以前投稿した↑ネーム『女道士とキョンシー少女』の漫画原作シナリオ、漫画(ネーム)のリンクと一緒にまとめてみました。 保坂はネームを作るときも必ずシナリオを用意します。 シナリオがどのようにネーム化され、そして最終的に漫画化されるのか、 想像してもらえると嬉しいです。 #1 女道士とキョンシー少女 ■道士の部屋 札をさらさらと書いている道士の女。 道士N「俺は道士 一人前の仙人を目指して修行中だ」 暑そうにうちわで自分を仰ぎ。 道士N「この時期は色々と気を遣う 札
●登場人物 丹野 宏 (たんの ひろし) (22) 斎藤 敏也(さいとう としや)(23) 佐野 舞衣(さいとう まい)(22) ※こちらの脚本は、保坂の実体験がモデルになっています。 ■山道(夜) 軽自動車が走っている。 ■軽自動車内(夜) 運転している丹野、助手先には斎藤。 雑談している二人は妙に浮かれている。 後部座先では、退屈そうにスマホを眺めている舞衣。 丹野M「あれは大学卒業間近の深夜。就職も決まり浮かれていた俺達は、とある場所を目指していた」 舞衣「ね
●登場人物 小泉 七緒<こいずみ ななお> (25) 高木 環 <たかぎ たまき> (23) 佐伯 一郎 <さえき いちろう> (63) ■喫茶店 午後の喧噪に包まれている店内。 陰鬱な雰囲気の若い女性、小泉七緒がコーヒーを飲んでいる。 その片手は何やらテーブルに置かれたバッグの表面を撫でており、七緒の表情は愛しそう。 入り口のベルが鳴り、七緒より若く快活そうな女性の高木環が入ってくる。 環「小泉先輩、お待たせしました!」 慌てて七緒の対面席に座る環。 七緒「
●登場人物 北川 悠真(きたがわ ゆうま)25歳 伊藤 信之(いとう のぶゆき)28歳 ■伊藤のアパート・室内(夜) スマホカメラの視点。 興奮し、怯える伊藤が、自撮りで映っている。 伊藤「い、いた。また来てる、あれ! 今、証明するから。あれが本当にいるって、俺、嘘ついてないって教える――ほら!」 開いた窓の外を映す伊藤。 静かで真っ暗な駐車場。 伊藤「(再び自分を映し)え? た、確かにさっきまでそこにいたんだ!」 焦る伊藤がもう一度窓を映すと。 数メートル先
■蔵を改造した仕事場 薄暗い仕事場内。 作務衣姿で蚤(のみ)を手にし、仏像を掘っている青年、鴨川。その表情は暗く、芳しくない。 鴨川「駄目だ……まったくなってない」 鴨川、蚤を乱暴に投げ捨てる。 鴨川M「俺は新人の仏師として生活している。仏師とは、仏像彫りを生業にする人間のことだ」 鴨川が彫っているのは、観音菩薩らしき仏像。 鴨川M「だが今の生きかたを選んでから、納得の行く仏像を彫り出せたことはない」 座り込む鴨川、腕まくりをして自分の右腕を睨む。 その腕は所
●登場人物 朝倉 亮 <あさくら りょう> (48) 坂木 祐一<さかもと ゆういち> (28) 新山 雪 <にいやま ゆき> (16) ■都内の駅前 歩いているライターの坂本。 坂本M「俺はしがないオカルトライターの坂本。ウェブサイトやオカルト雑誌の隅で生きている木っ端ライターなのだが……」 坂本、ビルの電光掲示板を見上げる。 そこには『本日の自殺者数が過去記録を大幅に更新……』のテキスト。 坂本M「最近の流行には辟易としている」 ■アパート・坂本の部屋(夜) 作
シナリオライターとして関わっておりましたアプリゲーム『NieR Re [in] carnation』、先日サービスを終了しました。 保坂も最後まで楽しくシナリオ書かせていただきました。 本当に、本当にありがとうございました。
ご無沙汰です。 先日は誕生日だったので、お気に入りの記事を復活させました。https://note.com/good_knot5813284/n/ne50b0353b016 漫画はpixivに飛ばされてしまいますが、お暇ございましたら。
スクランブル交差点を、拡張現実の突風が吹き抜ける。 それは渋谷に張り巡らされた自然現象再現レイヤーの一部であり、墜落した肉の体を持つ人間では完全に知覚できないものだ。 しかし同じレイヤーに重なる個々のキャラクター型アシスタントAI――『ACT』はそれをリアルとして体感する。 女騎士型ACTの黒いロングヘアが風に晒され、ふわり羽根のように舞い上がる。 その絵画的な美しさに通りがかった人々の視線が集まり、同じく通りがかったACT達も目を惹かれる。 女騎士ACTもその
ノベライズさせていただいた『夜廻』文庫版、近日中に増刷されるとのこと。 https://amzn.asia/d/cGvYBVa 最初の刊行からもう6年ほど経つのにまだ読んでもらえるなんて、本当にありがたい限りです。
PHP出版より、私が執筆陣として参加している『マシカクショートショート 呼んではいけない』が発売されました。 こちらは共著で、内容は「声」「口」にまつわる様々な恐怖短編集。 保坂が担当するのは全15編の内、 『カウントダウン』 『声優デビュー』 『女の子だけの授業』 『泣き女が来る家』 『無言の結菜』 の5編です。 クトゥルフ神話っぽい話もあるかも……? 書店では児童書の棚に置かれていると思います。 ご購入のほど、どうぞよろしくお願いいたします~
悪魔のAさんが体験した出来事。 Aさんは色欲を司る悪魔として知られ、かの七つの大罪に相応する大悪魔である。 今日も細面の美青年姿に化けて、都会の真ん中を歩く。 好みの女性を見かけたら、取り憑いて淫猥な地獄に引きずり込もうと考えていた。 すると街角で、とても可愛らしい女の子を見つけた。 フリフリのワンピースで、ピンク色のツインテ。 下瞼が妙に黒い。いわゆる地雷メイクというやつだ。 こういう女は落としやすい、とAさんは経験上知っていた。 「ねぇ君、時間ある?」
悪魔のVさんは、子どもの姿で現れる。 相手を油断させて取り入るか、子どもに興味を持つ人間の心を乱すか。 どちらにせよ、子どもの姿で人間を陥れるのが趣味だ。 そんなとある日のこと。 Vさんはあるテーマパークに入り、ひとり歩き回っていた。 華やかな人混みは苦手なのだが、ここには多くの欲望が渦巻いている。 みな幸せそうに見えて、どこか心に闇を抱えている。 そんな魂をゲットできたら、仲間達にも自慢できる。 するとそのとき、Vさんはとある着ぐるみに目を惹かれた。
悪魔のLさんは、人間に召喚されたついでに旅をするのが好きだ。 赴くのは人間もなかなか訪れない秘境であったりするし、自然豊かな田舎であったりもする。 今回も日本の静岡浜松で召喚されたため、遠州鉄道路線を乗り継いで景観を楽しむ。 途中で温泉にも立ち寄り、行き先も決めずに気の向いた駅で降りる。 悪魔にしてはのんびりした趣味なのだが、Lさんは何百年もこの趣味でストレスを緩和していた。 永遠とも感じられる悪魔の時間、暇つぶしは重要なのだ。 そうこうしている内に、電