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Mリーガーの一打⑦その1(1/12第1試合:近藤選手の爆発力)

はい、みなさんこんにちは。

いつもより少し投稿が遅れてすみません。
というのも先週1ヶ月半ぶりに8段に復帰し、暇があればずっと天鳳を打っておりました!上振れの勢いそのままに、もう好き放題アガれる状態だったんですが、いつかは止まりますよね…。昨日の成績が1344434みたいな感じで、9段が見えて来たところで現実を突きつけられ、今日も3ラスで結局原点に逆戻り。ま、9段までのちょっとした小休憩という感じで受け止めましょう!!。

さて、天鳳といえばこちらの方も天鳳をやりこまれていて、10段経験者。

そう、最高位戦の醍醐選手がついに最高位を獲得されたのです!長年Aリーグには在籍していて実力は折り紙付きではあるものの、園田選手同様なかなか最高位のタイトルには届かなかった醍醐選手が、近藤選手との激闘の末、ようやく最高位戦の最高タイトルを獲得!日本プロ麻雀協会の雀王である矢島亨選手同様、次のMリーガーに選ばれる可能性も高いと思いますので一緒に注目していきましょう!

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というわけで、今回のMリーグはこちらの方々。

瑞原明奈選手…元は日本プロ麻雀協会所属でしたが、スケジュールの関係で現在は最高位戦所属。天鳳も9段まで駆け上がった強者。
近藤誠一選手…最高位戦所属で、これまで最高位含め多くのタイトルを獲得。特に最近はずっと最高位決定戦に進出していますが、今季のMリーグは少し不調。
佐々木寿人選手…まさに「魔王」という存在感で今季のMリーグは快進撃を見せています。所属の日本プロ麻雀連盟最高タイトル、鳳凰位決定戦にも進出中。
鈴木たろう選手…日本プロ麻雀協会でA2に降級し、最高位戦に移籍したことが話題となりましたが、これまでの実績は歴代最高レベルの選手です。

と、実力者揃いの今回の面々。男性プロ全員が高打点系ということで、荒れた試合になると思われましたが…実際その通りになりました。見てる人にはこれ以上ない白熱した試合となりましたのでご期待ください!
それではGAME START!!

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まずは東1局。ヒサト選手が早速先制リーチで主導権を握ります。6索と8索子のシャボ待ちの手牌。はい、678の三色に一手替わりの形ではありますが、これはリーチの方が優位。というのも三色にするにはまず7索をツモったあと、2萬切りからの7索ツモ、6索切りからの8索ツモ、あるいは8索切りからの6索ツモと、いずれの選択肢でも残り少ない牌を持ってこなければならず、なかなか三色の成就は難しそうなんですね。

確かに一向聴戻しからの三色や、赤引きも見れば、ダマにしておくのも多少メリットがあるとは思います。ただやはり愚形でもリーチして裏が乗ると、ロンで5200点、ツモなら満貫と、偶然役を期待して曲げるのが現代流かなと思います。

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さてそんなヒサト選手に対抗できるのは近藤選手。6巡目で七対子とチャンタのどちらも見える一向聴。聴牌すれば当然追っかけるのですが……。

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なんと瑞原選手も好形の一向聴。白の対子落としをしながら戦う気満々の構えを見せています。

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しかし!戦うのはその3名だけではないのです。たろう選手も手牌と相談しながらも安全牌もないということで、まっすぐ無筋の7索を切っての一向聴。
つまり3者が一向聴で横並び。ヒサト選手に追いつこうとしているのですが、そこからまず抜け出すのはーーーー

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たろう選手!ですがここで選択しなければなりません。選択肢としては、【A:5筒カン→リーチ】【B:2筒切りリーチ】【C:5筒切りリーチ】【D:9筒切りリーチ】【E:9筒切りダマ】あたりでしょうか。ちなみに2筒と9筒は既に通っていて安全牌です。みなさんの選択は?

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はい、たろう選手の選択は9筒を切っての6筒待ちリーチ!!そう、やはり追っかけで待ちの強さもあまり変わらないなら高打点に受けるのが基本ですね。たろう選手の振り返し配信ではダマかリーチか微差だとは言っていますが、5筒カンだと相手にも得点アップのチャンスを与えることになるので個人的にはこれが最適な一打かなと思います。

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ん?6筒?6筒と言えば、近藤選手の手牌で浮きに浮いていた牌!
ということは…無念!運悪くタイミングばっちりで聴牌してしまった近藤選手から6筒が一発で打たれるのです!!

