失われた時間に気付く
ゆうちゃんは、寝たきりになる少し前からお腹の調子が良くありませんでした。
今思えば、もう内臓の動きが良くなかったのだと思うのですが、当時は食欲も普通にあったので、水の飲み過ぎや冷えによるものだと勘違いしていました。
整腸剤を与えて、一瞬良くなったこともありましたが、それ以降、良くなることはないまま、虹の橋を渡っていってしまいました。
ゆうちゃんがずっとそんな調子だったので、仕事帰りはまっすぐ一目散で家に帰っていました。
家に帰ってからの第一声はいつも、
「今日のゆうちゃんはどうだった?」
と母に聞いていました。
ずっと寝ていたとか、昼に日向ぼっこをしたとか、おやつをモリモリ食べたとか、その日の様子を確認しながら、ゆうちゃんのオムツチェックをする、というのが帰宅後のルーティーンです。
で、大体、オムツの不快感を訴えて鳴いているので、速やかに綺麗にするのが世話係の最優先事項でした。スッキリして、安心したように寝ているゆうちゃんの顔を見て、ゆうちゃんは、お姉ちゃんの大事大事だよ、と言い聞かせながら小さな頭や柔らかい耳をひとしきり撫でていました。
私にとって大切なひとときでした。
先日、仕事帰りに美術館に立ち寄って、展覧会を見ました。
ふと、もうゆうちゃんのことを気にして、早く帰らなくてよくなったんだということに気づいてしまいました。
寂しいなぁ。
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