明天会更美好

中国メディアのニュース翻訳や文書翻訳をやっています。主に中→日/I am Chines…

明天会更美好

中国メディアのニュース翻訳や文書翻訳をやっています。主に中→日/I am Chinese-Japanese translator. ツイッターもやっています。よろしくどうぞ。https://twitter.com/zhongwenfanyi 微博帐户名@明天会更美好2003

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記事一覧

固定された記事

閑話休題~あの日の事。

私が彼女と最初に会ったのは、中国に留学していたころでした。 当時私は広東語を勉強するために広州の某大学に留学してきたばかりで、「相互学習」する相手を探していまし…

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閑話休題(12)――日本の英語教育について思うこと

普段は中国語の翻訳や中国語学習について話しているのですが、今回は閑話休題として皆さんの身近な問題でもある英語教育の話題をしたいと思います。 今既に大学を卒業して…

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閑話休題(11)──私が中日翻訳者として思うこと

最近中日翻訳者として、いろんなことに対して危機感を抱いています。 その1つが、日本人の「中国語学習者」不足です。 Xあたりでも度々ポストはしていますが、最近は「…

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日本語っぽい中国語と中国語っぽい日本語

翻訳者として、中国語を日本語に、または日本語を中国語に翻訳しているといつも付きまとう問題があります。それは「日本語独特の言い回し(語句)」をどうやって中国語に落…

明天会更美好
2週間前
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語学学習にゴールは存在するのか

先日何気なしにnoteめぐりをしていたら、興味深い記事を見つけました。 筆者は中国語学習に「ゴールがある人もいるし、ない人もいる」という主張をしています。 実は私も…

明天会更美好
3週間前
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ネイティブの文章に近づけるにはどうすればいいのか

中国語学習を進めていくと、やはりいくつかの壁にぶち当たることがあります。その1つが「ネイティブの発音」「ネイティブが書く文章」「ネイティブらしい文構造」にどう近…

明天会更美好
1か月前
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「~出」表現に見る「違いを出せる翻訳」

中日のニュース翻訳を専門でやっていて初めて気づいたこと。 それは日本語文であれ、中国語文であれ、その言語の後ろにあるバックグラウンドやニュアンス、意味合いなどを…

明天会更美好
1か月前
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外国語学習者はSNSとどう付き合えばいいのか

自分自身常日頃感じていることがあります。それは「中国語学習者はSNSとどう付き合えばいいのか」という問題。 私が主戦場としているSNSは「X」(旧ツイッター)な…

明天会更美好
1か月前
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漢字にまどわされるな

中国語と日本語の共通点は何かと聞かれたら。皆さんはどう答えますか?私なら(多分多くの人がそう思っているでしょうが)、「どちらも漢字を使うこと」と答えるでしょうか…

明天会更美好
1か月前
23

翻訳・通訳で原文にない言葉を付け加えるのは善か悪か

先日Xをつらつらと見ていたら、次のようなポストが目に入りました。 ポスト主の尾形さんは、先日開催された大谷翔平選手の釈明会見で通訳を務めたウイル・アイアトン氏が…

明天会更美好
2か月前
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水原氏の騒動で私が思うこと

米国メジャーリーグの球団ドジャースの大谷選手の専属通訳である(だった)水原一平氏が、球団から解雇されたというニュースが駆け巡りました。このニュースに多くの人は驚…

明天会更美好
2か月前
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バイリンガルを目指す上で大切なもの

バイリンガル。外国語を学んだことがある人ならば誰しも、このバイリンガルになることにあこがれたことがあると思います。実際私も日中バイリンガルにあこがれてそれを目指…

明天会更美好
2か月前
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今年の全人代の総括

本当は中国政治に関する記事を投稿するのは先週限りにしようと思ったのですが。今日11日は全人代会議の閉幕日。ということでやはり触れざるを得ないでしょう。 今回は今…

明天会更美好
2か月前
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全人代の見どころ

今回は少し毛色を変えて、中国政治のことを触れたいと思います。いつもなら、中国政治のことについて解説するのは当noteの趣旨とは少し異なるので控えているのですが、やは…

明天会更美好
3か月前
19

日本語と中国語で違う意味

今回は中国語ネィティブの人、日本語ネイティブの人両方に見て欲しい話題をしようと思います。そう、日本語と中国語の漢字のニュアンスについて です。 Xを見ていると思…

明天会更美好
3か月前
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中国語にさりげなくある英訳語

中国語に限らず翻訳をしていると必ず遭遇する問題。それは辞書に出てこない語句、あるいは辞書にある訳語ではどうしても日本語としてしっくりこない語句をどう処理するかと…

