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私の小さな物語

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私の小さな体験談と創作を混ぜた物語です。
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記事一覧

満面の笑みで食べるあなたへ

満面の笑みで食べるあなたへ

久しぶりに平日の休みが取れたアヤカは渋谷の公園通りにいた。
この辺りもだいぶ変わり、パルコもピカピカになっている。
パルコ前の交差点周辺もだいぶ変わり、新しくホテルが併設されたカフェができていた。アヤカは友人とそのカフェにはいった事があったが、今日は昔よく行っていたカフェに行こうと決めていた。なぜだかわからないが、10年前にパルコ前の交差点を上がった会社に勤めていたアヤカは当時、昼ごはん時に

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バレンシアの公園で

バレンシアの公園で

バレンシアの火祭りの朝、アヤカはホテルの窓から下の道路を見下ろした。人の頭が虫のように行列にならんでごった返している。アヤカの横からケイが顔を出す。 「やばい人の量だね。まるでディズニーランドだ。」ケイが呟く。
ケイが起きるの、マサとヤスも起きてきてマサは肩を擦り、ヤスは目を擦っている。
「ちゃんと寝れた?流石に3人で1つのベッドはきつかったね。」ケイがマサとヤスに話し始める。
「寝返り打てなくて

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ポテトフライとポテトチップ

ポテトフライとポテトチップ

フライパンの上を細長い形に切られたジャガイモがプカプカ浮いている。ぱちぱちと油がはねる音がして、しばらくすると音が小さくなる。
「そろそろもう取り出していい頃じゃない?」ユウの祖母ヤスコが言うと、ユウはまわりが少し黄金色になったポテトをすくいあげる。軽く塩をふると、ローストビーフののった大皿の脇にポテトフライが並びにはじめる。お祝いプレートの完成だ。

夕食時にユウのママ、アヤカはプレートを見て

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16号沿いのぺこちゃん

16号沿いのぺこちゃん

大きな屋根の白いレストランの前に立つ君
思わず頭をなでる
中へ入るとライトグリーンのソファ席が並ぶ
特別な日にしか来れないんだ
だから君は私にとって特別
私はいつもチキンバスケットかクラブハウスサンドを
そしてデザートはイチゴのパフェ
幸せを噛み締めながら高い天井を眺めうっとりする
突然音楽が鳴り、隣のテーブルには君ののったオルゴールがくるくる回る
店員さんたちが歌を歌い、女の子が笑う
君は幸せの

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カセットテープと愛すべき物語

カセットテープと愛すべき物語

ゆりこ(5歳)は幼稚園から帰るとすぐにカバンを自分の部屋に置いて1階のリビングに駆け込んだ。そしてカラフルな箱を開けると6つのカセットテープが入っている。「今日は何にしようかな〜♪」ゆりこは鼻歌のようにつぶやく。「じゃあ、今日はシンデレラ!!」水色の10cm×20cmほどのカセットテープデッキにカセットテープを入れると、ゆりこは絵本を開き始めた。

この物語のテープセットはクリスマスにゆりこがサン

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二人きりのぞうきんがけ

二人きりのぞうきんがけ

登場人物: 藤原拓也(8歳)中野百合(8歳)小山健児(8歳)渡辺友美(8歳)

神奈川県の川崎市にあるその小学校は、住宅街にあり、子供の数が多かった。一学期も終わる頃、昼休みにあるノートが百合にまわってきた。ノートのタイトルは「好きなものノート」ジャポニカのてんとう虫の写真の自由帳を開くとマス目状に欄が分けられていて、左側には名前、上には項目が書いてある。好きな本、好きな科目、好きな色、好きな事、

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花火とりんご飴

花火とりんご飴

人物
皆川美香(25)山本雄太(25)
渋谷明日香(23)細川優斗(26)                     

◯神奈川県相模川近く
花火大会の看板。浴衣の人々で賑わう
◯厚木駅、駅前通り(夕方)
皆川美香(25)と山本雄太(25)は手をつなぎ厚木駅の駅前通りから花火大会の会場である相模川近くの川沿いまで歩く。通りにはたくさんの出店が出ている。道路にはすごい人の数が溢れている。
雄太「実香

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