【ホラー小説】 あじゅなみ様 ♯1『私(マユミ)の場合』
私の家には「のっぺらぼう」がいた。
そいつはダイニングテーブルの客席ににいつも静かに座っていた。決して動くことのないそいつを、私は「のっぺらぼう」と呼んでいた。名の通り、顔がないからだ。
正確に言うと、顔は日によって変化する。ある時はワイドショーに出演する有名人の顔をしており、ある時は私の友人の顔になっている。不思議なことに顔によって服も変わるようで、友人の時は私と同じ高校の制服を着ている。どこから用意したのだろうと不思議に思う。
不気味なことに時折、私になることもある。服の