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そしてまさか一発で出るとは思っていなかったたろう選手としては望外の満貫和了。そして逆に最悪のタイミングで放銃となってしまった近藤選手は先行きに不安を感じたかもしれませんがーーーー

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次局、その近藤選手が親の東2局。
三色と一気通貫の天秤だったたろう選手が9巡目にチー。この時点で2シャンテンでは追いつかなさそうということ、あとは鳴いても安全牌(南)が確保されていることが大きい理由でしょう。ただこの状況で何を切るのがベストでしょうか?

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たろう選手は6筒切り。三色を見ての2索切りは役を完成させるのに4萬、4筒と特定の牌を二つも持って来なければならず、となれば完成させるのに3索だけでいい一気通貫狙いの方が合理的ですね。となれば萬子か筒子を切るしかないのですがーーー。

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痛い4筒ツモ!!
振り返り配信では、わずかに安い色(ドラも切られている萬子)に合わせたということでの筒子落としだったのですが、これが裏目となってしまいます。

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と、そんな中で三色と一気通貫のゴールデン一向聴となったのが親の近藤選手!4萬を切って臨戦大勢となるのです。

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対するたろう選手はようやく聴牌を果たすのですがーーー

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はい、来ました親リーーーーチ!!そして……

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先ほどの満貫放銃で卓上にたち込めていた暗雲を吹き飛ばすかのような一発ツモ!!裏も乗せて、4000点オール。先ほどの8000点の支出を取り戻すアガリを手にするのです!

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そしてその勢いのままに訪れた東2局1本場。こちらは近藤選手の配牌。うーん、まあ普通の手ですね。ダブ東を鳴いて、ドラの5索が来れば上々といったところでしょうか。まずは静かに西切りから。

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そしてこちらはヒサト選手の配牌。平和手ということでまずはダブ東を切るのですが……

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なんと近藤選手はこれをスルー!
おそらく近藤選手の中でも微差の選択だったとは思いますが、2飜確定の仕掛けで満貫が見えなくもないこの手牌。仕掛けるプレーヤーの方が多いとは思いますが、やはり近藤選手ですね。この時点では門前キープ。そして数巡後ーーー。

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やはり近藤選手なりの感覚や論理があるのでしょう。門前で聴牌しての5−8索待ちリーチが入るのです!!

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一方こちらはヒサト選手。先ほどの配牌をしっかり仕上げての3−6筒待ち満貫リーチ!をかけるのですがーーー。

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この時点で枚数差は何と6対1。確率通り6の近藤選手の1−4萬が勝ち、3900点の放銃となってしまうのでした。

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さて、2本場となっていよいよ勢いが出てきた近藤選手の6巡目の手牌がこちらなのですが…またもダブ東があってのドラ&赤ドラの好牌姿!!
と、2索をツモったところで近藤選手の手が止まります。さて、これは何切りがいいのでしょうか?ちなみに場には3索が2枚見え、7萬も2枚見えでございます。

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ここで近藤選手はシャンテン戻しの7萬を選択!
前回と違って、満貫確定ならダブ東も鳴き、筒子が伸びての234の三色も視野に入れた一打。シャンテン戻しは勇気のいる選択なんですが、やはり高打点+良形を見ればこの一打が最適だと思われます。そしてその3巡後の手牌がこちら↓

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かなりのレベルアップを果たしているのです!いつの間にかドラが2枚、赤ドラ3枚の超大物手!ただここで何を切るか。そしてリーチは!?ここで河をよく見てみましょう。

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関連牌としては、3−6索が4枚見え、東と2索は見えていない状況。ということはーー。

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はい、見た目枚数が同じなら高い方に受けるのが定石ですね。そしてこの打点なら少しでもアガリ可能性が高いダマに受けるのが良さそう。安めの2索でも18000点、高めの東なら24000点という恐怖のダマ討ちを狙うのです!

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しかしそこにやって来たのがヒサト選手!カンツだった2筒を対子落とししての地獄待ちの發単騎でリーチと来るのです!つかめば誰からでも出そうな發。山に浅ければアガれそうですがーーー

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当然オリることのない近藤選手。一巡回した後、急にツモ切りリーチとしたその刹那、ヒサト選手が持って来たのがーーーーー

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超ど高めの東!!!
不幸中の幸いとしては、1枚でも乗れば36000点となっていた裏ドラがなかったこと。しかしそれでも痛恨の24600点がヒサト選手から近藤選手へと支払われるのです。

