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不思議体験【苔と日本酒(熟成)を楽しむ会】のイベントに潜入(いにしえ酒店)

「苔と熟成酒」という会合があると聞きました。
なんだろう……よくわかりませんが、なんとなく「酒が進みそう」と感じ、行ってきました。終わった今も、よくわかりません。しかし充実感でいっぱいです。

【苔×熟成酒のイベント概要】
・講師:有川 智己先生
・有川先生の苔講座
・苔を愛でながら熟成酒を味わう
・参加者の採集ゴケを有川先生が評価

イベントの朝、「マイ苔」を採集

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(苔は紙で包むのがいいらしいです)

専門家の先生に「わたしの苔」を見てもらえるらしいので、イベント当日の朝に苔を探すことに。

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いた。

近くの公園に行こうかと考えていましたがそんな必要はなく、アパートの駐車場に大量に生えていました。日陰にひっそり生えているイメージがありましたが、日の当たる平な場所に普通にむくむくと。丸く膨らんだものを採取しました。

熟成酒専門店「いにしえ酒店」でイベントスタート

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会場は北品川の熟成酒専門店「いにしえ酒屋」です。天気はあいにくの、いや、むしろ苔にぴったりな大雨です。

古民家を活用した「いにしえ酒屋」さんは、1階は酒屋さん、2Fはイベントスペースです。「いにしえLABO」としてさまざまなお酒の実験・イベントを開催しています。

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(指南書)

「苔」の認識を変える専門家のレクチャー

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イベントの前半1時間は、有川先生による座学です。
有川先生、高校のときに先生の研究の手伝いで苔に興味をもち、その世界にのめりこんだそう。最近は「苔玉」など、苔を育てる人も増えていますが、育てるよりも自然の中に苔を探しにでるタイプとのこと。

苔好きにもいろいろなタイプがいるんですね。

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(苔の写真をズームするだけで、何種類もの苔がいる!というときの写真)

苔、というと「緑のもこもこしたかたまり」という認識しかありませんでしたが、実は奥深い(趣味的も、学術的にも)世界。

こまちごけ、だぎょうごけ、ひのきごけ…初めて聞く苔の名前が次々登場します。とてもおもしろいのですが、これが1時間続くのでざっと省略します。

・苔植物は世界に25,000ほどあり、日本には2,400程度存在する
・水がないときは仮死状態、水があると吸って育つ
・こけという名前がついていても、学問的にはこけにあたらない(藻とか地衣類とか)ものが多い
・「くらまごけ」は苔植物ではない。しかし「くらまごけもどき」は苔植物
・苔の人(愛好家・学者)は、10m歩くのに1時間(苔を楽しみすぎて)必要
・苔学会はイギリスが熱い!

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(熱のこもった解説に、「おぉ…」「へぇぇ…」と声があがります)

ふと、あれ、自分なにを見ているんだろう、と我に返ります。もちろん自分で苔イベントに申し込んだのですが。

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(講義の後半、そっと出席者の机に置かれた熟成酒。正直、待ってました)

苔と日本酒(熟成酒)のマリアージュ

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ここから、酒をのみつつ「参加者が見つけた苔(写真・現物)」を語り合いあう、というコーナーです。

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熟成酒、それも昭和63年醸造&3大吟醸スペックというすごいお酒です。
とろりとした舌触りがうまい。枯れていない上品な熟成酒です。

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こちらは、湯島にある日本酒バーTANKの女将。「苔でお酒が飲める」と豪語する彼女の秘蔵の苔写真を愛でます。とくに「排水管の苔が好き」とのことです。

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苔写真を見ながら飲む先生。食べるつまみ、ではないものの、不思議とお酒がすすみます。

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こちらは参加者の持ち込み苔4種セット。栃木産の苔とのこと。先生が観察したところ、実はこのなかに苔ではない「地衣類」も混じっていることが判明し、会場が大いにわきました。

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私の採取したまるい苔の番です。先生、ルーペを使って観察します。
結果は「ほそうりごけ」。よくあるタイプのものですが、名前がわかってうれしいです。

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苔で、酒が本当に進みます。

顕微鏡で見る、苔の細胞の美しさ

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(丸いのは水を吸収する袋で、本体は継ぎ目の部分らしいです)

さらに苔を砕いて顕微鏡でみると…美しいです。

先生「苔は3つの楽しみ方があります。まず、遠くから景色として愛でる、次に、近づいて形を観察する、そして顕微鏡などで細胞を観察する、この3つです」

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(先生が海外で採取した大きな苔の剥製。これも苔です)

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先生の貴重な苔に群がる参加者。すごい熱気です。

苔に、日本酒はあう!

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(気がついたらお代わりをしていました)

苔で酒を飲む。思った以上に充実した時間でした。

これがスポーツ観戦だとビールが合うと思うのです。
しかし、どちらかというと静かというか、ニッチというか、一見わかりにくいけれどよく見ると面白みを感じるという点は、嗜好品としての日本酒、それも熟成酒に似ているような気もしてきます。

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(酒、ではなく水に戻した苔です。「苔を食べたいです」との声に先生が困惑する一幕もありました。毒性はないそうです)

そして、苔の世界に熱狂している様子を見ながら、その静かな熱をつまみに熟成酒を飲むのは、なかなかよいものでした。

お酒のマリアージュって、食べ物だけじゃないんですね。

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先生の苔。明らかに私の採取したものとレベルが違う。

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参加者のいい感じの苔です。苔で盛り上がったのははじめてです。

苔が、気になり始めた

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こちらは、私が採取した丸い苔をズームにしたところ。しっかり植物です。こんな形だったんだ。

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帰り道、駐車場のアスファルトの割れ目に苔を発見。ほろ酔いも手伝い、つい撮影しました。見返すとただの地面です。でも、苔に目がいく身体になっていました。

熟成酒と苔の会、多分しっかりと楽しめました。

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クリーミー大久保(日本酒)
もちろん、お酒を飲みます。