米国株決算マン2世(米国企業決算から見るビジネス最前線)

投資とビジネスに役立つ、決算データで見る注目企業動向。 2020年6月にStraine…

米国株決算マン2世(米国企業決算から見るビジネス最前線)

投資とビジネスに役立つ、決算データで見る注目企業動向。 2020年6月にStrainerファミリーに。2023年6月に初代決算マンから交代、ストレイナーの米国記事を掲載しています。

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アリババグループ決算!利益減少で株価6%落、越境EC続伸も黒字化は依然遠い

中国Eコマース大手、アリババグループの苦境が長引いている。 5月14日に発表された2024年1〜3月期決算で、売上高は前年比7%増の2,219億元(≒307億ドル)。営業利益は同じく3%減の148億元(≒20億ドル)となった。Eコマース事業への投資を拡大したほか、物流事業『Cainiao』の従業員向けのインセンティブが重石となった。 純利益は同じく96%減の32.7億元(1.3億ドル)。上場している投資先の株価が低調のため、損益に反映された。株式の含み損益や株式報酬、減価

    • 総決済高の急拡大続く「マルケタ」給与払いの早期化(AWA)で更なる成長へ

      カード発行プラットフォームのマルケタ(Marqeta)が、総決済高(TPV)の拡大を続けている。5月7日に発表された1〜3月期決算で、三か月間のTPVは670億ドル(前年比33%増)だった。 今年2月には、1日あたりの決済額が初めて10億ドルを超えたことを発表。UberにSquare、Instacart、DoorDashまで、名だたるプラットフォームを巻き込んでの成長を続けてきた。 売上高は前年比46%減の1.18億ドル。大幅減となったのは、2023年7月に開始した『Ca

      • Airbnb 1Q決算:パリ五輪見据え予約数が過去最高!決算発表後の株価は急落

        Airbnbは5月8日、2024年1〜3月期決算を発表。売上高は前年比18%増の21.4億ドル、営業利益は1億ドル(前年同期は赤字)だった。 同社が掲げる成長戦略は、三つの柱からなる。ホスティング(部屋の貸し出し)の認知度を上げること、ゲストから見たコアサービスを磨くこと、コアサービス以外に広げることである。 総予約数(Night and Experiences Booked)は過去最高の1.33億件(前年比9.5%増)。前年比のハードルも高かったが、さらに拡大した。1〜

        • Uber 1Q決算!食料品配達『Instacart』とタッグ、ドミノピザとの提携も進捗

          デリバリープラットフォームなどを手がけるUberが5月8日、2024年1〜3月期決算を発表。売上高は前年比15%増の101億ドルだった。営業利益は1.7億ドルで、4四半期連続の黒字を継続している。 ダラ・コスロシャヒCEOは「今決算の結果は、我々が一貫して黒字での成長を続けられることを示した」と主張。700万人超がUberのプラットフォーム上で稼ぎを得ていることもアピールした。 月間アクティブ利用者数(MAPC)は前年比で15%拡大、利用頻度も6%伸びている。ドライバーや

        アリババグループ決算!利益減少で株価6%落、越境EC続伸も黒字化は依然遠い

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        • 月刊 米国株決算祭り
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          Hims & Hers決算!パーソナライズ続伸で営業黒字化、”三つの仕組み”で更なる成長へ

          ヘルス&ウェルネスプラットフォームを標榜する「Hims & Hers Health」が引き続き好調だ。売上高は前年比46%増の2.8億ドル、営業利益は990万ドルで黒字転換を果たした。 前回決算で発表された売上予想を上回り、4〜6月の売上予想も2.92〜2.97億ドル(40〜43%増)と力強い。株価は三月をピークに下落傾向だったが、今回決算発表後の時間外株価は13%近い上昇となった。 アンドリュー・ダダムCEOは「2023年に作ったモメンタムが続いている」と豪語。薄毛対策

