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たけのこのお裾分けのおかげで糠床を再開できた。

私のおばあちゃん(大正6年生まれ)から受け継いだ「糠床」があり、何度か腐らせそうになりながら、首皮一枚で30年ぐらい続けている。

いや、実際には28歳ぐらいの遊び盛りの頃に腐らせた。ちょうどおばあちゃんを天国に送り出した後のことで、なんということを!と思いながら、ダメになったものは戻らないので、ごめんごめんごめん!!と捨てた。

もう糠床は無理かなーと思っていたら、親戚の叔母(おばあちゃんの娘)がそれを聞きつけ、「あらま!それならウチのを孫分けしてやるよー!」と、届いた。

そこからは何とか腐らせずにきているが、特に夏場の暑い季節は危なくて、1日掻き回すのをサボると嫌なにおいを放つので、昨年の夏の終わり、忙しくなるのがわかっていたので密閉袋に入れて冷蔵庫にしまったのだ。

また、落ち着いたら出してやろう。そう思っていたのだけれど、ついつい面倒で延ばし延ばしにしてしまった。

そんな時、『お客さんにもろた』と掘り立てのたけのこを夫が持って帰ってきた。わお!旬のたけのこだ!とても嬉しい!!ちょっと面倒くさいけど!!

アクが出る前に早く下茹でしなくては!たっぷりのお湯といりぬかをひと握り。確か2時間ぐらい。

いつできる?
いや、今夜にでもやらなくては!!
アクが!!

嬉しい!けど面倒くさい!けど、美味しいたけのこ食べたい!!

食べたいが勝って、早起きして下茹で。普通のお家にはいりぬかなど常備してないけどウチにはあるんだな…。

かれこれ7ヶ月も冷蔵庫で冬眠している糠床さんを出した時に、ぬかを足そうと買っておいたいりぬかが一袋(1キロ)。

硬い根の方を包丁で落として、穂先も切り落とし、皮を3枚ほど剥いて土を落とす程度に軽く洗う。

大きなのを下にして深鍋に入れて、水をヒタヒタに。ここに、ぬかをひと握り。まだまだ袋にはぬかがたくさん残ってるから、サービス増量でもうひと握り入れ、火にかける。沸騰したら落し蓋をして、たけのこが空気に触れないようにする。あとは弱火で2時間。

暇だが火の前を離れるわけにもいかず、いりぬかの残りを眺めるうちに、冷蔵庫の糠床を思い出す。

うーん。
面倒くさいなぁ。
毎朝毎晩だもんなぁ。

でも、糠漬けは美味しい。
特に夏場の汗をかいた日は、塩気のキツイきゅうりの漬物が美味いと、息子。大好物で、子供のくせに、と周りから驚かれる。

このいりぬかも、早く使ってやらないと悪くなるしな。

と、たけのこ下茹でついでに糠床を再開する決心がついた。

冷蔵庫で眠っていた糠床をカメに移して手を入れると、冷たくて固い。ごめんなぁ、おばあちゃん、叔母さん。と謝りながら手を入れてかき混ぜて、新しいぬかも足して、塩、水、鷹の爪、実山椒、鰹節を足して、柔らかくなったところに、久しぶりにきゅうりを突っ込んだ。

まだまだ、固くて冷たいから、美味しく漬かるのは1週間ぐらいかかるかなぁと思ってたけど、翌日に出したきゅうりの糠漬けは、前と同じように美味しくて、びっくりした。

ほい、久しぶりに漬けたよ。

と、息子に出したら、お!と言って手で摘んで食べて、美味い!とひとこと。
1本分、ペロっと食べてしまった。

夏が来る前に、糠床はじめられて良かった。たけのこさんに感謝します。



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