松坂桃李さん主演「あの頃。」を観て自分の「楽しかったあの頃」を思い出す、、でも結局、、、
人生で楽しかった”あの頃”を思い出すことありますか?
また何か好きな人やモノを応援する、いわゆる”推す”という経験をしたことはあるでしょうか。
あってもなくても身構えずに観てほしい、この映画。
(YouTubeより引用)
「あの頃。」(2020年公開)
監督:今泉力哉 主演:松坂桃李
https://phantom-film.com/anokoro/
そんなことが絡んでくるコメディ作品のような予告ですが、笑えるシーンは多々あれどコメディタッチ寄りではなく、おじさんたちの”王道ではない青春映画”のような作品でした。一応以下ネタバレを避けて書かせてもらいます。
松坂さん演じる主人公は一応バンドマンなんですけどバイト三昧、バンド練習ではミスを連発してメンバーに怒鳴られてみたいな、うだつが上がらない日々を送っていたところに、アイドルあややと出会って(MVを観るだけですが)疲れた心に癒やしが染み渡り、涙を流すわけです。そしてハロプロオタクの変人な仲間たちと出会って楽しい時間を過ごす”推し事”にどっぷりとハマっていく、そんな中でいろいろとあったりなかったり。
自分の「あの頃。」も思い出してしまったり
私も彼らほどの熱量には到底及びませんが、学生時代にアイドル戦国時代と言われるほどのブームが来ておりまして、テレビにパソコンをHDMIで繋ぎYouTubeでMVを観ながら友達と「これで一生お酒飲めるわ」と6畳1Kのせまい部屋で楽しく言っていた大学のとある日を思い出しました。
登場人物のおっさん6人は好きなものが一緒でただ単純に仲が良いみたいな話ではなくて、本当は音楽がやりたいとか、女性と仲良くなりたいとか、それなりに大人として想いを抱えながら生きていて、その中でも推しがいることに強烈なエネルギーを貰いながらも、ハロプロと同じくらい大切なものを各々見つけ始めることでまた皆の時は進んでいくのです。おじさんたちがやることは基本アホなことばかりでくだらなくて笑えるんだけど、どこか哀愁があって憎めなくて愛おしい、そんな人間関係が観ていてほっこりするのです。
好きなモノについて熱く語る人の姿は、なんかイイ
アイドルに関しては知識が薄いものでこれ以上広げられませんが(笑)例えば好きな俳優さんでもお笑いでもアニメでも、何か好きなモノについて話しているときって勝手に熱が入ってくるというか、とにかく楽しいですよね。仕事で「あの案件について説明してよ」と言われたらどこから話せばいいやらどんな準備が必要やらと、めんどくさいし自信もないし緊張する、、、でも好きなものについて「これどういうこと?」って聞かれたときってどうでしょうか?人は変なエンジンが掛かったように力を入れて話してしまいません?普段口数少ない人もついつい大きな声で饒舌になってしまいません?僕も映画とかドラマの話になるとその傾向がありまして、一種のオタク爆発力みたいなものかなと思っています。自分がそうなってしまった後は、終わってから結構恥ずかしくなってしまったりするんですけど、他の人のそういう姿を見ると「あ、この話好きなんだなぁ」とちょっと微笑ましい気持ちになるといいますか、そういう話をしてる時の人って目がキラキラしているのでなんか好感をもってしまいます。
つるぎ(松坂桃李)が"あやや"の話をしたり、西野(若葉竜也)がハロプロの歴史を語ったり、コズミン(仲野太賀)が"藤本さん"の良さを熱弁する時のエネルギーがリアルで、本当に好きでその話をしているような熱量と見ごたえがありました。(いや、コズミンはリアルではないか笑)
個人的な映画の推しポイント
・怪演俳優仲野太賀炸裂
「この恋あたためますか」の新谷役でこんな王道な役もできるんかいなと皆驚かされて太賀さんの虜になっていると勝手に思っているのですが、やはり「ゆとりですがなにか」の怪演が強く記憶に残っていまして、今回はまさにクセの超強い役なのでこの人以外にこの役はできないんじゃないか!という、結論俺達の見たい仲野太賀が見られます!ありがとうございます。
・松坂桃李がカッコいいのにちゃんとオタク
松坂さんはあんなに男前なのになぜちゃんとダサい表情・オーラをだせるのか、、、でも元々オタク気質もある方なので、入りやすい部分もあるのかなとも思ったりしました。急にアニメやゲームのツイートをしてファンを困惑させる松坂さんが好きです。多分オタク支持率高い。
・おじさん6人で銭湯に行くシーン
理屈も何もないですけど、なんか楽しそうでいいよな~と好きなシーン。こういう友人を大切にしたい。
・ハロプロ推しじゃなくても全く問題ない
多分本当に好きな人はまた別の視点での「あるある」とか面白い見方があるのでしょうけど、なんとなく知ってる程度の自分でも楽しめたのでそこをハードルに感じる必要は全くありませんでした。何かを愛することに理解があれば大丈夫。
(少し脱線)今では誰もが何かのオタクで良い世界線
もしかしたら単純に年齢のせいかもしれませんが、ちょっと前(多分十数年前、電車男が流行った頃)は「オタク」と呼ばれる人種が若干今よりも敬遠されるような、恥ずかしいような扱いを受けていたような記憶があります。ただ現在では誰だってアニメにしてもアイドルにしても、何かを”好き”とか”オタク”と公言することにオープンといいますか、隠すようなことじゃないという認識が当たり前のように感じます。SNSの存在など色々あるのでしょうが細かい背景は置いといて、個人的にはそこだけ見るとすごく良いことだな~と思ってます。オタク気質があるので、生きやすい世の中だなと笑
俳優松坂桃李が「UCのジンネマンくらい好き」と野郎共を喜ばすツイートをしても問題ない世界なのです。
鑑賞後、”楽しかったあの頃”を思い出すけど、、、
人生の中で今が一番楽しいです。でもときどき思い出します。みんなと過ごしたあの頃をー(公式サイトより)
「あの頃。」とあるように、今より若かった昔のことを思い出して「あの頃って楽しかったよな~元気だったよな~」って思うことあると思います。10代20代30代と、それぞれの”あの時”が輝いて思い出されることもあると思います。それでも結局あの頃はその時の自分にとっては「今」であって、「人生の中で今が一番楽しい」と綺麗事のようだけど意外と人間そう思えてたりするなと、そう思って生きていたいなと、彼らの姿を見て思わされました。今は今で悪くない、あの頃があって今がある。そんな映画でした。
※鑑賞後にこちら皆さんの対談も見るとより楽しめました。
松坂桃李 主演作 映画『あの頃。』公開記念特別番組 ~恋愛研究会。大集合座談会~【期間限定公開】
この動画を見るまで知らなかったのですが原作者の実話を元にした自伝的コミックエッセイが原作になっているんですね。
みなさんも「あの頃。」を観て、ご自身の「あの頃。」に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。