明天会更美好
3か月前
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固定された記事

閑話休題~あの日の事。

私が彼女と最初に会ったのは、中国に留学していたころでした。 当時私は広東語を勉強するために広州の某大学に留学してきたばかりで、「相互学習」する相手を探していました。 「相互学習」とは、宿舎内の留学生が同じ大学の中国人の学生とペアを組み、留学生が日本語を、中国人学生が中国語を教えるというプライベートの相互家庭教師みたいなものです。 私はその大学に広東語コースで入ったわけで、普通話ではなく広東語を教えてくれるネイティブの学生さんを探していましたが、なかなか見つかりません。そ

閑話休題(12)――日本の英語教育について思うこと

普段は中国語の翻訳や中国語学習について話しているのですが、今回は閑話休題として皆さんの身近な問題でもある英語教育の話題をしたいと思います。 今既に大学を卒業して社会人になっているうちの娘ですが、小6だった当時、進学を希望する私立中学校のオープンキャンパスに行ってきました。オープンキャンパスでは、国語算数理科社会のほかに英語の体験授業も受けられるようになっています。そこで娘に「英語の授業を受けてみなよ」と言ってみたところ、「えー、英語だいっきらいだからいやだ」との言葉。 外

閑話休題(11)──私が中日翻訳者として思うこと

最近中日翻訳者として、いろんなことに対して危機感を抱いています。 その1つが、日本人の「中国語学習者」不足です。 Xあたりでも度々ポストはしていますが、最近は「チャイ語」レベルの学習者ははいて捨てるほどいても、「ガチで中国語を習得した人」「驚嘆するほど高い中国語のレベルの持ち主」が本当に見当たらなくなったと感じています。 確かにX界隈では、私も「すごいな」と思ってしまう中国語学習者はちらほらいます。しかし現実世界では、私が所属している会社に応募してくる人の中国語のレベル

日本語っぽい中国語と中国語っぽい日本語

翻訳者として、中国語を日本語に、または日本語を中国語に翻訳しているといつも付きまとう問題があります。それは「日本語独特の言い回し(語句)」をどうやって中国語に落とし込むか、「中国語独特の言い回し(語句)」をどうやって日本語に落とし込むかといった問題です。 実のところ、中国語のニュース文を訳していると、文法的にはちゃんとなっているのに、「あれ?日本語っぽい中国語文だな」と違和感を感じる文章に遭遇することが結構あります。その時に文章をよく見ると、実は元々の日本人の発言を中国語訳

語学学習にゴールは存在するのか

先日何気なしにnoteめぐりをしていたら、興味深い記事を見つけました。 筆者は中国語学習に「ゴールがある人もいるし、ない人もいる」という主張をしています。 実は私も、この「語学学習にゴールがあるのかないのか」というテーマについて以前noteで自分の考えをまとめています。 この記事で私が主張したように、「語学」の最大の難しい点は「現時点の語学のレベルをこれからもずっと維持すること」でしょう。「そんなこと分かっているよ」という人もいるかもしれません。 確かに、ある言語やそ

ネイティブの文章に近づけるにはどうすればいいのか

中国語学習を進めていくと、やはりいくつかの壁にぶち当たることがあります。その1つが「ネイティブの発音」「ネイティブが書く文章」「ネイティブらしい文構造」にどう近づけるかといった問題です。 私たちは中国語を習得する際に、中国語のテキストを使います。そのテキストの例文は中国語に造詣が深い専門家や、中国語ネイティブが考えているわけですから、必然的に中国語ネイティブが日常会話で使っている語句、普段書いている文章に近いものであるはずです。 しかし中国語のテキストの例文は、現地の人た

「~出」表現に見る「違いを出せる翻訳」

中日のニュース翻訳を専門でやっていて初めて気づいたこと。 それは日本語文であれ、中国語文であれ、その言語の後ろにあるバックグラウンドやニュアンス、意味合いなどを深く知らないと生み出せない文章・フレーズがあると言うことです。 要するに平たく言えば、「ネイティブじゃないと思いつかないよね、これ?」と言いたくなるような表現でしょうか。 最近ジブリ映画「君たちはどう生きるか」の台湾版と大陸版の中国語タイトルを並べて目にした時に、私はその思いをより強くしました。そう思わせたのは、

外国語学習者はSNSとどう付き合えばいいのか

自分自身常日頃感じていることがあります。それは「中国語学習者はSNSとどう付き合えばいいのか」という問題。 私が主戦場としているSNSは「X」(旧ツイッター)なのですが、「X」上にはさまざまなレベルの中国語学習者がいます。初級レベルの人もいれば、中国語検定1級に合格してしまうレベルの人も、はたまた中国語や他の言語も操れるバイリンガル、トライリンガルレベルの人もいる。自分の中国語レベルを活用して仕事を見つけた人もいる。そういう人たちをSNSで目にするたびに「すごいなぁ」と思う

