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元発達相談員の育て直し日記【学童保育の1年編】

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「理想の学童保育とは」という理論的なものを書きたいのですが、かなり多義に渡っていて複雑になります。どこのどの部分を語っているのか、分かりにくいのです。だから、「理想の学童」を求め…
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#子どもに教えられたこと

理想の学童保育を求めて、細部を書く

 学校に頼まれて、時々学校に相談に出かけます。それが放課後なら、気になるので学童保育の様子を見に行きます。  学童の部屋では、子どもたちがおもちゃで遊んでいるだけです。運動場では、することもなく枝を拾ってぶらぶらしています。遊んでいても、せいぜいドッチボールです。先生たちは、ケガをしないように、トラブルがないように、見張っているだけです。  学童保育が、子どもを育てる場ではなく、子どもを預かる場になっていることに、寂しさを覚えます。  私は1990年から1998年まで、9年

「1997年の学童保育の生活」を詳しく書きます。読み通すことで「理想の学童保育」を考えましょう!

  当時発行していた《おはなしきいて》という文集を元に、1997年(平成9年)の学童保育を(当時は留守家庭児童会)再現していきます。  そこに出てくる名前は、全て仮名です。内容も、加筆したりまとめ直したり変更したところもあります。つまり、事実のそのもの再現ではまく、限りなく事実に近い架空のお話です。  まず、1997年度の学童保育の、基本的なことを書いておきます。   名称     《あそぼうクラブ》    定員 50名  うち4年生5人。1年から3年生まで45人。   

3月は、卒所していく子の別れと新入会する子の準備です その1

《1997年 3月1日(金)》 3月に入った。そろそろ誰が卒所するか、話題になってきている。  今日は、あいにくの雨で外で遊べない。部屋の中で、班対抗のゲーム大会をした 。『大脱走 』『団結の樹』『隣は誰ーれ』をやった。  最後に、もう少ししたいというので、 ボーナスゲームをした。4年生の上杉さんが。私がしてあげると『リーダーじゃんけん』をしてくれた。大変上手な司会兼リーダーだった。よく成長したものだ。     ⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐ 【解説】 『誰が卒所

3月は、卒所していく子の別れと新入会する子の準備です その2

《3月4日(月)》  1年生が、この一年間で「ボールの扱い」や「投げ方」がどれだけ上手くなったか見たかった。これも、来年度への準備だ。  それで、ミニドッジボールをやってもらって観察した。 みんな上手くなっていたので、驚いた。まだ、ミニドッチボールを合格していない全員をドットボールに昇格させてあげた。「やっとか」とか「うれしい」とか「ちょと怖い」とか言っていた。  ものを、 半強制的にもらったり上げたりしている。相手が「いいよ」と言う前にもうもらったりしている。「友達やろ」

3月は、卒所していく子の別れと新入会する子の準備です その3 エピソード

『きれいに書けたね』  浅田 リュウ   宿題ができたので「見てちょうだい」と、算数のプリントと視写のプリントを持ってきた 浅田君 。「どれどれ」と視写のプリントを見たらとても綺麗に書いてある。  「浅田君、とてもきれいに書けているね」と褒めかけて気づいた。視写は、ノートのはず。何と浅田君の持って来たのは、見本のプリントだった。  「ええかげんにしなさいよ」と叫んでしまった。そりゃきれいな はずだ。 『偽装倒班』    上杉 コウ   学校から帰って着替えながら、 中川君が

3月は、1996年度のまとめの時期でもある その1

《3月5日(火)》 焼き物に釉薬を塗る  長く続けている焼き物が、完全に乾燥したみたいだ。2月に作った箸置きやマグカップが、板とブロックの棚にたくさん並んでいる。動物や葉っぱのお皿もある。朝から、釉薬の濃度の調整をしたので、今日から釉薬を塗り 始めることにした。  「好きなもの遊び」をやめて、皆で釉薬を塗った。始めは「どうなることやら」と心配した。つけ過ぎたり、バケツの中に作品を落としたりと色々あった。しかし、 どんなことでも そうだが、 何回もすると上手になるもんだ。

3月は、1996年度のまとめの時期でもある その2

《3月6日(水)》 「ろくむし」を教える 水曜日は、手作りおやつの日。フルーツゼリーを「ランドセル班」で作った。人数分作るのは、結構大変。バナナや缶詰の桃など切るものが多い。  OBの諏訪君が遊びにきた。何か新しい遊びをしたいと言うので『ろくむし』というのを教えてあげた。  焼き物工作の釉薬塗りを、今日もやった。釉薬のバナナ(黄色)が濃くなっていて、少し厚掛けになった。釉薬の濃度調整は難しい。調整しても、すぐ濃くなる。毎日、戦いのようだ。  今日は、 伏見君が誕生日だった