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こちらは点棒のやり取りをしている両者。さて、点棒がマイナス1万点を超えたにもかかわらずいつも同様あっさりとした顔をしているヒサト選手ですが、この時の心境はどんなものなのでしょうか。もう無理かなと諦めの気持ちがあるのか、それともまさかここから取り戻せると思っているのか。……いや、まさかここから取り戻すなんて無理だと思いますよね。普通なら。はい、普通なら。

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さて、東2局にして6万点近くを手にした近藤選手。あとは局を消化していくだけと思いそうですが、どうやら試合前のインタビューで10万点を目指す、と語っていたらしいのです。となればまだまだ攻めていきそうな状況ですが、手牌も3巡目にしてこの充実度。

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そして8巡目、中から仕掛けていきます。

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そしてそれに対するは瑞原選手。平和手を目指しながら安全に行くとなれば南切りとなるのですが、この南は確か………。

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そう、これは近藤選手にポンテンが入る牌!迷いない発声で近藤選手が鳴くのですが…。はい、切った牌にご注目。少し見えにくくて申し訳ないですが、なんと両面ではなくシャボ待ちに受ける打7萬!!みなさま、この狙いがお分かりでしょうか?

ドラ引きからの高打点を見てシャボに受けた、というのが大きな理由だと考えられ、解説の勝又選手もびっくりしていたんですが、実はこれ、単なるミス。インタビューで本人が切り間違いだと認めていたので、皆さんも真似をしないようにご注意ください。赤5萬ツモもあるのに、両面聴牌をシャボにするのはクレイジーですね(と本人が言っておりました)。

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というわけで、結局ドラを引いてのカン6索待ちとなったのですが、5−8萬はアガリ逃し。その後リーチをかけたヒサト選手と共に2人聴牌で流局となるのでした。

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何はともあれ、未だ親権を維持している近藤選手ですが、周りにとってみればもう早く流してしまいたいと思っている事でしょう。そしてその切り込み隊長はやはりこの方ヒサト選手。カン7索の愚形とはいえど、先制ということでドラを切ってリーチ!!

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それに対するはやはりこの方、近藤選手。一発目は一枚切れの白を切った二発目。ドラが通っているので合わせて切れば安全に行けるのですが、流石は近藤選手。ドラはまだ温存しながらの無筋の7筒切り!6筒が早く切られていて比較的切りやすいとはいえ、リーチを受けても堂々と立ちまわるのです!

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そしてはい、来ました。結局はどのルートでも同じ結果でしたが、この道筋の方がかっこいいですね。ドラを切ってリーチ!!
……とはいえその手はリーチのみ。ま、親権が維持できるだけでも御の字か、と思いきや――――

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はい、出ました、一発ツモ!そしてなんと裏ドラが…今ツモったばかりの1筒!!ということは…、ま、まさかの6400点オール!!!!
もう他家としてはやってられないですよね。対する近藤選手はいよいよ10万点が見えてくるのです!

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こちらは落ち着いて点棒をかき集める近藤選手。そう、点棒は82500点。いやいや、やりすぎですね。そして東2局はついに5本場に入るのです。

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……が、この局は特に大きな見どころがなかったということで結果だけ。瑞原選手がようやく近藤選手の親を流すアガリをヒサト選手から決め、1000点は2500点をゲットするのですがーーー?

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はい、何でしょうヒサト選手のこの表情は。そう、点棒が足りないのです。一般的な麻雀卓というのはそれぞれ25000点分の点棒に加えて、マイナスになった時用に20000点分の点棒を入れているのですが、ヒサト選手はそれを更にオーバーしてしまったのです。
ちょっと静止画ではわかりづらいのですが、若干照れた表情のヒサト選手。さすがにこれは挽回不可能と思ったでしょうか。はい、普通なら無理でしょうね、はい、普通なら。

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そしてそのヒサト選手が親番となった東3局。こちらも大きな見どころはなかったので画像一枚だけ。ヒサト選手の4巡目リーチに、安牌のないたろう選手が放銃。裏が乗って3900点。それでもヒサト選手にとっては上の世界まではまだまだ長い道のりなのです。

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そして東3局1本場。更に加点して借金を返したいヒサト選手にチャンス手が訪れます。まずは2筒をカンして、リンシャンから持ってきたのが絶好の6索!新ドラとなった5筒を待ちに設定してリーチと叫ぶのです!

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しかしその6筒をチーしたのがたろう選手。ダンラス目のヒサト選手の親リーチで、安牌も十分あるだけにオリに向かってもいい気もするのですが(たろう選手の振り返り配信では「オリてもいいな」「行ってしまった」と本人も言っていました)、「アガリたい」という気持ち、そしてまずまずの一向聴形ということから果敢にチー!無筋の7萬を切っていくのです!

