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Mリーガーの一打⑤その1(11/27第1試合:ベテランの粘りと抜け目のなさ)

こんにちは。カザラキです。

いきなり個人的なことで恐縮ですが、最近はこんな感じで、天鳳では不調が長きにわたって続いています(不調と言わせてください!近いうちに8段9段へと昇段する予定です!)が、協会リーグ戦ではじわりじわりと昇級が近づいてきたところ。ただMリーガーへの道はまだまだ長いですね。

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はい、それでは今回のMリーグの試合に参りましょう。

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まずは上の写真をご覧ください。
いやいや、なんでしょうこのメンツは。渋いですねー。
簡単に東家からご紹介すると、

村上淳選手は45歳。最高位を3度、ほか獲得タイトル多数。A1リーグ所属。
沢崎誠選手は65歳。最強位やマスターズ、十段位を獲得。A1リーグ所属。
藤崎智選手は52歳。現鳳凰位。以前も鳳凰位を獲っていて十段位も獲得。
黒沢咲選手は年齢非公表。プロクイーンを2期獲得。現在A1リーグ休場中。

と、みなさんそれぞれ所属団体の最高リーグに在籍中。タイトルも書き切れないほど取っている選手ばかりで、まさに実力者ぞろい。
それぞれ打ち方は異なるものの、この強きベテラン達に共通する資質とは何でしょうか。色々あるとは思いますが、私は「粘り強さ」と「抜け目のなさ」だと思っており、今回はそれが際立った試合となっていたので、ぜひそれを注目して最後までお付き合いしてくればと思います。
それではGAME START!!

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まずは東1局。親の村上選手が中からの仕掛け。萬子と索子をバラバラきっての筒子のホンイツ。明らかな一色手の捨て牌で周りにプレッシャーをかけていきます。
中途半端に隠すよりも、狙いをさらけ出すことが逆にいい結果を産むこともありますが…さて今回はどう転んでいくのでしょうか。

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その村上選手、5巡目には1筒をチー、9筒を打っての一向聴。ただ打点は12000点ある一方で、少し形は厳しいところ。南か6筒なら上家からじゃなくても鳴けるのですが・・・。

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いや、切らないのですよ、藤崎選手は。
全くいらない6筒を持ってきたのですが、考える間もなく前巡に通っている3萬打ち!そうなのです。村上選手に対して100%切れないドラの發を1枚だけ持っていて、そこに更に使えない6筒。となればここは一旦引くのが最善の一手なのかもしれません。
血気盛んな若者なら今のうちにと普通にツモ切るのですが…やはり渋いですね、打ち方が。そしてこの局はアガリをあきらめて守備に徹して…

いやいや!そんなに簡単にあきらめるようじゃ決してここまで登りつめなかったでしょう。この手牌が何と終盤に……

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なんと發も6筒も打たずにチートイドラドラを聴牌してるじゃありませんか!!そしてそのタイミングでようやく8筒をひと勝負。結果的にはアガれなかったものの、しっかり一人聴牌で3000点を獲得するのです!

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さて今回の結果はもちろん偶然的要素もあって、必ずしもうまくいくとは限りませんが、麻雀が強くなるにはやはりこういった「粘り強さ」が必要不可欠だと私は考えています。
例えばさっきの手牌で發や6筒はなかなか切れない牌なのですが、まだ序盤でその切れない牌を中心に手を組んでいけばまだまだあきらめる必要のない段階。あるいは途中でそのどちらかが通れば更に選択肢が広がり、押し返しのチャンスも広がります。

私が思う「麻雀強者」にはこのような「粘り強さ」「諦めない精神」が必ず備わっていて、そのためにはやはり常に場況を意識しながら自身の将来の手牌を見据えるというスキルが求められています。
それは非常に疲れる作業なのですが、そのような「サボらない意識」こそが長期にわたる成績を支えてるのであって、彼らが終盤何度でも生き返る秘訣なのではないかとわたしは考えるのですが、みなさんはどう感じたでしょうか?

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はい、少し長くなりましたが、試合へと戻りましょう。東2局ですが、もう終盤。全体的に気持ちのいい聴牌が入らないまま、14巡目についに黒沢選手からリーチ!!

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しかしその3巡後、ようやく聴牌した村上選手も追いかけリーチ!!
……なのですが、これはなんと残りツモがないリーチ。というか、黒沢選手のツモ番もなく、残りは沢崎選手と藤崎選手だけ。
2人ともリーチをかけていないので、さらっと流局するかと思いきや…

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ここで沢崎選手が手詰まりとなるのです。そう、村上選手はこれを見抜いていたんですね。なんとか放銃は回避しましたが、沢崎選手が安牌に窮して村上選手の当たり牌を出すかもしれない、あるいはどちらかが鳴いて黒沢選手にツモ番を回すなど、アガリへの可能性はまだ少し残っているところでの村上選手のリーチ判断。

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結果的に流局となり、その是非は私にははっきりわかりませんでしたが、リーチが選択肢に入っているだけでも戦略の幅の広さを感じます。

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次局はリーチ棒が2本残っての東3局2本場。まずは藤崎選手が中を鳴いての2シャンテン。

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更に9筒もチー、8巡目に3筒をツモって早くも聴牌。点棒的に平たい状況、この手をアガって供託も獲得できれば有利な状況になりますが…

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と、ここで黒沢選手が選択の時間。手広く平和を狙うか、あるいは受け入れは少ないが三色を見るか。捨て牌を見れば4筒や6萬を早めに切っていることからかなり三色を見ていることがわかりますが・・・みなさんはどちらがお好みでしょうか?

