傘籤

傘を忘れた狐が雨宿りのために立ち寄った喫茶店で、のんびり映画のことや、本のこと、しょう…

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傘を忘れた狐が雨宿りのために立ち寄った喫茶店で、のんびり映画のことや、本のこと、しょうもないことなんかを暇つぶしに書いている。そんなイメージのnote。そんな熱量のnote。 どこから読んでも構いません。籤でも引くように選んだその記事が、あなたの何かに刺さればさいわいです。

マガジン

  • きつねの本棚(小説・絵本)

    読んだ小説について書いた記事のまとめ置き場。生きているうちにあとどれくらい本が読めるだろう。とはいえ考えても仕方ない。「始まりはいつも今日」なのだから。

  • 虎の威を借る狐

    タイトル通り、もの知らずなきつねが人様の記事を集めて強く見せようという志の低いマガジン。がおー。

  • きつねの雑記帳

    ただの日記や趣味の記録など、適当に書き綴った文章置場です。こんな所までたどり着くなんて、あんたも成長したもんだ。

  • きつねの映画館

    観た映画の感想記録。なあ君、映画館を享受せよ。光も闇も満ちに満ち、ポップコーンだってあるんだ。

  • きつねの美術館

    美術館に行った記録や、アート作品についての記事を書けたらいいなあと思ってます。思うだけなら自由だもんね。「Everything you can imagine is real.」

最近の記事

  • 固定された記事

「#私の最愛海外文学10選」を生成

最近「#私の最愛海外文学10選」というタグをよく見かける。X(旧Twitter)で流行っているタグらしく、色んな人の10選を眺めていると読書欲が湧いてきて楽しい。相互さんもこれについての記事を書いていて、読んでいたら自分もやりたくなったので便乗してみることにした(下記リンクが参考にさせていただいた方の記事です)。「文学」の定義は人によってさまざまなので、ここではとりあえず「日本以外の国の言葉で書かれた小説」くらいのゆるい基準で選んでいます。なのでジャンルはてきとー。まあ偏って

    • 「#私の最愛日本文学10選」を生成

      以前「#私の最愛海外文学10選」というタグをもとに自分なりの海外文学10作品を選んでみるという記事を書いた。あれも入れたいこれもいれたいで選ぶのが難しかったけど、それが楽しくもあり、ひとつひとつの作品に対して感想を書くのは「なぜその小説を自分は好きなのか」ということを確認する作業にもなってとてもよかった。なので今回は「#私の最愛日本文学10選」を選んでみる。「海外文学10選」は外国の言葉で書かれた小説、というくらいのゆる~い縛りだったのだけど、今回はSFとかミステリーとかをな

      • 『ゴジラ×ウルトラマン 新たなる帝国』

        人類は絶滅の危機に瀕していた。マルチバースの扉が開かれ、各時代の、各時空のゴジラが世界各地に出現したのだ。凄まじい火炎放射によって都市は、文明は焼き尽くされ、全世界が焦土と化す。東京、ニューヨーク、パリ、ロンドン、アムステルダム。ゴジラは場所を選ばない。人間の都合など全く意に介さない。ただひたすら破壊のための破壊を、殲滅のための殲滅を、生物の本能として実行するのみだ。 もはや人類に希望は残されていないのか。沈みゆく大地を見つめ、滅亡を待つしか道は無いのか。 否。我々にはウルト

        • 美と醜の狂宴「伊藤潤二展 誘惑」

          4月27日から世田谷文学館で「伊藤潤二展 誘惑」が始まったので行ってきました。 今回の展示は、代表作『富江』のほか『死びとの恋わずらい』『うずまき』『双一』シリーズなど、世界的漫画家の作品とその原画を、章ごとに見せていくという構成になっています。カラー絵や描き下ろし新作の絵だけでなく、立体化したオブジェも展示されており、ラフ画やデビュー前の習作なんかも見れました。漫画作品の面白さはいまさら説明するまでもありませんが、原画で見る絵の迫力はまさに格別。恐ろしさと美しさとコミカル

