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全然堂歳時記【夏】

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全然堂歳時記【夏】
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記事一覧

全然堂歳時記 夏 【暑し】

赤道の箍の外れし暑さかな ハードエッジ 青々と青空炎ゆる暑さかな ハードエッジ 平日も週末もなき暑さかな ハードエッジ 真夏日は赤猛暑日は黒の地図 ハードエッジ 踏切のかんかん照りの暑さかな ハードエッジ 外灯の点けつ放しの暑さかな ハードエッジ アスファルト足跡のなき暑さかな ハードエッジ 好投手の後ろを守る暑さかな ハードエッジ 裸婦像のブロンズ色の暑さかな ハードエッジ 屋根の上の暑さを知らず蟻地獄 ハードエッジ 水底に暑さ忘るる豆腐かな ハード

全然堂歳時記 夏 【涼し】

山あれば川の流れて涼しけれ ハードエッジ 青々と松と桜の涼しさよ ハードエッジ 寄つてみて大樹の陰の涼しさよ ハードエッジ わき水の汲めども尽きぬ涼しさよ ハードエッジ 旧家こそ昔ながらに涼しけれ ハードエッジ 広間よりさらに涼しき大広間 ハードエッジ 一本の団扇を得たる涼しさよ ハードエッジ 黒よりも赤の金魚の涼しけれ ハードエッジ 室外機涼しき部屋のすぐ外に ハードエッジ 食べ盛り遊び盛りの涼しさよ ハードエッジ 諳んじて九九を手玉の涼しさよ ハー

全然堂歳時記 夏 【母の日】

母の日や母のごとくに日曜日 ハードエッジ 母の日の母の作りし豆ごはん ハードエッジ 母の日の母なき月日豆ごはん ハードエッジ 母の日の知らぬは母の誕生日 ハードエッジ 母もなくその母もなき母の日よ ハードエッジ

全然堂歳時記 夏 【蟻】

白蟻は家に黒蟻は炎天下 ハードエッジ 黙殺の蟻の過ぎ行く蝉の穴 ハードエッジ 蟻の巣のてつぺんにある穴ひとつ ハードエッジ 日の差さぬ蟻の巣に住み黒づくめ ハードエッジ 付け替へて今朝あたらしき蟻の道 ハードエッジ 蟻の列鞭の如くに飴に伸ぶ ハードエッジ 遠くまで死を嗅ぎ当てて蟻の列 ハードエッジ 数に物言はせて蟻の攀ぢ登る ハードエッジ たかりをる小匙一杯分の蟻 ハードエッジ 黒山の蟻に歓喜の声もなし ハードエッジ 蟻たかる白く解けゆくものの上 ハードエッジ あがき

全然堂歳時記 夏 【素麺】

素麺の入りし桐箱平べつた ハードエッジ 素麺に願ひの糸の如き赤 ハードエッジ 素麺に繙くといふ事始 ハードエッジ 素麺の湯を沸かしつつ胡瓜揉み ハードエッジ 素麺を翻弄すべき湯の滾り ハードエッジ 煮え滾る湯に素麺を突き立てて ハードエッジ 素麺を冷やす蛇口の露まみれ ハードエッジ 素麺を茹で上げる水冷ます水 ハードエッジ 素麺の細く長くと流れ来る ハードエッジ 印度人も素麺すする暑さかな ハードエッジ 素麺の細さを伊太利亜人が言ふ ハードエッジ 素

全然堂歳時記 夏 【薄暑】16句

葉書俳句: テキスト: 旅に良し家居また良し薄暑かな ハードエッジ 白雲の夜空に遊ぶ薄暑かな ハードエッジ 通り雨薄暑疑ひなかりけり ハードエッジ そよ風に吹かれ薄暑の旅へかな ハードエッジ 信号を軽く抜けたる薄暑かな ハードエッジ 旅ゆけば薄暑の町のベーカリー ハードエッジ 薄暑なり銀座へ出れば画廊あり ハードエッジ 軽暖のオープンカフェに人を待つ ハードエッジ 見て楽し薄暑の街の人通り ハードエッジ 軽暖の街に薄暑の人通り ハードエッジ 高校生に薄暑の町の狭さか

全然堂歳時記 夏 【若葉】20句

葉書俳句: テキスト: 若葉とは日に透きとほる薄みどり ハードエッジ 青春の光と影と若葉風 ハードエッジ 若葉して光合成の出番なり ハードエッジ 若葉していよよ小枝のゆれ止まず ハードエッジ 鳥の餌のこれつぽつちよ朝若葉 ハードエッジ 週明けの駅前若葉まぶしけれ ハードエッジ 良き風と若葉の道を共にして ハードエッジ 若葉して早も摘まるる茶の木かな ハードエッジ 黒き枝も見えて若葉の木なりけり ハードエッジ 若葉して滝の飛沫を弾くなり ハードエッジ 若葉して水の音さへ