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そして次巡ヒサト選手から切られた3萬のチーテンはしなかったのですが、その2巡後やって来た牌は6萬。ど真ん中の5萬はかなり怖いところではあるのですが、こうなればバシッと切るのです!そしてーーー

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次巡ツモったのがアガリ牌の3索!!思わぬ形でのツモアガリで、ヒサト選手にチャンスを与えずに親を流すのでした。
ただたろう選手、やはり振り返り配信ではこのアガリをがっつり反省。冷静に考えればこの点棒状況で行くべきではないのですが、近藤選手に点棒を叩かれて「カッカしていた」とのこと。その結果冷静な判断を欠いてしまったことをしきりに悔いていたのですが、正直にそれをいうところもたろう選手の魅力の一つ。というわけであまり真似はしない方が良さそうなのですが、今回は一応成功ということで次の局へと参りましょう。

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東4局。そんなたろう選手の親番でもらったのがこの手牌。なんと3巡目聴牌!ですが、打点が……安すぎますね。まだまだトップを狙っているたろう選手。ここで下した決断は…?

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そう、普段ならリーチしても良さそうですが、今回は状況が状況だけにこんな判断も生まれるのです。789の三色手替りか、發待ちへの振り替わりを狙ったダマ!他家の様子を見ながら進行していくのです。しかし・・・

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そう、5巡後に引いて来た牌はアガリ牌の5萬!!ただ牌が倒されていない、ということは……?

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はい、そうですよね。ここでたろう選手はフリテンリーチを敢行するのです!現在は向かってくる人があまりいない状況(とはいえ前局でたろう選手は同様の状況で攻めましたが)、チャンス手はできるだけ広げるのが幸運を引き寄せるもと。そしてそのアグレッシブさが導いた結果がーーー

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はい、来ました。安めの6索!これも麻雀ですね。まあ流局直前なら流石にアガるのかと思いきや……。

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なんとこれをそのままツモ切り!流石にそれはやりすぎーーー

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と思いましたが、なんとか踏みとどまってのツモ。振り返り配信では、「いつまで6索をツモ切るべきか考えていなかった」そうで、「他家が押し返しておらず、安めをツモって裏がなければ聴牌収入の1000点オールと変わらないことから、ギリギリまで9索狙いの方が良かったかもしれない」と答えの出ない微妙な判断を振り返っていましたが、結果としてはこれでも十分。

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裏も乗って、まずまずの2000点オールを手にするのでした。

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しかし次局、持って来たのはこの手牌!
3巡目にして、ドラ3の一向聴!平和にしてツモれば6000点オールで、近藤選手まで24000点近くまで迫れるのですがーーー

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やはりそう簡単にはいかないのが麻雀。トップ目の近藤選手がやはりここで立ちはだかるのです。7巡目に平和ドラ1の聴牌!しかもーーー

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聴牌打牌の中を横置き!つまりリーチをかけるのです!ダントツトップ目で、たろう選手に跳満でも直撃されれば一気にトップ維持も危険に晒されるため、ダマがセオリーと思われますが、おそらくこれは数字の組み合わせではない、心理的な駆け引き、あるいは勝負師の勘ともいうべき決断。そしてこの局の結末はーー

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やはり大舞台で勝ち続けている人はこういった所で間違えないのです。無事ツモっての1300.2600点で激動の東場を終わらせるのでした。

さて、このアガリで近藤選手の持ち点はなんと84600点!!磐石の状況で南場を迎え、もしかしたら半荘最高得点も狙えるかもしれません。
一方、2着のたろう選手は28000点。もう少し点棒を増やして一騎打ちの展開を作りたかったと思いますが、それは南場にお預け。2着をキープしつつトップをまだまだ狙っております。
次に3着の瑞原選手、10800点。東場は苦しい展開でしたが、南場でとりあえずは2着を狙いたいところ。
最後にヒサト選手、点棒はなんと▲23400点というなかなかレアな数字。南場を迎える段階での点棒は圧倒的ラスとも言っていい、マイナス2万点超え。近藤選手とは逆に半荘最低得点も十分考えられ、普通ならここから着順アップなど考えられない状況。はい、普通ならそうですよね、普通なら。

はい、というわけで波乱の南場へと進んでいくのですが、今回の記事はここまでとさせていただきます。今回は長かったですがお読みいただきありがとうございます!またフォローや「スキ」、サポートなどをしていただければ執筆の励みになるのでよろしくお願いします。それではまた!!


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