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【永楽食堂】秋田最強酒スポットで、地元酒と白子・セリを堪能(予約必須)

冬、秋田に行ってきました。

秋田といえば、日本酒王国。海の幸、山の幸、さぞおいしいことでしょう。是が非でも、それを堪能したいもの。そこで秋田に詳しい日本酒好きの人たちにおすすめのお店を聞き、夜はそこを目指すことにしました。

ちなみに旅の主目的は男鹿「稲とアガベ」の取材です。日本酒業界注目のスタートアップのビジネス論、熱かったです!

日本酒の名店なのに「食堂」?

秋田駅にはでっかい秋田犬がいました

日本酒マニアの方々からさまざまなおすすめ情報をいただいたなかで、もっとも多くの人が熱烈に推していたのが「永楽食堂」でした。

「食堂…日本酒専門店じゃないのか」というのが、最初の感想。詳しく情報を聞くと「1週間以上前から、できれば1ヶ月くらい前から予約していくべき」とのこと。頭は余計に???の状態に。秋田の食堂は予約していくものなのか、と。

行ってみました。秋田駅から徒歩5分ほどです。時刻は18時ごろ。周囲にいくつか飲食店はありますが、やや寂しい通り。

見た目は完全に「食堂」です。レバニラとか、餃子とか、それを瓶ビールで楽しむような「町中華」な雰囲気。そこに、ふらりとスーツが3名やってきて、戸を引きます。しかし店内に入れずに断念。え、満席なのか?

ここから、秋田最強日本酒スポット、永楽飲みを一気にレポートします。

壁一面の日本酒メニューが圧巻!

!!!

ふぉおおおおおお!!
すごいです。嘘みたいなリアクションですが、多分本当に、それに近い声を発しました。入った瞬間、壁一面(正確には2面)に貼られた日本酒のメニューが迫ってきます。

店内は満席。カウンター4席に、テーブルは5-6くらい。そこに人がぎっしり座り、お酒を楽しんでいます。

訪れた時間がちょうど入れ替わりタイミングだったらしく、早い時間から飲んでいたお客さんが何組か出ていくのですが、同時にその時間に予約していた人たちがやってきます。「空席」という概念がここにはありません。

お母さん。いろいろお薦めをおしえてくれました。

お店の人も多め。おそらくアルバイトの若い人たちを含め、決して広くない店内を数名がキビキビと行き来しています。活気があるお店は気持ちいいです。

食べ物のメニューはというと

おおおおおお!!! 刺身から、きりたんぽといった郷土料理、明太チーズやとりもつといった居酒屋メニュー、カレールーまで。絶対においしそうな文字が並びます。

「選べる」日本酒飲み比べでスタート

せっかくの日本酒居酒屋、はじめから日本酒でスタートします。「3種飲み比べ(900円)」をお願いしてみると、「短冊の中から好きなのを選ぶ」というシステムでした。

箱テイッシュがそのまま置かれているお店、そこもまたよく見えてくるから不思議

お通しはシラス刺身とお豆腐。見た目は地味ですが、これが美味しい。あっという間に日本酒3種が(3杯なのに)消えていきます。

お店の雰囲気は、完全に大衆酒場です。しかし、予約客しかこれないので、ガヤガヤしつつも場末のそれではなく「この時間を100%楽しまなければ」という意思のあるガヤガヤで溢れています。

いいです。

ガヤガヤを聞きながら料理をつまみ、日本酒を順ぐりにちびちびやります。店を構成する「ガヤガヤ」を聞きつつ、それを端から眺めながらお酒を飲むのは、なんでこんなに落ち着くんだろう。

カウンターの上には揚げ物などが盛られた大皿が並びます。ここから指差しで注文することも可能

冬の味覚「ただみ(白子)」を生とフライで食べ比べ

こちらは「ただみ」。ただみとは「白子」のこと。まずはお刺身でいただきます。臭みはほぼなし。ただただおいしいです。

そしてこちらは「ただみ天」。白子の天ぷらです。永楽では白子を異なる調理法でいただけるのです。この食べ比べ「北国にやってきたんだ」としみじみします。とろけておいしい。ずっとこの2品頼んでいたいほどです。

お酒は秋田の名ブランド「花邑」の飲み比べ。都内では人気すぎて、なかなかお目にかかれないお酒です。

「あだえ」と「おらえ」メニューの謎

中央上に注目

永楽食堂の日本酒メニューが並ぶ壁の中央には、矢印とともに「あだえ」「おらえ」の文字が。聞くと「あだえ」とは秋田の言葉で「外、県外」。「おらえ」は「中、県内」とのこと。

つまり、壁の中央より左側は「あだえ(県外)のお酒」が書かれていて、右側には「おらえ(県内)のお酒」が書かれているのです。

県外から訪れた身として、今回は「おらえ」酒を攻めることに。千代緑の活性にごり。きりっと系のにごり、料理によくあいます。

福小町で知られる木村酒造さんの、県内限定酒。「いだまし」とは、「もったいない」とのこと。

おつまみは北国&冬の名物でもある「セリ」。それも「サラダ」でいただきます。

これまで、セリは「鍋」「七草粥」しか知らなかったのですが、サラダもとても美味しいです。根っこだけで日本酒がどんどん消えていきます。

北国の食材を愛でることができる大人になったと、しみじみします。

人気のお酒も地元のお酒も、等しく楽しめる

カウンターで隣になった常連の方いわく「たくさん飲むなら3種飲み比べがお得」とのこと。アドバイスをいただきながら、秋田酒で構成しました。なんと、入手困難な「新政」(右)もセットに組み込むことができるのです。

おいしいです。新政もちろんおいしい。そして山本もまんさくの花も、ただただおいしい。不思議と、家で飲むよりお店で飲むほうが数倍美味しく感じるものです。

目の前のカウンターの料理。おいしそう。

永楽食堂で飲んでいると、地方とお酒に対して持っていたイメージが、いとも容易く崩れていきます。これまでなんとなく

華やかで最近流行りのお酒は東京向け。
地方のお酒好きは、普通酒の地元酒を飲んでいる。

そんなことを聞いたことがあったのですが、永楽食堂では、若い人から年配の人までが狭い店内で肩を寄せ合い、流行りの「新政」「十四代」から、地元だけのいわゆる「地酒」まで、等しく楽しそうに飲んでいました。

なんて自由で、気軽なんだ、と。

レアなお酒から、地元の気軽なお酒まであって、なんとなく指差しでお願いできて、料理も気取らず、おいしい。そして安価。

文字にすると普通のことのように思えますが、お酒好きの理想を凝縮してドリップしたものが、ここ永楽食堂にあるのです。

日本酒県・秋田、すごいです。移住したいと思うくらい、すごい。

お酒飲み偏差値が異様に高い、それが秋田

繁華街には、当然のように地元の銘酒の看板が。

永楽食堂、最高でした。それ以外にも秋田のお店をいくつか回ったのですが、全体を通して「秋田の地酒酒場はすごい」と感じました。

東京ではなかなか見られない、またはレアで高値になっているものが、とてもカジュアルに出されている。そしてそのことが「普通」で、誰もが楽しくいただける。北の食べ物は文句なしにおいしい。

お酒好きの偏差値が、異常に高い。すごい土地です。
また必ずきます。ごちそうさまでした。

ちなみに、別日に訪れたKUROのご夫婦。こちらでは稲とアガベをたくさんいただきました


もちろん、お酒を飲みます。