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Mリーガーの一打⑧その1(2022年2月8日第1試合:「最強」の守備)

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Introduction

はいみなさんこんにちは。

しばらくこのシリーズもやっていなかったんですが、好ゲームがあったということで久しぶりにMリーグの観戦記事を書いていきたいと思います!まあ実力派揃いのこの対戦。

まず東家は赤坂ドリブンズの村上選手。今期は調子が振るわず選手ランキングも最下位になっていますが、獲得したタイトルは数知れずの強豪プレーヤー。
次に南家はセガサミーフェニックスの魚谷選手。今や数多くの女流麻雀プロがいる中で最強と言われていて、男女混合のタイトルも多く獲得しています。
そして西家はKONAMI麻雀格闘倶楽部のヒサト選手。今期は少し不調でポイントもマイナスですが、最近鳳凰位を連覇した勢いをMリーグでも発揮できるか。
最後は渋谷アベマズの多井選手。何千人といる麻雀プロの中で名実ともに最強と言われる多井選手。この人は好調不調問わず常に成績を残し続ける怪物ですね。

と、今回はかなりのガチ面子による試合となりましたが、実は多井選手、佐々木選手、魚谷選手は過去3年のMリーグMVPになっていて、今回はその3人と村上選手が相対峙するという構図になりました。しかしそれぞれの打ち筋は四者四様。村上選手は門前高打点守備型、魚谷選手は万能スピード型、ヒサト選手は高打点攻撃型、多井選手は万能守備型と言われていますが、それぞれ少しずつプレイスタイルは変化しています。そのため今回も元々あった得意な一面に加え、それぞれの選手の新しい一面、特に守備が光った半荘となったのでそれぞれの局のベストプレーを紹介解説できればと思いますのでどうぞお付き合いくださいませ。

それではGAME START!!

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東1局 親:村上選手

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まずは東一局の多井選手の手牌からですが・・・あれ?白と中が対子で發が1枚。まだ捨て牌にはいずれの牌も捨てられておらず、開局早々大物手が見られそうですが・・・何を切りましょう?難しいところですが・・・。
あ、手牌を見ながら読者のみなさまも「自分なら・・」って考えてみてくださいね!

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はい、多井選手はそれほど考える間も無く發を切るのです!
まあ夢を追うならピンズを1枚切って大三元、少なくともホンイツくらいはつけたいとも思うかも知れませんが、多井選手はあくまで現実主義者。勝つための一手を常に選び続ける選手なのです。そう、この手牌はすでに形が整っていて、大三元に固執してしまうとどこかで結構な裏目が生じてしまうんですね。また手牌もドラが2枚あるということで十分満貫が見える手牌。手牌進行のスピード・和了率を著しく下げてしまう役満狙いよりは堅実な満貫狙い。結局のところ役満と満貫4回は同じ点数。それなら和了しやすい満貫の方がトータルの勝利に近い、そういうことですね。

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そして白と中を鳴くことができた7巡目(あと發を早めに切ったのには白と中を鳴きやすくする効果もあるんですよね)、2ピンを引くのですがさて何を打ちましょう?2ピンを切れば4ピン待ちの満貫、赤5ピンを切れば1−4ピンの3900点。さてみなさんの選択はーー?

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多井選手の選択と言えばーーー5ピン切りの3900点でよしとするのです。はい、あくまでも現実主義者、堅実な一打です。
まあ今回は先ほどの發切りよりは判断が分かれるかなと思います。局面によっては2ピンをツモ切ることもあると思いますが、他家が真ん中の牌を切りはじめていてそろそろリーチが入ってもおかしくないこと、ドラの7ソーを引けば再度満貫になることなどから無難な選択となったのでしょう。
そしてしっかりその選択が功を奏しーーー

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はい、予想通りヒサト選手から好形リーチが飛んでくるのです。
カン4ピン待ちならけっこう不利な勝負になっていたかも知れませんがーーー。

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これなら十分勝負になる、そんな思惑が感じられるように1ピンを手元に引き寄せたのは多井選手!1000.2000点!
ヒサト選手のリーチが入っていなければ「もったいない」と思う人もいるんじゃないかと思いますが、この局面では紙一重でかわすというこの終わり方がベストに見えますね。
多井選手の持ち味が十分に発揮された一局なのでした。

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東2局 親:魚谷選手

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東2局も再度多井選手の手牌から。むむ?これは三色・・・といっても同刻の方の三色!ただ9ピンは1枚切られていて、例えば9マンをポンした方がいいかどうか・・・。オンライン麻雀に慣れている人は気をつけるべきポイントですね。オンラインだと鳴くかどうか出てから判断できますが、リアルではどんどん進んでいくのであらかじめ判断しておかなければなりません。さて多井選手はーーー?

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ちなみにこの直前に魚谷選手が白をポンをしていたのですが、それに呼応するかのように多井選手は9マンからでもポン!素早く発声し、残り1枚の9ピン待ちとするのです。

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しかし少し局が進んだ8巡目、6ソーをツモって長い時間考えることになります。それもそのはず。このままなら和了牌が1枚だけで、点数も2600点とアガリやすさも打点もイマイチなんですね。かといって3ピンも6ソーも鳴きやすい牌ではないし・・・。

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というような理由からでしょうか、熟考の末6ソーをツモ切るのですが・・

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その間に聴牌を入れたのが魚谷選手。多井選手の6ツモ切りは魚谷選手の聴牌速度を感じ取っての決断なのかも知れませんね。2人聴牌となるのですが、そこに割って入ったのがこの人。

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はい、2巡前に聴牌したのですがダマのまま、村上選手が7マンをスッと手元に引き寄せるのでした。400.700点。あれ?リーチは?と思うかも知れませんが、この時点で1−4−7マン待ちは見えているだけで残り5枚。ドラも見えていない局面の安い手で危険は犯さない、そんな村上選手の守備意識が感じ取れると思います。

