見出し画像

チョコレイト・ディスコ

 今日は二月十二日、振り替え休日でお休みという素晴らしい日である。

 懸念されていた腰痛もそこまでひどくならずに小康状態を保っている。

 それは置いておいて、明後日二月十四日は何の日でしょう?としょうもないクイズを出したくなる。

 もちろん言うまでもなくバレンタインデーだ。

 そもそもは意中の相手にチョコレートを渡すことで女性から愛の告白をすることが出来るという一日だった。

 少なくとも私が学生だった三十年前までは目をハート型にした女の子とそっけない態度を取りながらも顔が真っ赤になっている男の子をよく見かけていた。

 改めて書くと非常に情けないのだが私はモテる要素ゼロのいわゆる傍観者でしかなかった。

 学校にチョコを持ってくるのはご法度だったので女の子たちは部室に隠したりロッカーに仕舞ったりと色々策を弄していた。

 またチョコを渡す女の子とそれを応援する軍団というのも結成されており、あまり脈がなさそうな女の子のチョコ告白作戦についていって男の子が断るとそれはもう鬼の首を取ったかのような大ブーイングの合唱で非モテの私なんかでもモテル男は大変だなぁと思っていた。

 学校でもチョコに縁がないし部活や塾でもそんな僥倖に恵まれる事は皆無だった。

 唯一母がはいバレンタインと言って赤いパッケージの板チョコをくれるのが関の山だった。

 人生で初めて異性から好意を込めたチョコを貰ったのは社会人になってからだった。

 その子は同じ会社の事務員さんで気が合ったのでよく一緒にお昼を食べに行ったりお酒を飲みに行ったりしていた。

 月一度くらいは二人で一緒に映画を観たりもする関係にはすぐなった。

 ところが私が女性経験が極端に乏しかったのでそこから先にはなかなか進まなかった。

 いわゆる友達以上恋人未満の関係がわりと長く続いた。
 
 そんな年のバレンタインデーに彼女に資材倉庫に呼び出されたので行ってみると、はいこれと言ってピンクのリボンのついたオシャレな紙袋を渡してくれた。

 あ、ありがと…と答えながらもこれって本命チョコだよなと頭の中は色々な妄想が駆け巡った。

 そこで一発告白でもしてハグをしたら彼女もその気持ちに応えてくれたのだろうが、テンパって情報処理能力の落ちた私はじゃあと言ってその場から立ち去ってしまった。

 その日をきっかけに彼女はあからさまに私と距離を置きはじめた。

 飲みも映画にも用事があるからと言って断ってくるし態度もそっけなくなった。

 ああ~ミスったぁと後悔したが時はすでに遅くホワイトデーに挽回の意味でちょっとしたアクセサリーを贈ったが身に着けている姿を見る事はなかった。
  
 私の独り相撲で一つの小さな恋の始まりを潰してしまったのが今でもチクリと小さなとげの様に刺さる。

 彼女はそのうちに転職してしまったので今頃何をしているのかもわからない。

 私よりも二つ年上の笑うと目が無くなる所がチャーミングな女性だった。

 毎年この時期が来るとこの出来事を思い返してお前ショッパイやつだなと自分の愚かさを痛感する。

 今は毎年妻が手紙付きのチョコをくれるのでシアワセである。

 あの子も今頃は私よりも背が高い洋楽好きな人と一緒に暮らしてくれていたら良いなと高嶺の花子さんが鼻歌で出てくる。

 バレンタインデーには色々な思い出が詰まっていると思う。

 願わくばみんなが甘~い一日を過ごせますように。

 そんな事を考えながら昨日の晩御飯の話を少しだけ。

 昨日は鮮度のいいホルモンが買えたのでもつ鍋。

 まずはホルモンに小麦粉をまぶして余分な脂を落とす。

 これは父直伝の技でホルモンが格段に食べやすくなる。

 野菜はキャベツともやしとニラをたっぷり。

 副菜は糸こんにゃくのたらこ和え。

 糸こんにゃくのアクを抜いて乾煎りしてそこに明太子をまぶしてすぐに火を止める。
 
 これだけでちょっといいおつまみになる。

 後はキュウリのぬか漬け。

 鍋を出してきて今に材料を運んで妻を呼ぶ。

 昨日のお酒はビール。

 シュップリンとプルタブを起こしてグラスにスットコスットコ。

 いただきますをして乾杯。

 ングングンぐ、ぶひゃあウメーと声が漏れる。

 では早速鍋を作る。

 鍋にニンニクとたかの爪を入れそこにしょうゆベースのつゆを満たす。

 沸騰したらもつを入れてニラ以外の野菜をドサリ。

 フタをして三分もしたらニラをドカン。

 後は一気呵成に食べるだけである。

 もつはプリプリで脂っこく無く食べやすい。
 
 スープを吸った野菜も抜群である。

 これはイケルねぇと言いながら妻がモリモリ食べていた。

 二本目のビールを飲みながら糸こんも食べる。

 たらこの塩気だけの味付けだがさっぱりしていてもつ鍋の箸休めにはもってこいだった。

 ぬか漬けも漬かり具合が丁度いい。

 もつと野菜を追加しながらバクバク。

 三本目のビールを飲んでから締めにマルタイの棒ラーメンを入れて即席もつラーメンを拵えた。

 これがまた絶品でスルスルとお腹に収まった。

 お酒も飲んで締めにラーメンまで食べたので大満腹。

 はぁいいご飯だった思いつつササッと片付けて就寝。

 さて、みなさーん明後日はチョコレートの準備をお忘れなく。

 義理チョコで友チョコでも貰うと嬉しいじゃないですか。

 あ、私のカバンにはまだ若干の余裕がございます~。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?