はるのもみじ

29歳。女性。人生迷子中。眠れない夜に、ぐったりと疲れた夜に、何もかもうまくいかない夜…

はるのもみじ

29歳。女性。人生迷子中。眠れない夜に、ぐったりと疲れた夜に、何もかもうまくいかない夜に、そんな誰かの気持ちに寄り添った文章を書けるよう努力しています。

マガジン

  • 【小説】菜々子はきっと、宇宙人。

    <あらすじ> 大学を卒業し、晴れて新社会人となった美春。想像したよりも過酷で、憂鬱な社会人としての生活に、身体と心が限界になり、生きる意味を見失っていた。そんなとき、まるで宇宙からきたかのような突然のタイミングで、高校時代の同級生、菜々子が目の前に現れる。高校時代、「宇宙人」とあだ名をつけられていた菜々子は、いささか周りから煙たがられて、浮いている存在だったのだが、、。そんな菜々子との生活の中で、仕事、社会、恋愛、生きることの大切な部分を、少しずつ、少しずつ学んでいく。そんな2人のクスっと笑える、きっとほとんどノンフィクションの物語。

  • たくさんのスキ☺️

    読んでくださるみなさまいつもありがとうございます😭 たくさんのスキを頂いた記事をピックアップしています♪

  • 【小説】たぶん、きっとそれは愛。

    <あらすじ> 28歳の美奈子は仕事に忙しい毎日を送っている。美奈子には、涼という定期的に身体を重ねている男性がいる。涼の他にも複数人。彼らは美奈子の彼氏でもなければ、結婚したい相手でもない。焦っているつもりではないのだけれど、彼女の周りでは友人たちが、婚活、結婚、妊活、出産と、次々にライフステージが変化していく。その中で美奈子の心は揺れ動く。そんな独身女性のリアルと、名もなき愛の形を描いた物語。

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29歳独身、親友の結婚に涙する。

最近、毎日のように周りで誰かが1日に1人くらいのものすごいペースで結婚している。 そんな中、私には好きな人もいなければ、彼氏さえいない。 そんな現実を自分自身あん…

はるのもみじ
2か月前
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私はとりあえず、パスポートを申請してみることにした。

自分を変えたいのなら、新しい人生を送りたいのなら、人は誰しも、海外に行く。みたいな価値観が一般的になっている世の中だと思う。SNSや書籍にも20代でやっておくべきこ…

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人。(第5話)

季節は3月の終わり。長かった冬の季節も終わりを告げようとしていて、ぽかぽかとあたたかな昼間の陽気の中で、愛おしいピンク色をした桜たちがまるで、私の新生活を応援し…

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人。(第4話)

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人。(第2話)

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人。(第1話)

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解雇予告は突然に。

それが、ラブストーリーであったなら、いつ何時であっても突然に現れてくれたって構わないのに。そんなことを思っている私の前に現れたのは、甘酸っぱくて淡いピンク色をし…

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他者を介さない形で得ることができる充実感を私は探していた。

私が生まれてから今、約30年という月日が目の前を流れている。 それだけ生きていると、否が応でも、自分が何をしているときに「楽しい。」とか「今、幸せ。」みたいな充実…

はるのもみじ
2週間前
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【小説】たぶん、きっとそれは愛。最終話(第6話)

ポンと鳴って沸いたポットの合図を聞いて、ポンポンと私の頭を撫でていた涼の手が、私の頭から離れる。 気を遣っているのか、涼は、泣いている私の方向を見ないように背を…

はるのもみじ
3週間前
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【小説】たぶん、きっとそれは愛。(第5話)

「今、仕事終わった!今何してる?」 時刻は19時半を過ぎた頃、涼から連絡が来た。 「今私もちょうど、友だちと夕飯食べ終わって、友だち駅まで送るとこ!」 そう返信し…

はるのもみじ
3週間前
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【小説】たぶん、それはきっと愛。(第4話)

「久しぶりー!やっと会えたうれしい♪」 「うん、私も!ほんとめっちゃ久しぶりだよね♪」 土曜日の昼前、予定通り、私は由奈と約束の場所で合流した。 「由奈また綺麗…

はるのもみじ
3週間前
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【小説】たぶん、きっとそれは愛。(第3話)

「ねぇ、明日近くに行くんだけど、夜会えない?」 最後に会ってから、約3か月が経とうとしていた頃、涼からメッセージがきた。 「あぁ、あれ以来か。」 私は昼休憩中の…

はるのもみじ
3週間前
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【小説】たぶん、それはきっと愛。(第2話)

涼に会ってから10日が経った。そして、私の生理は来なかった。ほぼほぼアプリがお知らせした日時よりいつも少し前か、ぴったりで来ていた生理が来ない。 生きた心地がしな…

はるのもみじ
1か月前
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【小説】たぶん、きっとそれは愛。(第1話)

「ふぅ」と大きく息をはいて彼はくるりと背中を向けた。その背中をそっと指で撫でてみると驚くほどに冷たかった。さっきまで、私の身体全体を包み込んでいた熱い体温はもう…

