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【執筆記】ベタな展開やキャラクター設定しか思いつかない時の私的対処法

初のお蔵入りの危機

4日前にプロットを作り、3日前から試験的に連作短編を書いてみている。
1万字ほどの第1章を書き上げたところで思った。

「これ、お蔵入りになるかもしんない」

お蔵入り……
執筆歴たった4ヶ月にして早々に、人生初のお蔵入り。
辛いよ~プロットさんに申し訳ないよ~、いけると思ったから書いたのに~。
一応形作ったものを捨てるのは本当に心が痛む。
心を痛め、昨晩就寝した。

そして今朝。思った。
「やっぱりこのプロット、捨てずに済みそうじゃない?」

その仮結論に至るまでのプロセスは以下の通り。


1. お蔵入りさせたい理由を分析する

私が今回お蔵入りだなぁと思った理由、それは「ベタに感動させようとしているのが鼻に付く」
特に「ベタ」。
じゃあ何故ベタになるのか?
今回については、ストーリー展開のベタと、キャラクターのベタの合わせ技、と言うかもうすべてなんだけども、こうして要素分解するの大事だから!


■ストーリー展開のベタ
しかしこれに関しては私は「別に結構ベタでもいいんじゃないの?」と思っている。
何故なら、日本人はやっぱベタが好きだから。
例えば流行りまくってる「異世界転生」「悪役令嬢」。
短期的ベタといえる。
小説の根幹のテーマや舞台設定が被った作品が、商業においても結構な本数で発表され、かつ支持されている。
ベタでも流行りでも、全然売れる。
全ての小説が革新的でないと人気が出ない、そんなことはない。

というかむしろ逆なのでは。

余命ものも流行っている。限りある人生の時間の中で、儚くでも全力で恋愛する。
これ、「愛と死をみつめて」とテーマ的には同じ、ですよね?違ったらゴメンけど。

あるいは、「世界の中心で、愛を叫ぶ」。「君の膵臓を食べたい」。
これらの作品は共通のテーマでありながら、広く世間の人々を感動させた。

その要因の一つとして、「普遍的テーマの作品でありながら、一発でその小説だと分かる印象的な場面やワードがある」と言うことが挙げられるのではないかと。
「誰か助けてくださぁい!!!」と叫べば、ああセカチューね、となるし、
「君の膵臓をたべたい」に至っては、「あの膵臓の小説なんだっけ?」と聞かれたら即答できる。
※もちろん、ストーリー展開にも独自性ありますが!

結局、テーマや起きる事象はベタでもOKだと。
そこに印象的な、輝くものが有ればよいと。
※それがめちゃくちゃ難しいんだよ。

■キャラクター設定のベタ
これは由々しき問題ではないだろうか。

そもそも現実の私たちも、なかなかのベタを生きている。
小中高大と進学し、新卒で就職する。満員電車に揺られて通勤し、上司はうるせぇ部下は屁理屈こねる、みたいな。
でも、そのうるせぇ上司が例えばピンクベストの春日俊彰係長だったら。屁理屈こねる部下がひろゆきだったら。
快適ではなさそうだけど、他社で働く友人に話すエピソードは格段に面白くなりそう。

つまり、設定がベタでも、キャラクターが個性的なら何とでもなる、と言うことではないだろうか。

総合すると、私の小説がベタになりそうな根本的な原因は「キャラクター設定に工夫がない」ことだと推測できる。
そして実際ベタ。
バックパッカーは陽キャだし、モテる女子高生は黒髪セミロング。
ほんと、浅い。作り込みが浅い。

2.ベタしか思いつかないなら、逆張りすればいいじゃない

これですよ。
「発想が貧困でベタしか思いつかない」、これは意外と使えると思う。
そのベタをすべて反転してしまえば、あっという間に非ベタなキャラクターになる。たぶん。
駄菓子屋の店主を「意地悪そうなばぁちゃん」と設定したなら、「優しそうな若い男」にする。
ファッション誌の編集員を「スリムで都会的なお洒落な女性」と設定したなら、「標準体型の野暮ったい、お洒落なんて必要ないと思っている女性」にする。
これは「プラダを着た悪魔」ですね。
「プラダを着た悪魔」は、すっごく意地悪に要約すれば鬼上司に翻弄されるサラリーマンの話。
でも、キャラクターの個性や積み重ねる小~中エピソードの突飛さで、ものすごく面白い映画になる。

と言う訳で、キャラクターの半数以上を、逆張りした。
するとどうでしょう。
「うわーこの子の口調すっごい想像しやすい!」
「めちゃくちゃ訳アリっぽくなるから、背景のエピソードで、ストーリー展開の穴を補強できるな」
ベタ小説が僅かながら息を吹き返す気配……。
キャラクターが個性的であれば筆もノる。
筆がノれば、オリジナリティある情景描写やモノローグができる(たぶん)

さらに、ストーリー展開だって、逆張りしてもいい。
今回はまだやっていないけれど、私はこれまでほぼ全ての小説において、逆張りをしてきた
例えば「あいこさん~」なら、りおちゃんの一件。
ベタ脳の私は、何と当初普通に、りおちゃんとカップル成立させよっかなーと思っていた
ひどい。
おもんない。
おもんないなーと思ったので逆張りし、かつ、途中までの展開を「ベタすぎじゃない?」とモノローグで突っ込ませた。

その他にも、泣くと思っていた場面で怒らせる。別れると思っていた場面で修復する。失敗すると思っていた場面で成功させる。そういう逆張りをしたエピソードは、結果的に結構好きなパートになった。
 

結論:ベタ脳を愛せ?

私も又、特に事件性のない人生を生きてきた。
大学進学で上京、数年働きUターン、地元の同級生と20代後半で結婚、2人の子供がいる。
こんな普通の人生の中で、突飛な発想をし続けるのはなかなか難しい。
今回のように急ごしらえしたプロットがベタになるのは当たり前である。

しかし!このベタだらけの土台を作れるということは、イコール逆張りすればとてもユニークな土台を作れるということだ。
無意識にガチガチのベタを作ってくれる自分に感謝。

オセロのようにベタをひっくり返し、白一色のおもんない局面を、黒白混在し先の読めない展開にしてやろうと今朝決意した。


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