと感じたのは、2つとも「生酒」ということ。企画モノとして長く売るというわけではなく、今だけの「遊び」である潔さがいい。これから味がかわる1週間ほど、交互に飲み比べていきたいと思います。

銘醸蔵の大人の「遊び」、飲みてとして飲んで応援します!


余談ですが、このお酒の存在を知った時、足を怪我して動けない状態でした。はせがわ酒店に1セット残っていると聞き取り置きをお願いしたのですが、2週間ほどとりに伺えず、ご迷惑をおかけしました。お店の方に相談したところ「取り置きのルールは1週間までですが、1週間後にまた1週間とりおけばいいんですよ!」という、温情ある裏技のおかげで飲むことができました。
本当にありがとうございます。

取りにお伺いした日、そのはせがわ酒店のバーも非常によかったので、写真を紹介します。

「山和」の大吟醸飲み比べ。片方は40%磨きで、もう一方は30%! ぜいたくな比較を楽しませていただきました。とにかく、どちらも日常酒では買えないハイクラスなもので、味わいもやっぱりすごかった。

もちろん、お酒を飲みます。