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#ホラー小説が好き

ホラー小説への愛や、好きな作品・作家を語ってください!

急上昇の記事一覧

人間が怖い【#本紹介】

時々無性に、怖い本を読んでみたくなることがある。 怖いもの見たさというか。 たまたま書店で手に取ってパラパラめくると、続きが気になってしょうがない作品があった。 櫛木理宇・著『執着者』である。 著者の作品はたくさんあるのに、私にとってはじめましての作家さんである。 怖さ、というのはいろんな種類があると思う。 超常現象といった得体の知れない怖さかも知れないし、動物や虫に襲われるのも怖い。 でもこの本の怖さはズバリ、人間が怖い。 付きまとわれ、追い込まれる焦燥感を、じわじ

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幽世電車

 智臣は走っていた。  真夏のアスファルトの上を、息を切らし、頬を伝って流れる汗を拭いながら、線路沿いの道をただひたすら。  ぎらつく太陽の光が追い立てるように智臣の背を焼く。その熱が背中を中心に全身を走り、体温を、それどころか血の温度さえぐつぐつと煮立つように高めている気がした。  制服のスラックスとワイシャツは走るには窮屈だ。智臣は第二ボタンまでシャツのボタンを外し、息を吐いた。  高校の数学の授業を抜け出してきて二十分、走り通しだった。中学時代は陸上部だったとはいえ、高

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降霊の箱庭 ~終~

<前話> 一時間が経過して、約束通り空き教室にやって来た神山は、達季たち三人が教室のあちこちを調べているのを見て、目を点にした。 「あれ? どんな大きなことをしでかすかと思ったら、大掃除? アタシはもっとこう、能力バチバチのバトルみたいなのを期待してたんだけど」 「もう終わりましたよ」 まどかが呆れた調子で言った。 「それより先生も手伝ってください。一並君曰く、この教室のどこかに、大事な手紙が隠されてるそうです」 「え~……?」 何が何やらといった様子の神山だが、危ないこと

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掌編小説 | 白い靴

 白い靴を履いて出かけると、どこまでも行けるって噂だよ。 だけどね、そんな怪しい説を本気で信じるやつなんていないんじゃないか?俺以外には。だはは。  いやね、白い靴なんて履くのは本当に久しぶり。たぶん、ファーストシューズ以来じゃないかな。 それだって、写真に一枚残っているだけだし、嫌がって大あばれしていたようだから、履いていたかも定かじゃないよ。 だから、きっと、これこそがマイファーストホワイトシューズ。合ってる?  でね、ファーストシューズとホワイトシューズと聞いて思い

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降霊の箱庭 ~第十三話~

<前話> 地獄もかくやというほど赤く染め上げられた、教室。 窓の赤い手形は、粘着シートに貼り付けられた虫のように、べたべたべたべたと数を増やしていく。五月の明るい陽光は、その手形で塗り潰された窓を透過した結果、夕日のように赤くなって教室に差している。そして教室内には、赤い血と肉を晒した異形の「犠牲者」たちが蠢き、こちらに危害を加えようと、儀式を邪魔しようと襲い掛かってくる。 「達季に近付くな!」 相変わらず大声で校則を叫び続ける「長谷川」に、蓮が三鈷杵を突き立てる。 「一並

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【怖い話】こっくりさんですらない

三十路も近付くと結婚するやつが増えてくるから、大体地元の同級生って疎遠になっていきますよね。 そういう時に催される同窓会ってのが、やっぱり昔話に花が咲いて、歳を取ったなあという寂寞とそんなこともあったなあっていう郷愁が入り混じった、すみれ色のような少し切ない気持ちが、なんかいいなあって。 高校の同窓会でさえそう思ったから、次にやる予定の中学の同窓会はもっと楽しいだろうって、だって、小学校のやつらもほとんど同じ中学行ったから、小中合同の同窓会って感じなんですよ。 当日ホテ

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即身成仏の渡海ビデオ(その1&2)

即身成仏の渡海ビデオ(その1) その「渡海」動画(インターネットやビデオ?)を見るだけで、ある種の呪いや暗示がかかるらしい。話を知るだけでもダメらしい。 特に伝統的な寺社仏閣の僧侶や神職(または創価学会などの法華経詐欺や統一教会などのキリスト教詐欺、日本のカルトは左翼や在日コリアン)が見たり知ったりすると致命的であるらしく、「取り憑かれる」「祟り殺される」と。 この「渡海」とは「とかい」と読んで、即身成仏の最終奥義的な修行の一つ。船に乗って海の彼方の「浄土」を目指し、還らず

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降霊の箱庭 ~第九話~

<前話> ガシャァン!! という大きな音が体育館の方から聞こえてきたのは、達季がちょうど四時間目の授業を受けている時だった。 次いで、大勢のざわめきや悲鳴が、かすかに。 「何だ?」 隣の席の間宮颯志はじめ、音に気付いた何人もが窓の外に目をやる。 授業をしていた英語担当の教師は、様子を確認するため教室から出ていき、しばしの後に深刻そうな表情で戻ってきた。 「皆さん。急ですが、本日の授業は四時間目で終わりです」 えっ、と数名から声が上がる。 「給食の時間は設けますが、昼休みを帰

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実験的な作品ではありましたが『あじゅなみ様』の方が完結いたしました。どうしても「最小の文字数で恐怖を表現したい」という思いからこの形になりました。がっかりされた方は申し訳ありません……!でも、楽しかった! 作品▷ https://note.com/clever_phlox51/n/nb0bf5c76c331

