「推しキャラと会話する体験」をつくるAIキャラクター制作の裏側
こんにちは!
株式会社Gaudiyでコミュニティディレクターをしているオキモトレンです。
突然ですが、みなさんは推しのキャラクターはいますか?
私は、小さい頃から漫画やアニメが大好きで、
気に入った作品のキャラクターに飲めり込むタイプでした。
今回のお話は、そんな「推しキャラと会話する体験」を制作する裏側を話できればと思います。
推しと話せる「AIキャラクター」とは?
ChatGPTが流行ったとき、口調をキャラに似せたプロンプトをしている遊びが流行っていました。(「〜だってばよ」みたいな)
GaudiyのAIチームでも、この「推しキャラと話せる体験づくり」に本気で取り組むことになり、私はそこにBizサイドのメンバーとして関わることになりました。
このクオリティが本物に近ければ近いほど、ファンにとっては「推しキャラ」と、いつでも、どこでも会話できるという疑似体験が得られます。
実際の弊社の画面ではないですが、アプリのイメージとしては、以下のようなチャットUIを想像いただければ。
この手のサービスは、近年多く見られます。
一方で、その多くは、公式から許諾を取っておらず、ファンやライセンス元としては見過ごせません。
私たちは、日本が誇るエンタメ企業とタッグを組み、ライセンス元と協働したプロジェクトを進めています。
逆に言えば…
ライセンス元からOKが出るような高い水準で提供しなければなりません。
これがほんっっっっっとうに難しい!!!
そんな難しく、楽しい裏側を、今日はご紹介できればと思います。
なお、本記事では、技術的な話はしないようにします。
よりAIエージェントやLangchainの話は、弊社のTech blogで触れているので、そちらもご覧ください。
制作プロセスの舞台裏
制作プロセスでは、キャラクターの世界観を再現するにはどうしたらいいか?を試行錯誤しました。
その結果、キャラクターAIを4つのステップで制作することにしました。
今回は、制作プロセスが伝わりやすいように
架空のキャラクター熱血ポエマー忍者「カゲマル」を召喚します
今回は、このカゲマルというキャラクターのAIを例に、お話していきます。
1. キャラクターAIの設定書を作成する
設定書では、キャラクターの「記憶」「性格」「口調」を定義します。
それぞれの情報がどのように影響するのか?
忍者「カゲマル」に各情報をインプットして、挨拶をしてもらいましょう。
記憶のみver
…最低限の挨拶だけ
記憶+性格
…おしゃべりになり、余計なことまで言います
記憶+性格+口調
…口調が忍者口調になります
2.プロトタイプを作る
キャラクターの設定書に従って、プロトタイプを作成します。
「カゲマル」とユーザーの会話例
3. テストツールを実行する
今回のキャラクターAI制作の品質を下支えする重要なプロセスです。
記憶、性格、口調、NGテストの4項目で、合計300項目以上のテストケースのテンプレートを作成しました。
特に、キャラクターのブランドを毀損するような発言をしないように、NGテストに注力しています。
一覧のCSV貼っておくので、参考になれば。
4. クリエイターの監修を受ける
最後にして最大の難関は、作者・編集者から「GO」の一言をもらうことでした。
作者や編集者にとって、キャラクターは我が子のようなものなので、当然非常に高いクオリティを求められます。
どんな監修が行われるか、忍者カゲマルを例で考えてみましょう。
カゲマルの勝手な設定
そのため、こんな会話が出力されると、監修NGをくらいます。
NGを修正してみる
記憶、性格、口調のデータセットをチューニングして、出力結果を担保します。
こういった作者や編集者からのフィードバックを受け、テストと修正を地道に繰り返し、クオリティ基準を突破することが必要です。
このプロセスは、キャラクターへの「愛」を注ぐ行為そのものです。
この「愛」が、作者、編集者、そしてファンにも伝わります。
配信者のAIを触ったファンからの声
そんな制作プロセスを経て、実際にある配信者のAIを制作しました。
以下は、ファンからもらったコメントを紹介していきます。
ユーザーからの肯定的なコメント
実際にAIのモデルになった配信者からのコメント
日常的に推しと触れているファンやご本人から、こんな高評価をもらえるとは、私も正直驚きました。
もちろん、良い評価だけでなく、以下のような改善すべきフィードバックもいただいています。
ユーザーからの改善フィードバック
多くのファンから、「呼び名」についてコメントをもらいました。
どう呼ばれるか?というのは、強い違和感を覚えるポイントになります。
記憶やセリフに偏りが出てしまうケース。会話が単調になり、つまらなくなりやすい。
「おやすみ」という時間が伴う発言は、ファンとしても違和感を覚えやすく、一方でLLM側が制御がききづらい。
キャラクターAIが生み出す新しい可能性
今回の検証過程の中で、人気IP・タレントやそのファンから
などの切実なニーズをよく聞きました。
例えば、ライブ配信を行うタレントがいたとして、彼らがいつでもライブ配信をおこなえるわけではない。人気が出たり他の活動をしたりすると、当然ライブ配信の時間が減り、ファンのコメントを見る機会も減るのは必然です。
Gaudiyでは、そういった作者やタレントの限りある時間を、AIの力で拡張し、ファンもタレントもWin-Winの仕組みを作ることができれば、新たな未来を作ることができると確信しています。
5.感想お待ちしています!
この記事を最後まで読んでくれた方、本当にありがとうございます!
記事を書いている途中で、なんかオリジナルキャラクター出したいな?忍者ってかっこいいよな??と迷走して、カゲマルという謎キャラを爆誕させてしまいました….
ぜひ気軽に感想ください!良いコメントも改善コメントも、我が子・カゲマルへのファンレターも全て受け付けます。
また、年末なので、気軽に忘年会・新年会のお誘いもお待ちしています!