          Hims & Hers決算!パーソナライズ続伸で営業黒字化、”三つの仕組み”で更なる成長へ

          パランティア決算:業績堅調も時間外急落、CEOが「競合は存在しない」と豪語

          ソフトウェア企業のパランティア(Palantir)が5月6日、2024年1〜3月期決算を発表。売上高は前年比21%増の6.3億ドルに加速。営業利益は8,088万ドル(前年比20倍)だった。 アレックス・カープCEOは株主向け書簡の冒頭で、これまでの苦労を振り返った。大企業、ましてや政府機関向けの技術インフラを作ることは、事業を破綻させる最も確かな方法だなどと投資家に言われてきたという。 同社が創業したのは2003年のことだ。それから20年以上が経ち、世の中は変わった。カー

          パランティア決算:業績堅調も時間外急落、CEOが「競合は存在しない」と豪語

          Apple最新決算:前年の反動でiPhone売上は一割減も時間外株価は6%高

          Appleが5月2日、2024年1〜3月期決算を発表。売上高は前年比4.3%減の907億ドル、営業利益は同じく1.5%減の279億ドルだった。 サービス売上高は過去最高を更新。ティム・クックCEOは、新製品『Apple Vision Pro』がもたらす「空間コンピューティング」の可能性に言及した。来週にはさらにエキサイティングな発表も控えているという。 決算発表後の時間外株価は6%以上の上昇中。iPhone売上高が減少した一方、市場予想を上回った。1,100億ドルもの自社

          Apple最新決算:前年の反動でiPhone売上は一割減も時間外株価は6%高

          スーパーマイクロ3Q決算!業績続伸見込むも株価は急落、液体冷却製品の量産本格化

          AIサーバーの取り扱いで注目を集めるスーパーマイクロコンピュータが4月30日、2024年1〜3月期決算を発表。売上高は38.5億ドル(前年比290%増)、営業利益は3.8億ドル(同372%増)だった。 業績としては堅調に見えるが、株式市場の期待には届かなかったようだ。3月にピークをつけた株価は軟調な推移が続いており、今回の決算発表後における時間外株価は約10%の下落となった。 チャールズ・リャンCEOは業績の伸びが競合を上回っていることをアピール。新たな製品計画とともにA

          スーパーマイクロ3Q決算!業績続伸見込むも株価は急落、液体冷却製品の量産本格化

          Amazon 1Q決算:配送改善とAWS加速で収益性向上、AI需要拡大に向け設備投資を拡大

          Amazonが4月30日、2024年1〜3月期決算を発表。売上高は前年比12.5%増の1,433億ドル、営業利益は同じく220%増の153億ドルだった。 アンディ・ジャシーCEOは「良い一年の始まりだった」と回想。インフラを刷新する企業の需要に生成AIへの引き合いが加わり、AWS事業の売上成長が加速。AWSの売上規模は、今や年間1,000億ドルペースにのぼる。 ストア事業では、品揃えと価格競争力、配送速度の三点に注力する従来の戦略を強化。プライム会員向けの配送は1〜3月期

          Amazon 1Q決算:配送改善とAWS加速で収益性向上、AI需要拡大に向け設備投資を拡大

          Alphabet 1Q決算!大量に情報入力できる『Gemini 1.5 Pro』発表、検索事業の盤石さアピール

          アルファベットが4月25日、2024年1〜3月期決算を発表。売上高は805億ドル(前年比15%増)、営業利益は255億ドル(同46%増)だった。 スンダー・ピチャイCEOは「検索、YouTube、そしてクラウドが事業を牽引した」と表明。独自の生成AIツール『Gemini』を含め、会社全体で勢いが増していることをアピールした。 重要視するのは、AIをめぐる業界でのポジショニングだ。新たな大波を見据え、ピチャイ氏は「六つのポイント」を挙げた。研究開発とインフラにおけるリーダー

          Alphabet 1Q決算!大量に情報入力できる『Gemini 1.5 Pro』発表、検索事業の盤石さアピール

          Microsoft 3Q決算!クラウドからソフトウェアまでAIが成長を牽引中

          マイクロソフトが4月25日、2024年1〜3月期決算を発表。同社においては第3四半期にあたる。 売上高は619億ドル(前年比17%増)に拡大し、営業利益も276億ドル(同23%)と堅調。株価はこの一カ月で5.4%ほど下がったが、決算発表後の時間外株価は4.6%上昇した。 サティア・ナデラCEOはプレスリリースで「CopilotシリーズがAI革命の新時代を指揮している」と豪語。あらゆる職種や業界において、ビジネスの結果を改善していると付け加えた。 新たな決算を読み(聞き)

