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花火とりんご飴

人物
皆川美香(25)山本雄太(25)
渋谷明日香(23)細川優斗(26)                     


◯神奈川県相模川近く
花火大会の看板。浴衣の人々で賑わう
◯厚木駅、駅前通り(夕方)
皆川美香(25)と山本雄太(25)は手をつなぎ厚木駅の駅前通りから花火大会の会場である相模川近くの川沿いまで歩く。通りにはたくさんの出店が出ている。道路にはすごい人の数が溢れている。
雄太「実香、迷子になるなよ。ちゃんと手をつないでいるように」
実香「わかった。それにしてもすごい人の数だね。ちょっと待って、たこ焼き買いたい!」たこ焼き屋の前には5.6人並んでいる。
雄太「はいよ。じゃぁ、俺、店の脇で待ってるよ。」
相変わらず、人の流れがすごく、並ぶのもやっとだった。実香は15分程度待ち、たこ焼きを買う。たこ焼きを片手に裕太を探し、2メートル先に裕太を見つけ目で合図をする。雄太は実香の方に来る。人に流されながら、実香は雄太のほうに手を差し出すが、人が多くて雄太の顔が見えない。実香は自分の手に雄太の手が触れたのを感じ、前に歩き出そうとする。
細川「違う。違うよ!」
細川優斗(26)が叫ぶ。実香は後ろを振り返る。
細川「違う人の手、繋いでるよ」
実香はつないだ先を見ると知らない男の人がいる。
実香「あ、すいません。間違えました!」
実香は顔を赤らめる。その後ろに雄太がいる。
細川「彼氏と間違えないように!」
細川は笑い、隣には渋谷明日香(23)がいる。
明日香「ちょっと何やってるの?」
明日香はふくれっ顔をしている。
細川「じゃあね。」
実香に手を振る細川。
実香「雄太が早く来てくれないから間違えたじゃないの」
雄太「いやいや、実香が人の顔も確認せずに行っちゃうからでしょ。とりあえず行こ!」
雄太は笑いながら答える。


◯川沿いの丘(夜)
実香と山本は座って花火を見る。
◯河原の土手、トイレ前花火大会終了後、実香は雄太がトイレに行ったのでトイレの近くで待つ。細川が立っているのが見えたので歩いて行く。
実香「さっきはすいませんでした!」
細川「全然いいよ、すごい人だったし、しょうがないよ。彼女すねてたけど。」
細川は笑いながら答える。
実香「花火、きれいでしたね。私、ここの花火が1番好きです。毎年来てるんです。」
細川「そうなんだ。俺も毎年来てるよ。実は何回かすれ違ってたのかもね。あいつ遅いな。あ、りんご飴食べる?俺好きなんだ。いるなら買ってくるよ。」
実香「え、あ、じゃあ、いります。」
細川は近くにある屋台のりんご飴を2つ買い、1つを実香に渡す。細川は飴を舐めはじめる。
細川「名前なんていうの?俺は細川優斗」
実香「えっ、実香です。皆川実香です」
細川「実香ちゃんか。あ、やべ、彼女きたわ。これあげる。」
細川は紙切れを実香の浴衣の裾ポケットに入れる。
実香「えっ」
細川は走っていく。実香は立ち尽くすが、そこに雄太が帰ってくる。
雄太「どうかした?変な顔して」
実香「うん、何でもない」


◯海老名市、皆川家全景。実香の部屋(夜)
実香は浴衣を脱いで裾の中の紙を見る。
紙の内容「細川優斗、電話〇〇、メール〇〇」実香は驚き目を丸くする。机に置いたりんご飴を見つめる。


1年後
◯神奈川県相模川近くの河原、全景(夕方)花火大会の看板。
◯河原の近くの丘(夜)
花火が上がる。実香と細川が横並びで座り、りんご飴をなめている。
細川「懐かしいな、1年前。でもなんで連絡くれたの?」
実香「私もりんご飴が好きだったから。」
2人は河原の上でぐっと手を繋ぐ。

終わり

お題、出会い。

#ショートストーリー #夏 #花火

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