【評論】日本伝統音の深み
「ー(略)ー 邦楽の音は私にとって新鮮な素材としての対象にすぎなかったが、それは、やがて私に多くの深刻な問いを投げかけてきた。私はあらためて意識的に邦楽の音をとらえようとつとめた。そして、その意識はどちらかといえば否定的に働くものであった」
作曲家武満徹氏が邦楽に触れたときのひとつの認識として、自己の感覚で得た発言である。
西洋音楽を扱う作曲家がかかわれば、異なった性質のゆえにつかみずらく、扱いにくい領域であるのは間違いない。
日本の音楽は古来の伝統、ないし楽器の性質から