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小説:冷徹メガネと天職探しの旅 第6話
第6話 PIPプログラム
谷口さんがいつもより体を丸くして席に座っていた。目は少し虚ろでパソコンに置かれた手は動いていない。
「谷口さん、大丈夫ですか」
「荒田さん…」
谷口さんは泣きそうな顔をしている。いったい何があったんだろう。
「荒田、今時間あるか?」
後ろを振り向くと藤原マネージャーが立っていた。こちらの席に来て話しかけてくることは滅多に無いので少し驚いた。
「大丈夫です」
藤原マネージ
小説:冷徹メガネと天職探しの旅 第5話
5.社長
「何でアプリを社員数マックスで取ってこないんだ!」
予想どおり藤原マネジャーの説教を受けることになった。
「すいません」
「すいませんじゃない!プランだって簡易プランだ。前回話した顧客単価と売上数の話理解できてないんじゃないか?」
僕は無言でうなずくしかなかった。興奮気味で怒りに満ちていた藤原マネジャーの顔がサッと笑顔に変わった。
「社長!お疲れ様です!」
藤原マネジャーは満面の笑顔で
小説:冷徹メガネと天職探しの旅 第4話 家族
第4話 家族
「チョコミントアイスしかないの?」
「奥探せば他のもあるんじゃない」
母の適当な返事を背に僕は冷凍庫を探った。
実家から2駅のところで一人暮らしをしているので土日はタダ飯を食べるために実家へ帰っている。冷凍庫には大量のアイスがギチギチに詰められている。全てチョコミント味だ。姉の灯里アカリ が買ってきてストックしたものだ。僕は姉の異常なチョコミント愛のせいで逆に嫌いになった。僕
小説:冷徹メガネと天職探しの旅 第3話 商談
第3話 商談
「こちらの商品はお客様の電話対応の時間を削減することができます。1回の電話対応で10分ほど時間がかかっているとします。1日に10本以上電話があると100分は電話対応に時間がかかっている計算となります。弊社のAIを使った電話受付システムを使用して頂けばその手間を無くし、従業員様を他の有益な仕事に集中させることができます」何百回も繰り返したセールストークは自動的に口から出てくる。
「
小説:冷徹メガネと天職探しの旅 第2話 憧れの人
第2話 憧れの人
東京駅周辺には様々な飲食店がある。世界各国の料理が楽しめる場所だ。そんな場所だが我々が良く行くのは大衆居酒屋だ。なぜなら安くて大量に食べれるからだ。皿に山盛り盛られたモヤシ炒めと餃子を食べながら僕と谷口さんは他愛のない話をした。
「ここの餃子は絶品ですね」
ニコニコしながら谷口さんは餃子を頬張る。僕は醤油では無くて、お酢に胡椒を混ぜて餃子を食べていた。
「荒田さん、それ何です