ペリ・モットーのハンガー制作記
ジオラマ、それはロマン
ジオラマ、もとい、ダイオラマ。
人によっては憧れの創作物ではないでしょうか。
好きな世界が家にあることの満足感。
ごっこ遊びの礎になるプレイセットの類とはまた別の趣があります。
しかし、プラモデルやレジンキットと比べると、制作のハードルはかなり高い。
手順通りに組立・塗装をすることで完成を迎えるキット類と比較すると、材料を探すところから、つまり、ほぼほぼゼロに近い状態から始めなければいけないワケで、個人で黙々と進めるには骨も心も折れる部類の遊びでしょう。
ところが2022年は、かなりデカいジオラマを作った年でした。
一つ目は、カンティーナ(一応ネヴァロをベースにしている)。
二つ目は、先日完成した「ペリ・モットーのハンガー」。
ハンガーしかりカンティーナしかり、製作の動機は単純なもので、
「自分たちがそのロケーションで遊びたい」
ほんとうにこれだけ。
せっかくならお披露目しようということで、「JoyGarage」(https://joygarage.net)の場をお借りすることに。
一番原初の話に立ち返ると、共同制作者であるナカシーさん( https://twitter.com/nakasshi?s=21&t=taEhS0MfqY5PdiA7xm9zGA )と、
桑原「オリジナルのカンティーナ作って、家で飾りたいんですよ~。」
ナカシー「レンタルスペースに持ち寄って遊びたいですね!」
こんな会話があった一年内に、まさか二つも作ることになろうとは......。
プレイセットの類がいささかボリュームに欠ける現代。大人だからこそできるムチャなサイズと規模で、思いっきりスターウォーズ遊びをしたかったのが、根底にあったワケです。
長い前置きになりましたが、今回はペリモットーのハンガーの制作記を書き残しておきます。
制作スタート
コンセプト図作成
今回はかなりザックリしているので、工程に加えるほどではないです。
とはいえ、万が一にでも当記事を参考にして、ジオラマを作ってみたいと思う方がいるとアレなので、一応基本を押さえておきますね。
既存のキット制作と大きく異なるのは、組立説明書等がないところです。
完成予想を立てて、制作順序を設定しないと、後戻りできない状態になりかねない。(情景用のツール類はそんなん多い気がするな~。)
せっかく積み上げた工程が一瞬にしてパーになることもあるし、なにより材料費のムダにもなります。
こまごまと買い足して、費用もかさみがち(俺だけ?)なので、あらゆる点での最短ルートを行くためにも、計画はなるべく具体的かつ実現性のあるものを用意しておきたいところ。
スケッチを描くほどのことはしなくとも、
・だいたいこんな感じにしたい
・盛り込みたい要素
この二本柱が頭の中に立っていれば上手くいくのでは。と思っています。
今回は劇中ロケーションをイメージにしているので、ナカシーさんと俺の間で「だいたいこんな感じにしたい」というビジョンが一致しているのがメリットの一つでした。
……と言いつつ、
ごく初期案では天井があり、劇中と同じように光が差し込む感じを狙っていました。壁は三面で小窓から覗き込むような雰囲気。
これはホビージャパンで掲載されていた作例がすごく良かったので、その楽しさを参考にしたかったのです。
とはいえ、そのベクトルはガワもカッチリ作りこまないと見栄えが悪くなる。さらには持ち運びが困難にもなり、あらゆる点で工数・労力が激増することが予想されたので断念。
「具体的かつ実現性のあるもの」というのはこういう感じです。
「やりたいこと」と「できること」は、スキルや条件によっては、かなり遠いところに位置しているときもあります。まずは「できること・できそうなこと」だけで完成できるものを目指すと楽しくできる気がするなぁ。
趣味で取り組む時は、楽しく完成を目指したいものです。個人的にはね。
基礎工事
ナカシーさんが本職パワーを駆使して図面を引き、レーザーカッターでMDF材を切り出して、壁と床はできあがりました。
ズルくね??あらゆる工程をすっ飛ばした感がある。誰かと共同で制作するメリットですね。
げんなりするサイズ感、でかすぎる。
通常はスタイロフォーム等を任意の大きさに切り出したり、使いやすいものを使用して基礎部分を作っていくのですが、今回はやっていないのでガッツリ飛ばします。
(そこらへんの分かりやすい記事はいっぱいあるので、そっちに任せた!!)
