たった一本でこの騒ぎさ
昨日のつぶやきでハ〇チュウを食べていて銀歯が取れたと書いた。
舌で触るとジィンと染みてなかなかに手強い痛みだった。
水を飲んでも沁みるので昨日の晩御飯は妻が食べるように鶏じゃがとポテトサラダ、ニラ玉を拵えた。
私はゼリー飲料を飲むので精いっぱいだった。
痛みに耐えながらどうにかこうにか朝を迎えたので早速行きつけの歯医者に予約の電話をしてみたら今日は混んでいるから診察は難しいかと…と言われた。
そうなると明日は祝日で歯医者はお休みなので治療は最短でも木曜日以降になってしまう。
さすがにそんなには耐えられそうになかったので診察時間終了ギリギリでもなんとかなりませんか?と食い下がると電話を保留にされた。
ああ、何とか治療してもらえますようにと心の底から日ごろ信じてもいない神様に救いを求める自分の浅ましさがちょっと嫌になった。
しばらくして電話に出てくれた受付のお姉さんはじゃあ今日の18:00に必ずいらしてくださいと慈悲深いお言葉を授けてくださった。
電話を掛けたのが朝の九時、治療までの丸一日は苦難の連続だった。
まず、運転をしていてもジンジンと痛むので集中できない。
他の事をしててもつい気になって舌で患部を探ってみて激痛に悶えた回数は数えるのが嫌になるくらいである。
朝ごはんは牛乳を一杯、お昼もゼリー飲料なのでお腹が減って仕方がなかった。
そんな艱難辛苦を乗り越えて用事も全て終わらせて歯医者の予約五分前に滑り込んだ。
私と同じように急いで治療してもらいたい患者さんが多いのか待合室は殆ど埋まっていた。
受付に診察券と保険証を提出して開いているイスに座り込んでホゥと息を吐いた。
もう少しの辛抱だぞと折れそうな自分の心に言い聞かせた。
待合室で流れていたBGMがなぜかQUEENのインストゥルメンタルでウィ・ウィル・ロック・ユーのズンズンチャッと言うリズムが心理的に歯に染みてたまらなかった。
途中から別の曲になったのでやれやれと思っていると一人また一人と診察室に呼ばれていく。
だんだん待合室も人が少なくなっていきとうとう私一人になった。
ああ、本当にむりやり当日にねじ込んでくれたんだなという事が分かってありがたかった。
それからしばらく待っていると歯科助手のお姉さんが名前を呼んでくれたので診察室に入った。
診察台に座って前掛けを漬ける。
今日はどうされましたか?と聞かれたので銀歯の詰め物が取れましてと答えた。
取れた銀歯を持って行っていたのでこれですと渡すとお預かりしますと言ってしげしげと眺めて、これならそのままくっつきそうですねとありがたいお言葉を頂いた。
まずは患部が痛むのでレントゲンを撮ってもらった。
すぐに歯科助手のお姉さんが戻ってきて中が少し虫歯になっていますねと教えてくれた。
処置としては虫歯を削って銀歯を被せるという事になった。
真っ白な天井を眺めて待っていると先生がやってきて簡単に挨拶をした。
それから口を大きく開けて虫歯をチュィーンと削っていった。
痛みはそれほどでもなかったが私は口を長く開けているとえずいてしまうのでそっちの方が気になってしまった。
どうにか虫歯の治療が終わってうがいをして次は銀歯を被せる作業。
あんぐりと口を大きく開けてカチカチと歯の噛み合わせをチェックして銀歯を微調整して削っていく。
そして丁度いいサイズになったら接着して後はギリギリと強く噛んで二分我慢。
それが終わったら銀歯をグリグリと磨いて消毒をしたら施術完了。
全部で十五分くらいの早業で無事に銀歯は生還を果たした。
仕上げに歯科技工士さんから銀歯の下側の歯茎が一部壊死しており骨が見えている状態なので歯磨きを特に念入りにするようにと指導された。
その言葉にギョッとしたが骨が見えていると言われていい気はしないので今日から真面目に歯磨きに時間をかけようと心の底から思った。
待合室に戻って会計をして受付のお姉さんに無理に予約をねじ込んでもらって助かりましたとお礼を言うと、いいえ~定期的に検診にいらしてくださいねと笑顔で言われた。
歯医者を出た時にお腹はペコペコだったが今日は銀歯の接着剤が固まるまで粘着性の食べ物と硬い食べ物はNGだと言われたので食事の制限は今晩も続くのであった。
妻には少しだけ豪華にお寿司を買って帰った。
私はヨーグルトとゼリー飲料で我慢の夜を過ごすことになった。
普段は歯の事なんてまったく気にしていないのにたった一本が損傷しただけでこの騒ぎである。
今も嵌めなおした銀歯は違和感がアリアリでつい舌で触ってしまう。
まあ数日もすれば普通になれると思うので気にしないことにする。
それにしても今日はなかなかに神経をすり減らした一日で会った。
明日が休みで本当にありがたい。
目覚ましをかけずに思いっきり惰眠を貪りたい。
なんたって昨日は歯痛で寝不足なのもので。
ああ、健康って尊いなぁ!
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