短編小説 : 姿の見えない同僚 - 不毛なコミュニケーション
「黒崎!これ、エージェントから!」
2006年の冬。いつも通り終業時間の18:00ギリギリになって、営業1課部長の高山さんが、顧客である旅行会社からのFAXを放ってよこした。それには海外での視察先の情報収集依頼が記載されていた。
依頼書にはいつもの通り、私達ランドオペレーターの競合他社の名前が連名で書いてある。
業界でトップのマキトラベル。その次がカオネイトラベル。三番目にやっと私たちの会社リリパットトラベルの名前が出て来る。その次は、これもいつものイースト・ウエスト社