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漫才論| ¹¹⁴「THE W 2021」 オダウエダのネタは本当に"おもしろくなかった"のか❓

THE W 2021 の最終決戦の審査について,「オダウエダに入った3票は同情票。『みんなAマッソか天才ピアニストのどちらかに入れるから1票はオダウエダ入れたほうがいい』という気持ちで入れた審査員が3人もいて優勝してしまった」という声さえあがっていますが,さすがに,最終決戦でそんな恐ろしいことをする審査員はいないと思います。リスクがありすぎますし,そんなことをするメリットはほとんどないからです

それにしても「おもしろくない」という声が続出していますが,オダウエダのネタは本当に"おもしろくなかった"のでしょうか?

オダウエダの問題点

問題は,「おもしろくない」ということではなく,演技が「うまくない」ということだと思います。芸人は次の3つのタイプに分けることができます

❶発想で勝負するタイプ
❷うまさで勝負するタイプ
❸発想+うまさで勝負するタイプ

オダウエダは❶の「発想で勝負するタイプ」で,演技はあまりうまくありません。1本目のネタは特にそうでしたが,「発想」のよさが際立っていました。もしこれで演技がうまかったらここまで叩かれることはなかったと思います(「発想のよさ」といっても,それを「おもしろい」と感じるのかどうかは基本「好み」なので,「おもしろくない」と感じる人も当然います)

一方,「うまさ」に対する評価はそこまでばらつきは出ません。最終決戦に進出したコンビを「うまさ」で比べるなら,「天才ピアニスト>Aマッソ>オダウエダ」という順に並べる方が多いと思います。「うまさ」の点でそこまで差がなければ「あとは好みの問題だから」と納得できたのに,オダウエダは一番うまくなかった。これが最大の原因だと思います

「オダウエダのネタはおもしろかったのか?」という問いの答えは,ありません。これは本当に「好み」の問題だからです。ちなみに私は,一本目は「かなりおもしろい」と感じましたが,二本目は「一本目と比べるとかなり弱い」と思いました

「発想」と「うまさ」はどちらが大事?

「発想」と「うまさ」のどちらを重視するのかも,結局「好み」です。「ものすごくシュールなネタが好き」という人もいれば,「発想はおもしろくても下手なのがものすごく嫌」という人もいます。それによって,何を「おもしろい」と感じるのかが変わります。ですから,これはもう「好み」の問題であり,「どちらのほうがおもしろいのか」という問題ではありません

それでも,❸の「発想+うまさで勝負するタイプ」は,当然ですが多くの人に評価されやすいです。今回の大会でいうなら天才ピアニストがこのタイプです。ネタの設定にも「発想のよさ」があらわれていましたし,何よりうまい!「うまさ」の点では今大会でズバ抜けていたと思います

Aマッソは「発想で勝負するタイプ」で,下手ではないけどそこまで「うまくもない」というかんじだと思います。特に2本目のネタは,「センスのよさ」を感じました。「柄の悪さ」は売りではあるものの,そこはかなり「好き嫌い」が分かれると思います

「発想」と「うまさ」の
どちらで勝負する芸人が多かった?

TEAM BANANA紅しょうがは「うまさ」で勝負できるコンビだと思いますが,どちらもボケの「うまさ」が強すぎるので,「『ツッコミとのバランスの取り方』を見つけられたらいいのに」と思いました

ヨネダ2000女ガールズはもろ❶の「発想で勝負するタイプ」で,あまりうまくないです(女ガールズはアマチュアなので当然かもしれませんが)「それが苦手」と感じる人は一定数いると思います

ピン芸については詳しくないのでコメントは控えたいと思います

それにしてもスパイクはなぜ漫才やらなかったんだ・・・。漫才うまいのに・・・

笑いなんて「好み」です

何を「おもしろい」と感じるか,「発想」を重視するのか「うまさ」を重視するのか,その両方がそろっていることを評価するのか,これらは全部「好み」の問題です。好みの違いで言い争ってもらちが明かないので,「笑いなんて好みです!」ともっと大々的に言ったほうがいいと思います

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