(個人的に思う)模型のいいところは、どんな方法や手抜きをしようが、着地した成果物の見た目に満足出来ればOKであるところ。
したがって、正攻法のスタイロフォームによる制作をしなくてもいいワケです。
模型が光るとなんだか嬉しい
見出しの通り。
これは「ドロオフ」というイベントですさまじい作例を沢山見てきたことも影響しているのですが、模型そのものから発せられる光によって作品の表情が変わるのはおもしろいです。
っていうか、端的に言ってロマンですよね。
「光る!鳴る!!デラックススターウォーズジオラマ!!!」
ってしたいじゃないですか。忘れたくない小学生の気持ち。
ということで、劇中にもある作業用のライトのいくつかは再現します。これが「盛り込みたい要素」の一つです。
......とはいえ、電飾の細かい知識は一切ありません。抵抗の計算とかハンダ付とかするんでしたっけ?工業高校行ってればすぐ出来たんだろうか。
今回はただ光ればいいだけなので、ごくシンプルなものでOK。
こういう時は、だいたい100円ショップに行きます。ジオラマやらミキシングの材料は100円ショップに結構あると思います。足りないものを模型店で買えばいいのです。
コストをグンと下げられますし、今はフィギュアと絡めて遊べる商品も数多く展開されているので、売り場を見るだけでもアイデアが浮かぶ気がします。
今回は10連のLEDライトを買いました。たしか100円。何も考えずにスイッチ1つでよく光ります。当たり前だけどありがたい。
劇中写真を見比べつつ、それらしい位置にグルーガンで固定。グルーガンも100円ショップでした。(200円)すげえなぁ〜お得。
設置されているライトが5つに対して、商品には10発ついているので、粘土で埋めることで上手いこと逃がしています。
床が平坦では無くなってしまうのですが、ジャンクパーツを散りばめるので、あまり気にしない。
電飾の配線は、基本的に隠す必要がありますが、題材自体が「とっ散らかったガレージのようなハンガー」なので、見えたら見えたで情報量になる気がするので基本放置。
違和感ないから!OKOK〜。
こういう気持ちがないと進みません。
上記写真は、こんな感じかね〜という仮置。持ち運びの都合もあるので、ある程度は取り外し可能にしようという構想でした。
床面のテクスチャ
鉄板(?)が敷き詰められていて、砂が吹き込んでいる。
床の基本方針はコレで。
鉄板ディテールをオミットすると、メリハリがなく、広さも相まってのっぺりとしてしまう気がする。盛り込みたい要素というよりかは、確実に外せない要素。
摩耗した感じだったり、切り出した感じだったりを狙いたかったこともあり、大きさをだいたい揃えつつ、かなりファジーに切り出しています。とても面倒でした。
貼り付けはグルーガンでちゃっちゃっと進めます。多少はみ出したり浮いてもOK。どうせ砂がかかるし、塗装もするので、見えなくなる部分がほとんど。
手を抜いていい部分の判断ができるので、常に完成形を浮かべつつ作業すると効率がいいですね。荒くていいところは自分でも驚くほど荒いです。
なんとなくの雰囲気が見たいので、砂を流し込みつつ様子見。ヒートガンを使うことで乾燥時間がグッと短縮できたのがありがたいポイント。
雨で濡れた布団を強制乾燥する為の機械になっていたので、ここにきて模型で活用できてよかったです。
模型用の砂をガンガン敷き詰めたところで、改めて配置。色がついているからそれなりに見えませんか?すげえ進んだ気がして油断しました。
この作業を終える頃には床が砂だらけに。サイズのデカさ故、どうしても床で作業せざるを得なくなり、家がリアルタトゥイーンになりました。
完成後から床がざらざらのまま新年を迎えています。
ええい、どうにでもなれ
床がそれなりで、壁を塗って、小物を配置して完成。
と思ったんですが......。
壁の密度感に不満あり。
壁面を再現するにはコンテナパーツがまるで足らず......(それでもかなり買ったんだぜ。)
ディテールはノリでやろう!
開き直りました。(展示前日)
こうなってくると一周回ってすごく楽しいので、再現度とかガン無視になっています。
こんな感じで、スターウォーズ関連のジャンクパーツを適当に貼り合わせて......
サフ噴いて壁に貼れば、なんかそんな感じに。こういうのは勢いです、センスの有無はわからない。途中経過すっ飛ばしてるけど、斜めの柱はプラ板で雑に作ってます。
展示前日とは思えない増築プラン。
手前の部分にもなんかそれらしいディテールを直接バシバシ貼ったりなんだり。展示前日とは思えない増築プラン......。
劇中でも奥に位置しているタンクや、その下にあるなんらかの機械もでっちあげまして......
100均で買ったなんらかのケースに、
適当にパーツ付けて、プライマー噴いて黒に塗ってそれらしいなにかに。
この後ドライブラシでもしておけばなんとかなるだろう作戦発動です。
さて。
なんだかあんまり何もしてない感じですが、写真不足のそれです。ナカシーさんに写真撮っておいてくださいね、って言われたんだけどなぁ。これでもがんばったんすよ。
次、もう完成です。
できました
こんな感じでどうでしょう。
個人的には割と気に入りました。
以下、完成写真ギャラリーです。
いかがでしょう?
よーく見ると、あのパーツじゃん!みたいなものが散りばめられていると思うので、イースターエッグ探しくらいの気持ちでまじまじと眺めていただければ。
作りが粗いので、そこらへんは見逃してほしいです。
それでは!!
桑原
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