漢字にまどわされるな

中国語と日本語の共通点は何かと聞かれたら。皆さんはどう答えますか?私なら(多分多くの人がそう思っているでしょうが)、「どちらも漢字を使うこと」と答えるでしょうか。 でもこのこと自体が日本人の中国語学習者、中国人の日本語学習者にとって、互いの言語を習得する上で大きなネックにもなっていると私は思っています。なぜか。それは同じ漢字が使われていることによって「中国語と日本語は全く別の外国語である」という意識が薄れてしまうからです。 「中国語と日本語は全く別の外国語である」。 こ

翻訳・通訳で原文にない言葉を付け加えるのは善か悪か

先日Xをつらつらと見ていたら、次のようなポストが目に入りました。 ポスト主の尾形さんは、先日開催された大谷翔平選手の釈明会見で通訳を務めたウイル・アイアトン氏が、大谷選手が発した「僕自身は何かに賭けたりしたことがない」という言葉を、「野球だったり、何かに賭けたことはない」と英訳し、「野球だったり」という大谷選手本人が発していない言葉を付け加えていたことを問題視しています。 これに対して、後になって「いや問題ない」というコミュニティノートがつきました。このあとのポストで尾形

水原氏の騒動で私が思うこと

米国メジャーリーグの球団ドジャースの大谷選手の専属通訳である(だった)水原一平氏が、球団から解雇されたというニュースが駆け巡りました。このニュースに多くの人は驚いたのではないでしょうか。 私自身も驚きました。今でも水原氏や大谷選手を取り巻くニュースが後を絶たない状況ですが、私は同時に現職の翻訳者として、そして昔通訳を目指していた一個人として、このニュースに違う意味で胸がざわついたのも事実です。 私は今でこそ中日の翻訳者として携わっていますが、今の仕事に就く前は日中・中日の

バイリンガルを目指す上で大切なもの

バイリンガル。外国語を学んだことがある人ならば誰しも、このバイリンガルになることにあこがれたことがあると思います。実際私も日中バイリンガルにあこがれてそれを目指した時期がありました。 その上で、今回は日本語と外国語のバイリンガルを目指す人に向けて、バイリンガルになる上で重要になる「母国語の能力」というテーマで少し語りたいと思います まず最初に断わっておくのですが、、私は言語学を研究しているわけではなく、あくまで素人考えであることをご理解ください。 語学界隈でよく言われる

今年の全人代の総括

本当は中国政治に関する記事を投稿するのは先週限りにしようと思ったのですが。今日11日は全人代会議の閉幕日。ということでやはり触れざるを得ないでしょう。 今回は今年の全人代会議で話題になった点を総括したいと思います。 総理記者会見の取りやめやはり今回の両会の中で、これが一番ハイライトになったといえるでしょう。この情報は、4日に開催された、全人代会議開幕直前に開催が恒例となっている全人代会議記者会見の席上で、婁勤倹報道官が発表したものです。発表後は中国ウォッチャー界隈では衝撃

全人代の見どころ

今回は少し毛色を変えて、中国政治のことを触れたいと思います。いつもなら、中国政治のことについて解説するのは当noteの趣旨とは少し異なるので控えているのですが、やはり今週は触れざるを得ないでしょう。なぜなら今週は中国にとって一年一度の重要な政治イベントがあるからです。そう。全人代と全国政協会議の開催です。そこで、今回は全人代と全国政協会議の(私が知りうる範囲の)基礎知識と、今年の全人代会議、全国政協会議の見どころを少しお話したいと思います。 まず触れておきたいのは、全人代と

日本語と中国語で違う意味

今回は中国語ネィティブの人、日本語ネイティブの人両方に見て欲しい話題をしようと思います。そう、日本語と中国語の漢字のニュアンスについて です。 Xを見ていると思うのですが、中国語ネイティブの人たちの日本語はとても素晴らしいと常々思っています。文章も日本語ネイティブとそん色ないものを書いている人がごろごろいる。 しかし同時に、中国語ネイティブの人たちが書く日本語の文章で、「日本語の漢字の使い方を間違っているのでは?」という場面に遭遇するところが多々あり、「惜しいな」と思うこ

中国語にさりげなくある英訳語

中国語に限らず翻訳をしていると必ず遭遇する問題。それは辞書に出てこない語句、あるいは辞書にある訳語ではどうしても日本語としてしっくりこない語句をどう処理するかということです。 この点の処理については、以前のnoteでも取り上げたことのある話題ではあります。しかしやはり、「中国語→日本語」の翻訳者には今一つ浸透していない印象を受けています。 そこで今回は「重要事項の注意喚起」として、もう一度語ってみたいと思います。 ◇◇ このような「ちょっと引っかかる語句」の処理につい