粉ゼラチン

怖い話が好きです

粉ゼラチン

怖い話が好きです

最近の記事

【怪談】アルファベットの話

得体の知れないものには、不用意に触れるべきではない。 それにとって、何が引き金となるか分からないのだから。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー Uさんは地元の公立小学校に通っていた。 彼の地元は、無法地帯というほどでもないが、あまり整っていないというか、ともかく治安がそこまで良くはなかったらしい。 Uさん本人は、地元を「日本のスラム街」と称していた。 まあ、それは流石に極端な例えだが、ヤンキーや野良犬、少し様子のおかしいおじさんおばさんなんかをちらほら見かける地域だ

    • 【怪談】なまはげの話

      神罰なのかもしれないし、別の何かに付け込まれたのかもしれない。 今となっては、もう確かめようのない話である。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 今年でもう40半ばになるNさんは、東北の出身である。 本人曰く、「東京からすればド田舎だけど、地元の方では比較的都会」な場所に生まれたのだとか。 少なくとも、スーパーやコンビニ、病院などは不自由しない範囲内にあったらしい。 そんな場所でも、季節ごとの行事や儀式はしっかりと行っていたようで。 「トラウマなんだよな、なまはげ

      • 【怪談】ほどけた話

        どこかにあるのかもしれない、画像の話。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー Eさんが小学校高学年の頃、高性能なキッズケータイが流行していた。 電話やメールはもちろん、カメラ機能やちょっとしたゲーム、果てはインターネットに繋いでウェブサイトを閲覧したりすることもできる類のものだ。 Eさんもそういったケータイを買い与えられてはいたが、親の手によってネットは使えないように設定されていた。 多くのクラスメイトもそんな感じだったそうだ。 しかしこの年の子供というものは、己の

        • 【怪談】捨てられる服の話

          怖いから、真相は確かめていないのだという。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 音楽関係の仕事に就いている、Sさんという人から聞いた話だ。 Sさんは現在東京に住んでいるのだが、出身地は東北である。 小学校も中高も東北であり、高卒で就職した企業も東北にあった。 そのまま20代半ばくらいまでは地元で働いていたらしい。 しかし幼い頃から抱いていたミュージシャンになるという夢を諦めきれず、思い切って仕事を辞めて上京した。 それから3年ほどが経ち、今はミュージシャンにこそ

        【怪談】アルファベットの話

          【怪談?】明晰夢の話

          怖い話や不思議な話かというと、そんなことはない。 超自然的な要素も、一切ない。 ただ、本日8月21日に見た夢が、今から思い返すと若干不気味だったので、ここに書き記しておこうと思う。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私はよく明晰夢を見る。 そもそも、夢の世界観が現代日本でないことが多いのだ。 主人公――というか夢の世界を映す視点となる人物も、自分自身でないことがほとんどだ。 小学生くらいの男児なこともあれば、腰の曲がった老婆なこともある。 私はそんな架空の人物とし

          【怪談?】明晰夢の話

          禍話リライト「アゼバシリ」(怪談手帖)

          バラエティー番組によくある、動物動画へのアテレコが嫌いになるような話である。 そういった類の番組が好きな方は、読むのを避けた方が良いかもしれない。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「動物番組とか、動物をネタにした動画とかあるじゃないですか。苦手なんですよね、あたし」 Aさんはそう言ってから、僕の次の言葉を見越したように慌てて続けた。 「いや別に、動物に対する人間の傲慢さが~とか、そういう何かちゃんとした理由があるわけじゃないですよ。ただもう、ほんとに、単純に苦

          禍話リライト「アゼバシリ」(怪談手帖)

          禍話リライト「山羊のいた家」(怪談手帖)

          Aさんが、お祭の後の宴席――僕はほとんど下戸なので聞き役に徹していたのだが――で話した、山羊に関する思い出。 彼の子供の頃、家のすぐ近所に大きい屋敷があって、所謂地域の名士と言われる一家が住んでいたのだが、その家に一頭の山羊が飼われていた。 外に放していたわけではなく、家の中に特別な一室を作ってそこに閉じ込めていたようだ。 半年に一度だけ禁が破られ、庭先に据えた台の上に山羊が引いてこられる。 その山羊の姿がトラウマなのだという。 全身が痩せてひょろ長く、脱色したようにのっ

          禍話リライト「山羊のいた家」(怪談手帖)

          【怪談】ルールの話

          有名な妖怪や都市伝説の類には、対処法が付き物である。 口裂け女にはポマードと三回唱えると良いだの、べっこう飴を渡せば見逃してもらえるだの。 カシマさんなんかは、なぞなぞや質問をしてきて、それに答えられないと殺されると言うが、翻って言えば質問に答えられさえすれば助かるということだ。 そういった、怪異への対処法に関する話である。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー Sさんの小学校では、こっくりさんが流行っていた。 平成も後半に差し掛かっていたときの話である。 こっくり

          【怪談】ルールの話

          【怪談】コンセントの話

          怖いというより、意味の分からない、奇妙な話だ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー Aさんは今年から一人暮らしを始めた大学生である。 地方にある実家を出て、東京の大学に通うこととなったのだ。 都心というほどの場所でもないのだが、やはり都内である以上どうしても家賃が高い。 なるべく節約して趣味を楽しみたかったAさんは、とある家賃の安いアパートに目星をつけた。 女性の一人暮らしということもあって両親には難色を示されたものの、彼女はそれを押し切って安アパートの一室を借り

          【怪談】コンセントの話

          禍話リライト「獏」(怪談手帖)

          Aくんの中学時代の話である。 友人というほど親しくない、Bくんという生徒がいた。 Bくんは同級生とのふざけあいや、中学生なりの付き合いというのが苦手なタイプで、休み時間はいつも一人で本を読んで過ごしていた。 学生というのは残酷なものである。ただそれだけで「陰気」と言うレッテルを貼られてしまったBくんは、クラス内の所謂明るい不良グループから半分いじめのような数々のいじりを受けていた。 そんなときBくんは、ただひたすらにじっと耐えているような子だったという。 AくんはBくんと

          禍話リライト「獏」(怪談手帖)