3月は、1996年度のまとめの時期でもある その3

《3月7日(木)》 コマ教室の導入開始  雨だったので「好きなもの遊び」を止めて、素焼きに釉薬を塗ることを中心に 遊んだ 。OBの諏訪君が、今日も遊びに来てくれた。最近良く来る。  「何か 、皆で夢中になれることを 、始めたいな」ということで4月からミニ『 コマ 教室』を急遽することにした。諏訪君が、得意だから決めた。  「コマをしたい人、おいで。先生と諏訪君で教えるよ」と導入を始めると、たくさんやってきた。あっという間に、殆どの子どもに広まった。諏訪君も、上手に協力してく

3月は、1996年度のまとめの時期でもある その4

《3月9日(土)》 リーダー企画『ボードゲームで遊ぼう』 今日は、土曜日なので来る子が少なかった。たったの4人。のんびり過ごした。  来る子が少ないと予想されたので、リーダーたち(4年生以上)で、リーダー企画をした。  有志7人が参加。今回は『ボードゲームで遊ぼう』という企画。『クルー』と『スコットランドヤード』というゲームを教えてあげた。さすが、リーダーだ。ルールがやや難しいのに、覚えが早い。  『クルー』は、西北先生が中心にやった。『スコットランドヤード』は、おやつの

3月は、1996年度のまとめの時期でもある その5 エピソード

『時代を感じる』  中川 ノブ  リーダー企画 のボードゲームが伯仲して、帰る時間が伸びてしまった。ノブ 君が「お母さんに連絡するから、電話を貸して」と言ってきた 。「いいよ」と返事をしたら、電話のを受話器を取った。しかし、ノブ君は、そのまま固まってしまっている。銅像のようだ。   あれ どうしたのかな と思って、ややからかい気味に 先生「中川君 まさか 4年にもなって、 電話のかけ方を知らないんじゃない    だろうな。」 中川「これ、 番号のボタンはどこにあるの?」

3月は、1996年度のまとめの時期でもある その6

《3月11日(月)》 コマの導入、進んでます こま教室 しようとして、コマの導入 が進んでいる。あまりやりそうにない子に、個別の声かけをして教えている。その成果、ほとんどの子どもが回せるようになっている。  4月から、遊び等で手指を鍛えてるので、何をやってもすぐできるようになうようだ。先生として、嬉しい。 《3月12日(火)》 うどんと文集作り 文集の印刷ができたので、折込みとホッチングをした。半分に折ったあと、床に順番に並べて子どもたちが、1枚1枚取って回る。なぜか

3月は、1996年度のまとめの時期でもある その7 焼き物工作、本焼きへ

《3月13日(水)》 素焼きを電気窯へ  社会教育課の軽トラに積んで 、子どもたちの素焼きの作品を電気釜のある地域の自治会館に持っていった。移動中に倒れて、カップが少し壊れてしまって申し訳ないことをした。軽トラで 素焼きを持っていくのは、大変 難しい。いい方法はないのか?荷台に並べただけでは、だめだ。  この3月で学童 辞めていく 5人の4年生と、退職して 隣の市の職員になる野坂先生にみんなで色紙を書いた。結構、色々書いていて面白かった。素直に気持ちを書くと、いい色紙ができ

3月は、1996年度のまとめの時期でもある その8 エピソード2つ

『無関係』  川上 あや 子どもたちだけで、自由遊びのときに二重Sケンをしている。しばらくしたら 、川上さんが口から大量の血を流しながらこちらに向かってくる。すわ、大怪我かと慌てながらも、落ち着いたふりをして聞いてみた。 先生「 どうしたの?」 川上さん「あのな、二重Sケンしてたら、勝手に歯が抜けた。」 「口くち を、ゆすいでおいで」 とか「一緒に、 歯を探そうな」 とか指示しながら 、二重Sけんと「歯が抜ける」は、関係あるのかな考えていた。   😰😰😰

3月は、1996年度のまとめの時期でもある その9 雨で班対抗ゲーム大会

《3月15日(金)》 風船バレーの練習  今日は雨 。好きなもの遊びができないので、お別れ会でする「風船バレーボール」の練習を兼ねて「風船バレーボール」を入れたゲーム大会することにした。  「風船バレーボール」以外には、子どもたちのリクエストで「動物 宝探し」と「 カレー ゲーム」をやった 。優勝はストーブ班、ベッタはマリオ班だった。 ほとんど差がなく接戦だった。優勝したのは、先生が特別に評価してあげる ボーナス点をたくさん取ったチームだった。  林さんは、カレー ゲーム