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140文字小説

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twitterでお題を借りて書いている140文字話のまとめになります。
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記事一覧

#140文字小説【誰にも渡さない】

#140文字小説【誰にも渡さない】

足が止まる、視線の先に並ぶデザートは様々でジャンルの統一感など皆無に等しい。
その中で私は眠るように、けれど燦然と私の目からは輝く品が鎮座していた。これはもう逃れられない品だ、絶対に逃すことも誰かに渡す気もないーー私が愛する漆黒のコーヒーゼリーは、渡さない。

※140文字で書くお題ったーをお借りしています。

#140文字小説【おいていかないで】

 どうしても私が行きたいのに、懇願しても首を横に振られる。
 行きたいのに、なんで。
「私も行くから、おいていかないで!」
「……病人なんだから、おとなしく寝ていてくれ」
 買い物リストを片手に持った夫は、私を必死になだめる。
 だってあなたの買い物はあてにならないんだから。

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#140文字小説【誰にも渡さない】

#140文字小説【誰にも渡さない】

揺るぎない確固たる意志を持って俺は叫ぶ。
「誰にも渡さないから」迷うことなんてない、絶対に側に居続ける――これが俺が今言える最大限のプロポーズ。

※140文字で書くお題ったーをお借りしています。

#140文字小説【こんなにも愛されている】

#140文字小説【こんなにも愛されている】

誰に話しても、尋ねても同じ答えしか返ってこない。
「あなたは愛されているのよ」
まるで決められた答えのようで、気色が悪かった。親に褒められたことがない、何をしても駄目な子と言われる。
なのに愛されてるって、わけがわからなくて、苦しいよ――おかあさん。

※140文字で書くお題ったーをお借りしています。

#140文字小説【恋、拾いました】

恋は戦いとか、捕まえるものとか物騒な言葉が飛び交う環境にいた。 だから恋とは、戦争のようなものなのかと思っていたのに。
「……そんな物騒なわけないだろ」
彼は呆れながら、両手で私の手を包む。とても温かい。
「こうやって拾い上げるように、優しく包む恋もあるよ」

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#140文字小説【身勝手な論理】

#140文字小説【身勝手な論理】

「破綻している」そう告げれば、開いた口から並べ立てられた言語に私は辟易してしまう。身勝手にもほどがある、無理無茶無謀だというのに、自分勝手な論理を並び立てている。ああ、もうこれは無理だ。「私が決めた、だから完遂する」もう、目の前の人は止まらない。
#140文字小説

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#140文字小説「名字を捨ててあげようか」

#140文字小説「名字を捨ててあげようか」

名字が枷になるなら捨ててやる、でも一度でも捨てたら取り戻せない。
それだけ俺の名は重い、重すぎるから捨てる。何が悪いというのだろう――重すぎる荷は生きるには邪魔だから、それだけだ。

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#140文字小説「箝口令」

#140文字小説「箝口令」

誰もが黙って口を噤む。それに母が命じた箝口令は、絶対だ。
「……何か隠し事をしていないか?」
父は問い掛けるが、家族は誰も答えない。 その様子に業を煮やした父は、静かな声で告げる。
「わかっているんだぞ、みんなでプリンを食べたことは」
――父はわずかな匂いすらも、キャッチしていた。

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#140文字小説「世界の終わりに」

#140文字小説「世界の終わりに」

あの、懐かしい、いつも食べていたご飯が食べたい。
なんの変哲もないのかもしれない、高級なものでもない、名前のない母さんの料理が食べたい。
そんなことを、世界の終わりに願うなんてーー当たり前の日常が恋しいから、だからそう願ってしまうんだ。

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#140文字小説「反則だらけ」

#140文字小説「反則だらけ」

この組み合わせは反則だ、と何度訴えても姉は微笑み続けるだけだった。 「酷い」
「本当に?」
さらに意地悪い顔をする姉に対して、私は悔しそうに唸りながらも降参する。
だって焼きたてのハンバーグに、チーズが乗っていて目玉焼きまであったらそれは反則だらけだよ、お姉ちゃん。

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#140文字小説「一緒に帰ろう」

#140文字小説「一緒に帰ろう」

手を伸ばされて、帰ろうと告げられても私は首を横に振ってしまう。
帰りたいのに帰りたくない。
心の奥底から拒んでしまう。
だって私にとって、家は寛げる場所ではないから。
涙目で私が訴えても、あなたは何度でも何度でも「一緒に帰ろう」と伝えてくれるんだね。

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#140文字小説「約束破り」

帰宅してドアを開けた瞬間、約束を破られたのだと悟った。部屋中に漂う香り、逃れられない目で見えない証拠に対して、私は頬を膨らませた。
「お母さん、今夜はハヤシライスだっていってたよね!?」
「あら、カレーも美味しいわよ?」
こうして母さんの気紛れでメニューは変わっていくんだ。

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#140文字小説「例外的に」

#140文字小説「例外的に」

例外を一切認めない関係性において、例外的を認めるというのは些か勇気が必要なことだと、私自身は考える。
多用しては例外が当然に、当然が例外にすり替わってしまう。頭が堅いなどと罵られても構わない、自己を見失っては私は私という個性を失ってしまうのだから。

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#140文字小説「どこかで響いた銃声」

#140文字小説「どこかで響いた銃声」

耳を劈くような銃声に、俺は顔を顰めるしかなかった。不気味なほど静寂に包まれた街で、音は遠雷のように聞こえた。けれどそれは実際に人を殺めた音なのを、俺は知っている。
次は多分、俺の出番だ。
だから遠くではない近くで、俺は引き金を引き銃声を響かせるのだ。

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