はるのもみじ
1か月前
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眠れない夜に、眠れる森の美女の話をしようと思う。

眠れない夜というものはいつだって唐突に訪れる。 それもなぜか今日に限ってと、自分にとって限りなく都合の悪い形で。 「あぁ、眠れない。」そうやって、藁にすがる思いで…

はるのもみじ
1か月前
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29歳独身、親友の結婚に涙する。

29歳独身、親友の結婚に涙する。

最近、毎日のように周りで誰かが1日に1人くらいのものすごいペースで結婚している。
そんな中、私には好きな人もいなければ、彼氏さえいない。

そんな現実を自分自身あんまり意識したことがなかった。
別に一人でも事足りていたし、忙しいし
もちろん、いい人と巡り合えればそれでいいなぁなんて、なんとなーく思っていたくらい。

そんな中、私の親友が3月に結婚することになった。

あとから気持ち悪がられることが

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私はとりあえず、パスポートを申請してみることにした。

私はとりあえず、パスポートを申請してみることにした。

自分を変えたいのなら、新しい人生を送りたいのなら、人は誰しも、海外に行く。みたいな価値観が一般的になっている世の中だと思う。SNSや書籍にも20代でやっておくべきことに「海外へ行く」みたいなことが、書かれていないことの方が珍しくて、なかばそれは国民の納税につぐ義務なのではないかと錯覚に陥ることさえある。

そんな私の目の前には、旅行、留学、スタディツアー、ワーホリなどなど、例を挙げれば数えきれない

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人。(第5話)

【小説】菜々子はきっと、宇宙人。(第5話)

季節は3月の終わり。長かった冬の季節も終わりを告げようとしていて、ぽかぽかとあたたかな昼間の陽気の中で、愛おしいピンク色をした桜たちがまるで、私の新生活を応援してくれているようで、私の胸は躍った。

人生、心機一転、新しい生活がはじまる。そう意気込んで、期待に胸ふくらませて、新しい私の住みかとなる、あの川に面した小さな古民家のドアを開けたその先にいたのは、とてつもなく大きなゴキブリだった。

「ひ

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人。(第4話)

【小説】菜々子はきっと、宇宙人。(第4話)

「ちょっとお風呂セット家から取ってくるから、川の音聞きながら待ってて!」

そう言って菜々子はすぐ裏にある家へと消えていった。取り残された私はとりあえず、菜々子の言う通り、目の前にある川のほとりに腰掛けて、川のせせらぎに耳を澄ませた。

季節は、一般的に、もうすぐ秋がはじまろうとされている9月。けれどまだ、その気配は遠く、じりじりとした焼きつける太陽の光に反発するように、川の水たちはその光を吸収す

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人。(第3話)

【小説】菜々子はきっと、宇宙人。(第3話)

時刻はもうすぐ朝の7時半。会社へと近づくにつれて増えていく乗客たちによって、「満員電車」と定義される電車の状態が完成しようとしている。

私はその「満員電車」が本当に苦手だ。
田舎で育った私にとって、そもそも人が大量にいることを指す「人混み」にはじめて出くわしたとき、本当に吐き気がした。
人がいないというか、ほとんどの人たちが車移動で、歩行者がほとんどいない町で育った私に、目の前に歩いてくる人をよ

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人。(第2話)

【小説】菜々子はきっと、宇宙人。(第2話)

時刻はまもなく、深夜の0時半を回ろうとしている。
なんとか無事に帰宅した私は、あの肌にまとわりついたジメっとした空気と、目の前で強く身体に触れた電車が通ったときの風の感触をとにかく洗い流したくて、そそくさと脱衣所に行ってシャワーを浴びることにした。

シャワーの水量をマックスにして、いつもよりも多くボディソープを手に取る。

手の指の先、手のひら、腕、首回り、、順を追って上半身から下半身へときめ細

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【小説】菜々子はきっと、宇宙人。(第1話)

【小説】菜々子はきっと、宇宙人。(第1話)

ふと、目の前に釘付けになっていた、煌々と光るPCの画面から目を離して、座っていた椅子の背もたれに、背中を思い切り預けて背伸びをする。

そのとき、100人ほど収容できるオフィスの、私が位置している反対側のフロアの電気が消えた。
それにより、時刻はすでに、23時を過ぎていることを私は知る。
電気を消した上司が、まだ新入社員がちらほらと残っている私が位置しているフロアに移動してきて声をかける。

「そ

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解雇予告は突然に。

解雇予告は突然に。

それが、ラブストーリーであったなら、いつ何時であっても突然に現れてくれたって構わないのに。そんなことを思っている私の前に現れたのは、甘酸っぱくて淡いピンク色をした恋物語ではなく、苦くてすぐ味のなくなってしまう消え入りそうな灰色をした解雇予告の物語だった。

「7月末で、事業縮小のため解雇になります。」

ちょうど5日前くらいにそんな事実を職場から告げられた。

「はじめてのおつかい」ならぬ、私の人

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他者を介さない形で得ることができる充実感を私は探していた。