          Microsoft 3Q決算!クラウドからソフトウェアまでAIが成長を牽引中

          メタ・プラットフォームズ1Q決算!損益堅調もAI投資拡大を表明、株価は急落へ

          メタ・プラットフォームズが4月24日、2024年1〜3月期決算を発表。売上高は365億ドル(前年比27%増)、営業利益は138億ドル(同91%増)だった。 増益基調が続く中、メタ社の株価はこの一年間で138%もの上昇。ところが決算後の時間外株価は、執筆時点で15%以上の急落となっている。理由の一つは、4〜6月の売上予想が365〜390億ドル(前年比14〜22%増)と減速が見込まれるためだ。 もう一つ今後を大きく左右しそうなのが、同社の「投資サイクル」。過去数年は短尺動画「

          メタ・プラットフォームズ1Q決算!損益堅調もAI投資拡大を表明、株価は急落へ

          テスラ 1Q決算!販売台数減少の中リストラ表明、新型車種の発売は前倒しへ

          電気自動車メーカーのテスラが4月23日、2024年1〜3月期決算を発表。売上高は213億ドル(前年比8.7%減)、営業利益は11.7億ドル(同56%減)となった。 業績悪化がすでに織り込まれていたこともあり、時間外株価は目下13%もの上昇中。イーロン・マスクCEOが語る今後の展望に、気持ちを揺さぶられる投資家はまだまだ少なくないようだ。 マスクCEOが語る成長戦略の中心には、自動運転と新型車種がある。ロボタクシーの展開も間近に迫っており、人型ロボットの開発も進める。果たし

          テスラ 1Q決算!販売台数減少の中リストラ表明、新型車種の発売は前倒しへ

          TSMC 1Q決算:スマホ軟調もHPC牽引、下期は売上復調見込むが粗利率悪化へ

          半導体ファウンドリ最大手のTSMCが4月16日、2024年1〜3月期決算を発表。 復調期待が大きく高まった前四半期と比べると売上・利益ともに減少し、決算発表翌日の株価も4.9%の下落。生成AIの盛り上がりとともに関連する需要が高まっているが、会社全体を上向かせるには至っていない。 とはいえ、結果を断ずるのは時期尚早と言える。大きな割合を占めるスマートフォン向けは、業績が軟化した最大の要因。パソコンやサーバー向けにおいては、生成AIの台頭がこれ以上ない好機になりつつある。

          TSMC 1Q決算:スマホ軟調もHPC牽引、下期は売上復調見込むが粗利率悪化へ

          Netflix 1〜3月決算:有料会員続伸も時間外株価は下落、今後の成長持続は可能か?

          Netflixが今朝方、2024年1〜3月期決算を発表。売上高は93.7億ドル(前年比15%増)、営業利益は26.3億ドル(同54%増)だった。 足元の成長は力強いが、2024年の売上成長率は「13〜15%」に落ち着く見通しを表明。昨年から始めた「ペイドシェアリング」(アカウント共有対策)による売上成長が一巡する見通しが固まり、時間外株価は目下4.9%の下落となっている。 それに加えて注目を集めているのは、「2025年1〜3月期より先は有料会員数と会員単価(ARM)の定常

          Netflix 1〜3月決算:有料会員続伸も時間外株価は下落、今後の成長持続は可能か?

          ウォルマートとの連携で急成長!”レシート買取”アプリの老舗「Ibotta」が新規上場

          米国で人気のキャッシュバックサービス、Ibotta(アイボッタ)が近くニューヨーク証券取引所への新規上場を果たす。 2012年に創業した同社を立ち上げたのは、なんと法律家出身の起業家だ。イエール大のロースクールまで通ったにも関わらず、「自分のやりたいことではない」と考えて起業家に転身。法律とは真逆の世界に見える”レシート買取アプリ”を立ち上げることになった。 今ではレシート買取にとどまらず、名だたるブランド企業を巻き込むプラットフォームへと成長。2023年には営業黒字かも

          ウォルマートとの連携で急成長!”レシート買取”アプリの老舗「Ibotta」が新規上場