見出し画像

6インチの画面と大格闘

 IDを入力してください。

 ええ~そんなの覚えていないよ~。

 これがついさっきの私である。

 何をしていたかというとスマートフォンに銀行のアプリを入れようとしていたのである。

 アプリストアからアプリをダウンロードしてログイン画面になった時に思考が停止した。
 
 とりあえず思いつく限りのIDを入力してみたが無常にも弾かれてばかりだった。

 やむを得ないので最初から登録をやり直すことにした。
 
 まずは自分の口座番号や名前、生年月日を入力する。

 ここまでは何の問題もなくスムーズに進んだ。
  
 次はIDとパスワードの設定画面に移った。

 頭を捻って自分になじみのある数字で誕生日に絡まないものを入力した。

 ところがここで入力に誤りがありますの赤い文字が光った。

 ムムム、と思いつつ慎重に同じ文字と数字を打ち込むとやはりエラーが出る。

 ええ~何で?と思って注意文の頭からお尻までじっくりと読むと大文字と小文字と数字を含む文字を入力してくださいと書いてあった。

 はぁ、なるほどと思って打ち直して次に進むを押したらようやく先に画面が進んだ。

 機械にとても弱い私はここまででとても消耗していたがまだ登録は完了しない。

 お次は確認のメールを送るからアドレスを入力しろという。

 言われたとおりに普段使っているメールアドレスを打って送信したがこれがいつまで待っても返信のメールが届かない。

 何度かやり直してみたが駄目だったので試しに今はもうあまり使っていないキャリアのメールアドレスで送ってみたらすぐに返信が届いた。

 それを開いてお疲れさまでしたご登録の完了ですという文字を見た時には何か大仕事をやり遂げた気になった。

 これでスマートフォンでも残高を確認できるなと思っていたら、ご入力の手間を省くために生体認証を登録しませんか?という画面が出た。

 指示通りに指紋認証を登録したらIDもパスワードもすっ飛ばして口座情報の画面に飛べるようになった。

 果たして私の費やした小一時間の頭脳戦の意味は…と思って何だかぐったり疲れた。

 改めて考えてみるとスマートフォンにはあらゆる金融機関や役所、保険会社のアプリがミチミチに詰まっている。

 そのどれもがIDやパスワードが違うという事を考えたら頭がクラクラする。

 それらの一つでも忘れてしまったら非常に困ることになることは確実である。

 もしもスマートフォンをどこかに落としたり忘れたりするとたちまち生活が立ち行かなくなるというのはある意味とても恐ろしい事だなと改めて思った。

 技術の進歩が目覚ましすぎて何でもかんでもアプリアプリの世の中だが電機と電波が無ければスマートフォンはただの薄い黒い板である。

 これからも化学は進歩していくだろうし昔はスマホというモノがあってのぅ…と語るお爺ちゃんになりそうでちょっとしたSFである。

 今から三十年後、人々の通信手段は何になっているのでしょうねぇ。

 それはちょっと見届けたいのでせいぜい長生きすることにしようかのぅ。

 とまあそんな事をしていたら目が疲れてショボショボしている私の晩御飯がこちら。

 昨日も冷えたのでスープ物がメイン。

 鶏モモ肉を一口大に切る。

 カブと人参を小口切り。

 玉ねぎを薄切り。

 ジャガイモを乱切り。

 フライパンに油を敷いて火を点ける。

 そこに鶏肉を入れて表面の色が変わるくらいまで炒める。
 
 そうしたらそこに野菜を全部投入。

 たまねぎがしんなりするまで炒めたら火を止めて小麦粉を振り入れて牛乳を注ぐ。

 必殺のホワイトソースイージーモードである。

 そこに顆粒コンソメを加えて具が煮えるまで弱火でコトコト。

 その間に副菜を作る。

 トンカツ用の豚肉を筋切りする。

 軽く塩コショウをして小麦粉をまぶしておく。
 
 それを溶き卵にくぐらせてフライパンでじっくりと焼く。
  
 付け合わせはキャベツの千切り。

 あっという間にポークピカタの完成。

 もう一品欲しかったので大根葉をふりかけのゆかりで炒めた。

 後はニンジンと白菜のぬか漬け。

 シチューが煮えてきたら仕上げに塩コショウをしてバターをドゴン。
 
 よし、冷える夜だからクリームシチューだ。

 妻を呼んでいただきます。

 昨日のお酒はホットウイスキー。

 飲みすぎないように薄めに作る。

 いただきますをして乾杯。

 ツツッと飲むとお酒の香りでむせそうになる。

 ふう、温まるなぁと思いつつもう一口。

 つまみは大根葉とぬか漬け。

 ゆかりで炒めた大根葉はちょっと酸っぱくてしょっぱくて癖になる。

 ぬか漬けもだいぶ板についてきたのか味が安定するようになってきた。

 水が上がってきたときも焦らずに対処できるし一日二回しっかりかき混ぜている。

 ぬか床が冷たくて手がジンとなるので昔の人は偉かったんだなぁと思う。

 次にシチューを飲む。

 ほんわり暖かくて鶏肉がホロホロでカブの甘さが嬉しい。

 鶏肉とカブのシチューは母の得意料理なので懐かしい気分になった。

 二杯目のホットウイスキーを飲みつつピカタにも手を伸ばす。

 ハムッと噛むとしっかりした肉の繊維と卵のまろやかさが一緒になってリッチな味わいである。

 お肉に卵をまぶして焼くだけでちょっとしたご馳走感が出るので良いなと思う。

 妻はピカタが好きなので忙しそうにナイフを動かしていた。

 二人で食べて飲んですっかり温まってご馳走様。

 お酒は控えめに二杯で打ち止め。
 
 ご馳走様をして後片付けをして部屋を暖かくして就寝。

 それにしてもスマートフォンの画面が小さいなと感じるのは何歳ぐらいからなのでしょうね。

 スマホ老眼という言葉もあるくらいですし以外に深刻な問題かもしれませんね。

 技術の進歩で老眼対応のスマートフォンが発明されたらビッグビジネスの匂いがしませんか。
 
 誰か技術のある人私と組みませんか?取り分は6対4で。

 いやだなぁ、私が4ですよ。

 もしかしてもうあったりして。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?