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3度目のお出まし

 昨日の夜、なかなか寝付けなかったので本を読んでいると視界の端に黒い物体が目に入った。
 
 もしかしてゴキがブリブリしている奴かと思ってそうっと近づいて良く見てみるとコオロギだった。

 結構大柄な個体で見た目にはいかにも虫である。

 実はここ最近部屋にコオロギが頻出しており昨日見かけたやつで三匹目であった。

 ええっ、またかと思いつつとりあえずティッシュを一枚取り出して相手に気取られないように距離を詰めてムンズと捕まえた。

 それから窓を開けてもう来るなよ~と言いながらポイッと庭に放した。

 コオロギ自体には毒があるわけではないし鳴く事意外に害はないのでそのまま放置しておいても良かったのだが、稀代の虫嫌いである妻の部屋に侵入したら取り押さえるのも一苦労だし何より確実にパニックになるのでリスクはあらかじめ処理しておいたわけである。

 コオロギが家の中に入ってくる侵入経路はいくつかあり一番多いのは玄関からである。

 ほんのちょっと開けているだけで隙間からピョコンと入ってくるそうだ。

 次に多いのが換気扇だそうでこれも隙間から入ってくるらしい。

 そして案外侮れないのはエアコンのドレンホースかららしく、今の時期エアコンを長時間稼働しているのでそのホースの穴からこんにちはしてくるそうだ。

 何にせよ普段家にいない虫が部屋に現れると一瞬だけ身がたじろいでしまう。

 私は虫全般が平気な方なのでゴキがブリブリした奴は躊躇なくスパーンと一撃だし、アリなんかもプチッである。

 クモやゲジゲジなんかの益虫は見かけたらありがたく害虫駆除をよろしくお願いしますと心の中で呟きながらそっと見送ることにしている。

 ゲジゲジは見た目のビジュアルと高速で移動する姿がいかにも気持ちが悪いがアイツはアイツでなかなかいい奴である。

 それはそうと頻繁に現れるコオロギだが、去年まではそんな事はなかったように記憶している。

 玄関の開け閉めは最低限だし、換気扇とドレンホースは致し方ない場所のような気がするがそれにしてもちょっと出過ぎである。

 もしかして一度逃がしてあげたコオロギが再びやってきているのかもしれない。

 あの時逃がしていただいたコオロギです…その節はご迷惑をおかけいたしました。

 お詫びにせめて一節鳴かせていただけませんかとでも言いに来ているのかもしれないと思うと少しだけ愉快な気持ちになる。

 不思議な事に今の所私の部屋にしか進入してきていないので何か理由があるのかもしれない。

 もし四度目があるとしたら今度もそっと逃がしてあげようと思う。

 そんな小さな秋の虫騒動の私の昨日の晩御飯がこちら。

 昨日のメインは冷しゃぶ。

 キャベツを細い千切りにして水にさらす。

 玉ねぎをスライサーで薄切りにして水に晒して辛みを抜く。

 その間に冷しゃぶ用の薄切り豚ロース肉をサッと茹でる。

 火が通ったらザルに空けて粗熱を取る。

 その間に副菜づくり。

 昨日はタコが安かったので刺身に引いた。

 それからオクラの産毛を板摺りしてフライパンでこんがり炒める。

 そこに醤油と黒酢を加えて味を絡めたらオクラの黒酢炒めの完成。

 もう一品はトースターでちくわを焼いた。

 冷しゃぶの仕上げにキャベツ、豚肉、玉ねぎの順に盛り付けて軽く冷やして完成。

 うん、結構豪華なご飯になったなと思いつつ妻を呼ぶ。

 いただきますをして乾杯。

 昨日のお酒は黒糖焼酎の水割り。

 コクンと一口飲むとほのかな甘みと焼酎の風味がしてなかなかいい。

 ではまずはオクラから食べる。

 黒酢で炒めているので軽く酸味が効いており食欲をそそる。

 鮮度のいい柔らかいオクラだったので食べ応えもあってつまみにピッタリ。

 コクコクと焼酎を飲みながらお次はちくわを齧る。

 地元産のちょっといい奴なのでプリプリした歯応えがたまらない。

 練り物製品特有の味の濃さもばっちりでシンプルにイケる。

 二杯目の水割りを作ってタコ刺しをつまむ。

 タコは地物で鮮度は抜群。

 クニクニ、コリコリとした食感とうま味がいい。

 わさび醤油で食べるといくらでもいける味だった。

 ではメインの冷しゃぶをいただく。

 ゴマダレで食べたのだがこれが大正解。

 ショリショリの玉ねぎとあっさりしつつもちゃんとお肉の主張をする豚肉とシャクシャクのキャベツのコンビネーションが素晴らしい。

 何より野菜を大量に摂取しているという感覚が健康的で素晴らしい。

 妻は冷しゃぶが好きなのでう~んこれこれと言いながらモリモリ食べていた。

 おかずが多かったので食べすぎないようにセーブしてご馳走様。

 お酒は三杯で止めておいた。

 後片付けをしてちょっと妻とお喋りをしてから部屋に戻って眠ろうとしたらコオロギ事件発生である。

 いや、本当にどこからやってくるんでしょうね。

 今シーズンまだ夏の終盤戦である。

 これから迎える秋にまたこんにちはとやってこられたらちょっと迷惑。

 だってあいつらめっちゃすばしっこく飛び跳ねるんですもの。

 コオロギは姿を見せずに鳴き声だけで十分ですわ。

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