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ここはやはり黒沢選手。最高打点を目指しての打5索!!個人的にはどちらの選択にも長短あってその是非は難しいですが、、、結果的にこれは藤崎選手の当たり牌。藤崎選手は3500点とリーチ棒2000点の収入となりました。

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↑ ちなみにこちらが点棒の授受の絵。渋いお二人の何とも気品あふれる姿、まるで麻雀が貴族のお遊びのように見えますね。

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東3局3本場。7巡目でまたも黒沢選手に選択が。ドラは南でご覧の手牌。さてここで何を切るでしょうか?

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対子手を一旦後退させるのは意外でしたが、黒沢選手は三色を強く見た9萬切り。個人的には牌効率+対子手を見た9索切りか、高打点全てを見る3索切りが好みなんですが、さてこれがどう進んでいくのでしょうか。

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2巡後の黒沢選手、前巡に絶好の7萬を引いたのですが、次巡、全てが壊れる6索引き!仕方なくリーチ…

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するわけないですね、黒沢選手は特に。ドラも2枚見えていて、先手であることから100%悪いわけではないのですが、特にMリーグルールで待ちも打点も悪い場合、押し返しが怖く、リーチはしない方がよさそうです。そしてその後黒沢選手は何度か安手での聴牌復活をするのですがことごとくツモ切っていくのです。

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一方こちらは村上選手。カン5索を鳴いて、先ほどまでは45萬待ちだったのを、36萬待ちに待ち変え。打点こそ低いですが、藤崎選手に連荘させまいと、早アガりを狙います。

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と、そんな村上選手を横目に、赤二枚が手牌に内蔵されている沢崎選手。

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いやー、微妙な状況ですが、どれを切ればいいでしょうか?索子は両面だし、萬子は赤入り、そして萬子と索子を鳴いているため筒子は待ちになっていそう、という訳で…

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沢崎選手はじっくりと様子を見る2シャンテン戻しの北切り。大人の対応ですね。焦らず騒がず、こんな時はゆっくり進めていくのがベストなのかもしれません。

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そして次巡、4萬を鳴き…

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その後2筒を引き4筒を切って聴牌するのですが…

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次巡5筒を引いて手が止まります。そう、先ほど申したとおり、萬子と索子を鳴いているため、筒子、特に25筒は本命なのです。というわけで…

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対面が少し前に切っていて安全そうな3索切りで聴牌崩し!!

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…とするのですが、再度5筒を引き、4索勝負で聴牌復活!実際はこの25筒は当たり牌じゃなかったのですが、結果的に…

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村上選手が掴んだ8筒を沢崎選手がロン!!3900点の和了となるのでした。
いや、当たり牌ではなかったものの、やはり粘るんですよね、沢崎選手も。少しでも安全度の高い牌を切って聴牌へと向かう、そんな柔軟な打ち方はやはり経験豊富な打ち手に多いように思います。

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そして場面は東4局。黒沢選手の親番ですが…なんじゃこの配牌は!!ドラ赤が既に内蔵された一向聴!一気にトップへ駆け登る期待を胸に、南から切り出していきます。

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と、そんな事は微塵も知らずに1巡目から1索を仕掛けたのは藤崎選手。第一希望はホンイツですが、自風の北も暗刻なので、守備力も兼ね備えた事から躊躇なく前へ進みます。そう、ベテラン勢はリスク管理も抜かりはないのです。

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しかしやはり早いのはこちら!3巡目にして聴牌!なのですが、待ちはカン3索。さて、みなさんならこの聴牌にどんな判断を下すでしょうか?なんと黒沢選手は…

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聴牌とらずの打2索!
はい、まずこのメリットを言えば、一気通貫への変化とその後の好形変化。特に藤崎選手が索子模様のため、索子待ちは少し心もとないところ。
対してデメリットと言えば、やはりすぐにアガれないということ。聴牌と一向聴は天と地の差であるとはよく言いますが、ひょっこりツモっての4000点オールを逃すのは痛すぎるのです。
ということを踏まえた上で、次に黒沢選手が引いた牌はーーー

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一気通貫が確定する9萬引き!慎重に一旦ダマに受けて、出アガリでも12000点の聴牌。これは前巡の選択が大正解…

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かと思ったのも束の間。なんとひょっこり3索ツモ!!!
ほんとに麻雀って、一巡ごとに正解不正解が入れ替わるゲームですね…。仕方なくツモ切るのですが、結果的にアガリ逃しをしている間に迫ってきたのが…

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そう、ようやく聴牌を入れた藤崎選手。高打点にはならなかったものの、ダマ親満貫が潜んでいる中でサクッと聴牌し…

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村上選手から出た9索をこれまたサクッとロン!1300点のアガリと黒沢選手のため息と共に東場が終了するのでした。

やはり沢崎選手といい藤崎選手といい、こういった抜け目のなさや粘り強さは最高級ですね。まっすぐと高打点を狙ってくる黒沢選手のわずかな隙を突いてのかわし手。こうなれば村上選手や黒沢選手は何とかその鉄強の壁を本手で壊したいところですが……はい、今回の記事は短かったですが、ここまでとさせていただき、続きはまた次の記事にしたいと思います。

ここまで読んでくださってありがとうございます。もう少しで年末。となれば記事投稿ペースも上がってくると思うので、それまではご容赦ください!またフォローや「スキ」、サポートなどをしていただければありがたく思います。それではまた!



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