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        「#私の最愛海外文学10選」を生成

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        • きつねの本棚(小説・絵本)
          28本
        • 虎の威を借る狐
          13本
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          18本
        • きつねの映画館
          42本
        • きつねの美術館
          5本
        • きつねのアニメ・ドラマ観賞記
          12本

        記事

          ドラマ『フォールアウト』

          退廃的かつレトロフューチャーな終末世界。ゴッツゴツの見た目をしたパワーアーマー。グロテスクなデザインのクリーチャー。それぞれの勢力が居住している施設の違いと使用されるテクノロジー。それらを見事に現出させたプロダクションデザインがまず素晴らしい! それだけで私的にはほくほくなわけですよ。 もうね、こういうガチで作られたポストアポカリプスものならいくらあっても良いですね。ゲームが原作であることなんか抜きにして終末後の荒廃としたSF的風景が好きな方にならみんなに勧めたいくらい。 風

          ドラマ『フォールアウト』

          Sound Horizonの好きなアルバム3選

          Sound Horizon(サウンドホライズン)とは、主宰Revo(レヴォ)率いる音楽ユニットのことである。通称は「サンホラ」あるいは「SH」。音楽で物語を、いや物語で音楽を表現した「幻想楽団」。曲ごとに、アルバムごとにストーリーがあり、楽曲のジャンルは様々、多くの声優を起用し、歌詞の内容はときに難解。そんな「物語音楽」という独自のジャンルを切り開いたアーティスト。 と、いうのがいま現在のサンホラに対する私の認識である。 おそらくRevoのことは、ゲーム『ブレイブリーデフォル

          Sound Horizonの好きなアルバム3選

          『8番出口』からの脱出記録

          地下通路。 日の光はまったく見えず、人工的な蛍光灯の光が通路を覆い、床には視覚障害者用の黄色いタイルが並んでいる。壁には白いタイルが敷き詰められるように等間隔で配置されており、ひっそりと、無機質に、代わり映え無く、永遠と同じような景色が続いている。 この『8番出口』は、そんなどこか見覚えのある日本の地下通路から脱出するゲームだ。 昨年年末ころにPC向けインディーソフトとして配信され、実況動画などを中心に話題となった作品で、この度ニンテンドーSwitch版が配信されたので早速

          『8番出口』からの脱出記録

          『中毒性のチュウ』すりぃ https://youtu.be/sRQ_wa9_MZE?si=-Z6PxBQmmLSAQJIN

          『中毒性のチュウ』すりぃ https://youtu.be/sRQ_wa9_MZE?si=-Z6PxBQmmLSAQJIN

          『異人たち』

          登場人物の数は少なく、舞台となる場所もアパートと実家以外はほとんど登場しない。しゃべる台詞もそれほど多くなく、静謐な雰囲気に包まれたミニマルな作品だ。 だからこの映画は役者の「表情」が重要となる。主人公であるアダムの表情が。 冒頭、自室で脚本家の仕事をしているアダムはどこか寂しげで憂いを帯びた表情をしている。夜遅く部屋に訪ねてきたハリーに対しての戸惑いと温厚な表情。死んだはずの父と母に再会したときの嬉しそうで安心感のある表情。そういうアダムの表情で出来上がっていると言っても過

          『異人たち』

          『ノルウェイの森』再読

          学生のとき以来久々に読んだ。 むかしの私はこの小説に対してどんな感想を抱いていただろう。主人公のことをどう思っていただろう。直子と緑どちらに惹かれていただろう。あまり上手く思い出せない。ただ、やわらかな毛布に包まれている感覚と、冷たい夜風に独りで耐えているような感覚と、そんなふたつの相反する感覚を知り、ラストにおいて投げ出されたような気持ちになったことは覚えている。 村上春樹の小説を読んだせいでいつもより、ポエミーな出だしになってしまった。まあこういう風に読んだ本から影響を