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東3局 親:ヒサト選手

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ただ安手の後は高打点の手牌が到来します。東三局の7巡目、村上選手の手牌を見ると満貫以上はほぼ確定の一向聴!ここで危険牌の7ソーを先に切るかどうかの選択ですがーーー。

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流石に愚形残りということで、好形手替わりを見据えての打南。いくら守備型といえど、高打点の手のアガリ逃しは大罪となります。7ソーを残しておけば6ソーと8ソーを引けば両面待ちになり、7ソーを引けば三色含みで更に手が広がるため、ここは守備型の選手と言えど、自分の手牌中心に打つのが基本となります。

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そして間も無く4ピンが出てポン!!7ソーを切って3−6マン待ちの満貫聴牌!!!

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しかしその危機に直面したのがヒサト選手。もう6マンがプラプラで今にも外へ出て行こうと待ちわびているのですが・・・

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ヒサト選手は攻撃力で名を馳せてきた選手である一方で近年はその守備力にも定評がある打ち手。満貫手ならまだしも、こんなリーチのみの一向聴で危険牌なんか打てるか!といった様子で2ピンを切るのです!

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そしてその間に実は聴牌していたのが多井選手。シャボ待ちで分が悪いと見ていたのか、少しダマっていたのですが、なんと村上選手のアガリ牌を吸収&好形変化という最高のシナリオでリーチ!と低い声で発声するのです!!

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そして同巡、ヒサト選手にさらなる試練。さっきは一向聴でしたが、今回は聴牌!さらに自分は親番で微差ながらラス目!おまけに両面待ちの自分の手牌、6マンが通れば十分勝ち目があるという押せ押せの状況なのですがーー。

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はい、流石ですね。やはり自分の手が安いこと、また多井選手という2人目の敵が現れては盲目的に押すということはせず。そんなヒサト選手の抜群の守備力で、戦いは村上選手vs多井選手という構図となったのですが、勝利したのはーーー?

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村上選手!2000・4000といつものように元気な発声が卓上に響き渡り、一気にトップへと躍り出るのでした。
それにしても多井選手にしてもヒサト選手にしても放銃をうまく回避しているのですが、やはり人読みというのもあるのでしょう。村上選手は普段あまり鳴かない打ち手で鳴いた場合は注意すべきという感覚があるのだと思います。そして次局の東4局も多井選手の完璧な守備力が発揮されるのですがーー。

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東4局 親:多井選手

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まずはこちらが村上選手の手牌・・・って、まだ1巡目にしてこの手!!!というかダブリーチャンスでしたね。流石にそれは叶わなかったものの、高打点好形リーチも十分見えるこの手でまずは東を切りーー。

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早くも4巡目にしてこの聴牌を果たすのです。リーチ超人と言われる村上選手。またも卓上に響く声で「リッチ!!」と発声します。

・・・まだ4つしか牌を切っていない状況、周りのプレーヤーはたまったもんじゃないですね。手も整っていない中で仕方なくオリへとまわらざるを得なくなったのですが・・・・

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11巡目の多井選手の手牌。ここまでは何とか安全牌を振り絞って切っていたのですがここで万事休す。手牌は全て無筋の牌orドラの字牌。
困ったときは字牌が最も当たりにくいのですが、今回はそれがドラで万一放銃した場合には致命傷。では次に通りやすそうな牌は何か。ちなみに「困ったときは端っこの牌」という麻雀格言があるように確率的には1ソーが最も通りそうですが、ご覧いただいた通りこれが村上選手の当たり牌。さすがに高い守備力を持つ多井選手でも放銃不可避か・・・

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と思いきや、長考の末、多井選手はなんとここで6ソーを打つのです!!!
これにはAbemaからTwitterのコメント欄までが大盛り上がり。ファンのみならず少しアンチだった人までもがこの一手を称賛したのでした。
でもどうしてここで6ソー打ちなのでしょうか。今回はその理由を待ちの種類から少し考えていきましょう。

まずこの時点で、❶9ソーが切られていて6-9ソーの両面待ちはないこと、❷6のシャボ待ちはリーチ宣言牌が7ソーのため考えにくいこと(667なら普通は6を切って5-8待ちにする)、❸カンチャン待ちも比較的なさそうなこと(577なら77とXXのシャボ待ちにすることがやや多い)、また❹6の単騎にも普通はしないこと、そんな理由などだと考えられます。そして最後に❺3-6の両面待ちのケースですが、もっとも一般的な45という形であれば他家が攻めてくる前に7を処理するのではないか、という推理が可能となります。確かに例外として【455677】のような複合形なら十分あり得るのですが、多井選手の手牌には5ソーが2枚あり、複合形で持っている可能性が下がっています。

はい、こういったことを考えて他の牌の危険性と比較した結果、6ソーが見事選ばれたのだと思います。いやー、これ(+人読み含め他の事も考えていたかもしれません)をあの場で瞬時に判断する多井選手、流石としか言いようがありません。

少し長くなりましたがこの局の結末としてはーーーー。

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いくら他家が神回避をしたとしても、麻雀で最も強いのはツモり上げること!というわけで村上選手が高目の4ソーを引き、連続の満貫ツモで東場を終えるのでした。

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と、このような点棒状況で南場へと入り、更にドラマティックな展開が広がっていくのですがーーーーー。

はい、申し訳ありませんが今回の記事はここまで。この続きも早めに書きたいと思いますので気になる方はご覧くださいませ!またフォロー&スキもしていただければ今後の励みになりますのでよろしくお願いします!それではまた近いうちに!

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