全然堂歳時記 夏 【豆飯】

初夏の青を散らして豆ごはん ハードエッジ このごろの夕餉明るし豆ごはん ハードエッジ 赤飯は祝ぎ豆飯は睦まじく ハードエッジ 翌朝の分も炊きたる豆ごはん ハードエッジ 豆ごはん豆のごはんと口々に ハードエッジ 豆めしを炊きたる母も嬉しさう ハードエッジ うす塩の仄かに甘し豆ごはん ハードエッジ 目に見えぬ塩の恩寵豆御飯 ハードエッジ 食べられる水玉模様豆御飯 ハードエッジ 豆飯の豆の二つに割れたるも ハードエッジ 豆飯の豆の芯まで緑色 ハードエッジ 豆飯の豆の偏る一処

全然堂歳時記 夏 【梅雨1】

空の色空色ならず梅雨間近 ハードエッジ 傘立のなきアパートに梅雨来る ハードエッジ 立てかけて壁を濡らせり梅雨の傘 ハードエッジ 玄関に梅雨のタオルと雑巾と ハードエッジ 宇宙船地球号梅雨前線へ ハードエッジ 日本に通過儀礼の如く梅雨 ハードエッジ 降り方の緩急自在梅雨の日々 ハードエッジ 図書館へ梅雨のお濠をまた曲る ハードエッジ 梅雨なれや傘の袋が落ちてをる ハードエッジ 道路から梅雨の外階段上る ハードエッジ 降りますなあ降るもんですなあ梅雨長し ハードエッジ

全然堂歳時記 夏 【梅雨2】

五時起床空茫々と梅雨続く ハードエッジ 持つて出る昨日の傘や梅雨暗し ハードエッジ 苔寺の苔の切株梅雨深し ハードエッジ 藤棚も梅雨の暗さに雫して ハードエッジ 梅雨憂しと蟻も蚯蚓も土の中 ハードエッジ 百合の黄の十四五本や梅雨の宴 ハードエッジ 梅雨激しダンプは運転台高し ハードエッジ 梅雨の川みるみる土手を削りをる ハードエッジ 梅雨出水畦道消えて恐ろしや ハードエッジ 梅雨の夜を連なり出づる消防車 ハードエッジ 梅雨の夜を寂しがらせよ金魚玉 ハードエッジ 沢山の

全然堂歳時記 夏 【梅雨3】20句

葉書俳句: テキスト: 傘の骨ぐいと曲げたる梅雨入かな ハードエッジ 梅雨空のグラデーションの濃きところ ハードエッジ 梅雨の日々梅雨曇りなる日を挟み ハードエッジ 時差呆けのやうな雲行く梅雨の日々 ハードエッジ 水嵩を楽しむ梅雨の大河なり ハードエッジ 雨の字の中も雨ふり梅雨つづく ハードエッジ 蝶ひらり梅雨の影なき世界へと ハードエッジ 梅雨深し昼は灯らぬネオン塔 ハードエッジ 梅雨深く書類に印を点じたる ハードエッジ 教室やあかあか梅雨の灯を点し ハードエッジ

全然堂歳時記 夏 【紫陽花】

3ヶ月ぶりの全然堂歳時記です 紫陽花が朝日のごとく卓の上 ハードエッジ 紫陽花や目に見えねども低気圧 ハードエッジ 紫陽花は気圧の谷に咲くといふ ハードエッジ 明け方の霧の中なる濃紫陽花 ハードエッジ 舟が消え湖が消え濃紫陽花 ハードエッジ 紫陽花にこの曇天のいつまでも ハードエッジ 紫陽花や砂利敷き詰めて変電所 ハードエッジ 紫陽花や雨戸を叩く雨の音 ハードエッジ 水を得ていま紫陽花の濃紫 ハードエッジ 紫陽花も金魚の墓も雨の中 ハードエッジ 紫陽花やズボンの裾がびし

全然堂歳時記 夏 【螢】20句

葉書俳句: テキスト: 螢火は螢の闇の中にこそ ハードエッジ 螢来よ小学校は真の闇 ハードエッジ 冠に二つ火のある螢かな ハードエッジ 螢火の飛んで光の速さかな ハードエッジ 螢火を裸火とこそ言ひつべし ハードエッジ 雨に来て葉先に滲む螢かな ハードエッジ その中に燻る螢ありにけり ハードエッジ なれそめの十五十六螢の夜 ハードエッジ 戦にも恋にも果つる螢かな ハードエッジ 降り出して恋の螢の行方かな ハードエッジ ほうたるの余命を刻む点滅ぞ ハードエッジ 晩年の光尊

全然堂歳時記 夏 【雲の峰】

葉書俳句: テキスト: 日本の海の守護神雲の峰 ハードエッジ ふるさとに入道雲のある限り ハードエッジ 峰雲の中で働く神仏 ハードエッジ また一人行者降りくる雲の峰 ハードエッジ 善は白、正義は力、雲の峰 ハードエッジ 虹よりも雷に親しき雲の峰 ハードエッジ 峰雲や数多の雷を産み捨てて ハードエッジ 閻魔への供物の如し雲の峰 ハードエッジ 太陽の彼方に続く雲の峰 ハードエッジ 雲の峰見ゆるオープンカフェ香る ハードエッジ 白飯はカレーに埋もれ雲の峰 ハードエッジ ベ