          『ノルウェイの森』再読

          「11ぴきのねこと馬場のぼる展」へ

          『11ぴきのねこ』シリーズで有名な絵本作家、馬場のぼるさんの企画展が石ノ森萬画館で開催されるという情報を聞きつけ、石巻まで行ってきた。 石ノ森萬画館は宮城県出身の漫画家、石ノ森章太郎の記念館で、こういった企画展示も定期的にやってくれる素敵な場所なのだ。昨年は『十二国記』シリーズの絵師である山田章博さんの原画展をやっていたし、『耳をすませば』の監督である近藤喜文作品の企画展をやっていたこともある。 今回は『11ぴきのねこ』の原画だけでなく、馬場のぼるさんの漫画やラフスケッチなん

          「11ぴきのねこと馬場のぼる展」へ

          ボールペン握手会

          Spotifyで配信されているポッドキャストでよく聴いているラジオ番組がある。ライムスターの宇多丸さんがパーソナリティを務めている「アフター6ジャンクション2」という番組だ。映画・音楽・本・ゲームなどいろんなカルチャーのトピックを取り上げ、みんなでわちゃわちゃ深掘りしていくという内容。次に見る映画とかゲームの最新情報をキャッチできるし、曜日ごとに変わるアシスタントさんやゲストとの掛け合いが面白くて気に入っている。 そんな「アト6」には毎年恒例となっているお祭り企画が存在する

          ボールペン握手会

          『オッペンハイマー』

          引き裂かれるようだ。 生み出された映画に罪はない。作品を作った監督にもスタッフにも罪はない。罪があるとするならば、それは歴史そのものが罪なのだ。 「原爆の父」と呼ばれた男の伝記映画。編集によって時間や空間を交錯させ、目まぐるしく場面展開しながら、視点人物を変え、その都度モノクロとカラーのあいだを行き来し、オッペンハイマーという人物を立ち上がらせる。観客はその濁流に飲み込まれ、細部ではなく全体を把握することとなる。画面に映される映像それぞれは単一の時間軸にありながら、編集によっ

          『オッペンハイマー』

          『アメリカン・フィクション』

          風刺もりもり、盛りだくさんのコメディ映画。アメリカにおける黒人やゲイ、家族間の在り方についてのブラックな笑いを軸としている作品です。 主人公のモンクは売れない作家。自身が納得する作品を書いても中々認められず、言葉のあやが悪いように受け取られ、講師の仕事をクビに。作品がボツにされる理由が「内容が黒人らしくないから」というあたりやべーなとは思うものの、そういうことについても笑いに変えて提供しています。よーしそんなに言うならやったらあと書いた小説が「父親を銃で撃ち殺す息子の話」と

          『アメリカン・フィクション』

          『落下の解剖学』

          ある雪山の山荘でひとりの男が落下して死んだ。これは他殺なのか、自殺なのか。夫殺しの嫌疑をかけられた妻と、視覚障害をわずらう息子のダニエル。事件をめぐって検事や弁護士がひとつひとつの事象を綿密に調べ、真実を追求していく法廷映画。 本作の物語がドライブするポイントは2か所あって、ひとつめは夫の死体が発見された場面。そこにいたるまでは、登場する人物たちの細かい挙動(例えば目線だったり、くつろぐ様子だったり、犬を連れて雪山を楽しそうに歩いてるところだったり)から、その心情を推し量る

          『落下の解剖学』

          『アイアンクロー』

          実在のプロレスラー一家に起きた悲劇的な出来事をもとにして作られた映画です。フリッツ・フォン・エリックの名前はプロレスについて調べていた頃聞いたことはあって、鉄の爪《アイアンクロー》という、相手の顔面を掴み握力でもって強烈な痛みを与える技もYouTubeの動画なんかで見たことはありました。んでもその人間性がどんなもんなのかってことはさっぱり知らず、今作『アイアンクロー』についてもA24製作のプロレス映画ということ以外は事前情報をほぼ仕入れず観に行ったのですが……こんな人だったん

          『アイアンクロー』