他者を介さない形で得ることができる充実感を私は探していた。

私が生まれてから今、約30年という月日が目の前を流れている。
それだけ生きていると、否が応でも、自分が何をしているときに「楽しい。」とか「今、幸せ。」みたいな充実した感情に浸ることができるのか、だいぶわかってくるように思う。
私の場合、その答えはシンプルで、「おいしいごはんを食べること。」「誰かとおしゃべりして同じ時間を過ごすこと。」この2つをしているときが、一番楽しくて、幸せを感じる瞬間だなと、

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【小説】たぶん、きっとそれは愛。最終話(第6話)

【小説】たぶん、きっとそれは愛。最終話(第6話)

ポンと鳴って沸いたポットの合図を聞いて、ポンポンと私の頭を撫でていた涼の手が、私の頭から離れる。
気を遣っているのか、涼は、泣いている私の方向を見ないように背を向けて、ポットの方へと移動してくれた。

その背中を見ながら私は思った。

「たぶん、きっと私は涼のことが好きだ。」と。

涼がポットのそばに置いてあった茶葉を取り出して、あたたかいお茶を淹れようとしてくれている。

*******

世の

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【小説】たぶん、きっとそれは愛。(第5話)

【小説】たぶん、きっとそれは愛。(第5話)

「今、仕事終わった!今何してる?」

時刻は19時半を過ぎた頃、涼から連絡が来た。

「今私もちょうど、友だちと夕飯食べ終わって、友だち駅まで送るとこ!」

そう返信して、私は食べていた作り置きのカレーを、急いで口にかきこんだ。結局、喫茶店で過ごしたあと、特に行く当てもなかったので私は一度家に帰宅した。お腹もすいたところだったので、数日前に作って冷凍しておいたカレーを温めて1人で食べていた。
と、

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【小説】たぶん、それはきっと愛。(第4話)

【小説】たぶん、それはきっと愛。(第4話)

「久しぶりー!やっと会えたうれしい♪」

「うん、私も!ほんとめっちゃ久しぶりだよね♪」

土曜日の昼前、予定通り、私は由奈と約束の場所で合流した。

「由奈また綺麗になった?」

「えー、そんなことないよー。けど、うれしい笑 美奈子はちょっと痩せた?」

「うん、ちょっとここのところ仕事忙しかったからあんま食べれてなくて、確かに痩せたかも。」

「そっかそっか。大変だったんだね。」

「ううん、

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【小説】たぶん、きっとそれは愛。(第3話)

【小説】たぶん、きっとそれは愛。(第3話)

「ねぇ、明日近くに行くんだけど、夜会えない?」

最後に会ってから、約3か月が経とうとしていた頃、涼からメッセージがきた。

「あぁ、あれ以来か。」

私は昼休憩中の職場の周りの人に聞かれないように、ボソッと呟いて、携帯の画面をくるりと裏に向けてデスクに置いた。

あの生理が来なかったときのことを思い出して私は身震いした。
結局、あの後、病院からもらったピルを飲んではみたものの、全くと言っていいほ

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【小説】たぶん、それはきっと愛。(第2話)

【小説】たぶん、それはきっと愛。(第2話)

涼に会ってから10日が経った。そして、私の生理は来なかった。ほぼほぼアプリがお知らせした日時よりいつも少し前か、ぴったりで来ていた生理が来ない。

生きた心地がしなかった。
私が前月の生理が来たあとに会った男性は涼だけじゃない。
生理予定日より3日くらい前からそわそわと、別に用を足すわけでもなく私は何度もトイレに行った。けれど、下着の色は変わっていなかった。

どこで何を間違えたんだろう。
ゴムを

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【小説】たぶん、きっとそれは愛。(第1話)

【小説】たぶん、きっとそれは愛。(第1話)

「ふぅ」と大きく息をはいて彼はくるりと背中を向けた。その背中をそっと指で撫でてみると驚くほどに冷たかった。さっきまで、私の身体全体を包み込んでいた熱い体温はもうそこにはなかった。

彼の背中を指でなぞった後、その冷たさに寂しさを感じて、それと同時に悲しみも感じて、哀愁に浸っていられるほどの心の余白なんて私にはない。

だから私だって、くるりと背中を彼に向けて、ベッドの下にあるバックからおもむろにタ

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眠れない夜に、眠れる森の美女の話をしようと思う。

眠れない夜に、眠れる森の美女の話をしようと思う。

眠れない夜というものはいつだって唐突に訪れる。
それもなぜか今日に限ってと、自分にとって限りなく都合の悪い形で。
「あぁ、眠れない。」そうやって、藁にすがる思いでスマホに明かりを灯しても、そこに私の中に渦巻く不安や、恐怖を打ち消す術はない。
あきらめて、部屋を真っ暗にして目を閉じる。
そんなときに思い出す、眠れる森の美女の親友の話をしようと思う。

彼女は、私が大学生時代を過ごした京都の街で出会っ

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