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【作家志望】のアノお悩みを解決するには「営繕かるかや怪異譚」を2冊用意するところから始まる

こんにちは、アベヒサノジョウです。 この記事では、小野不由美先生の著書「営繕かるかや怪異譚」を読むことで解決する 「ある悩み」 について解説しています。 この記事を読んだら、きっと皆さんも2冊欲しくなるはずです。 注意)同じ本を2冊買って欲しいというワケではありませんので、ご注意ください。 【ある悩みとは…】 作家志望や、読書家の方でも抱える悩みの一つに、 建物の描写が上手く表現できない(読んでも理解できない) ということがあります。 小学生の頃に「ハリーポッター

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【お詫び】該当作品の削除につきまして

日頃はシン・洒落怖をご拝読頂きまして、誠にありがとうございます。 noteとカクヨムに投稿していくうちに、少しずつではありますが、スキやコメント、フォロワー様も増えてまいりました。とても喜ばしいことでございます。 SNS全盛期とも言える現代社会における可処分時間の消費方法において、依存性中毒性すら持ちうるショート動画を筆頭にした受動的娯楽を差し置いて、オールドスクールかつ能動的な「文章を読む」という選択をしていただけた事に、一介の読書好きという観点からも感謝の念が尽きませ

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【読書】 そんなつもりは・・が地獄の入り口。 ~ 懲戒の部屋 自選ホラー傑作集1 筒井康隆 ~

筒井先生の作品は好きで、高校から20代前半くらいにハマって短編中心に色々と読んでいました。 それはそれはグロいものからファンタジーまで幅広い作品。 「宇宙衛生博覧会」は、表題の「衛生」がそれはそれは・・だったと記憶しています。 風刺が効いているお話が多く、今のご時世だと厳しい表現が多いかもしれません。 それが醍醐味なのですが(笑) こちらの短編集は、筒井先生の自選が10篇収められています。 表題通りに「懲戒」されてしまう人々は、ほんのちょっとだけふざけたばっかりに

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降霊の箱庭 ~第八話~

<前話> 「それじゃあ、また」 朝のHRが始まる直前。 紙に書いた連絡先を交換し、昼休みに再び集まる約束をした後で、達季と蓮とまどかは解散した。 達季が何か話そうとしていたのが気になったが、残念ながらそれを聞き出す時間はなかった。 「あまり首を突っ込みすぎるんじゃないよ~」 少し見せた真面目な雰囲気はどこへやら、神山はひらひらと手を振って職員室へ去っていった。相変わらず飄々として、掴みどころのない教師だ。まどかにとってはやりにくい人物である。 一時間目、二時間目と授業は進

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掌編小説 | 家族

 インターホンのカメラに映らないように顔を隠した。 「だれ?」と姉が訝しむ。 「わたし」とわたし。 「くだらないことやっていないで、上がってらっしゃい」  勝手に上がれないからインターホンを押したんじゃないか、とつぶやきながらエントランスのドアを通過した。  姉が住むのはマンションの三階フロアだ。廊下を歩きながら、ひとつひとつ、家の表札を読む。 「しばた…かなもり…にしだ…キム…さかもと……」  姉の苗字がなんだったかわからなくなってきた。姉は三回も離婚と再婚を繰り返している

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【ホラー小説】 あじゅなみ様 ♯1『私(マユミ)の場合』

私の家には「のっぺらぼう」がいた。 そいつはダイニングテーブルの客席ににいつも静かに座っていた。決して動くことのないそいつを、私は「のっぺらぼう」と呼んでいた。名の通り、顔がないからだ。 正確に言うと、顔は日によって変化する。ある時はワイドショーに出演する有名人の顔をしており、ある時は私の友人の顔になっている。不思議なことに顔によって服も変わるようで、友人の時は私と同じ高校の制服を着ている。どこから用意したのだろうと不思議に思う。 不気味なことに時折、私になることもある。服の

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漫画『アヤカシバナシ』宿物

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【掌編ホラー】ふんどし!(200字)

 とある高校の弱小野球部が、地方大会の初戦で、強豪校と試合することになった。  試合前日、弱小野球部のメンバーは、部室で円陣を組み、 「明日は褌を締めて掛かるぞ!」  と気合いを入れた。  翌日、バカな部員の一人が、本当に褌を締めて来たので、他のメンバーは笑った。  そして試合前、今度はグラウンドのベンチで円陣を組み、 「強豪校の奴らを、血祭りにあげるぞ!」  と気勢を上げた。  すると、褌を締めて来たバカな部員が、金属バットを握って、強豪校のベンチに殴り込み、  本当に血祭

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【恐い話】角の花束

とある会社帰りの平日、最寄り駅から家までの道で無性に煙草が吸いたくなり、行儀の悪いことですが人目につかない路地に入り込んで紫煙をくゆらせながら歩いてみることにしました。 このご時世ではなかなか見ないであろう、歩き煙草です。場所によっては過料も取られるそうですからとんと目にしなくなりました。 すると、曲がり角にまだ草花も新鮮で目新しい花束を見つけました。 そうか、どなたか亡くなられたような事故があったのかな、と少し立ち止まり、心の中で数瞬黙祷を捧げました。 すると 「

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【ホラー小説】 あじゅなみ様 ♯5(完結)『あじゅなみ様の場合』

がちゃん

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AIで作るショートショート#402「霧の中の願い」

静かな村に突如として訪れた恐怖。それは、夜ごとに現れる幽霊の噂から始まった。村人たちは一人また一人と姿を消し、残された者たちは呪いだと囁き始めた。 ある夜、若い男が幽霊を見たと言い張り、村中が恐怖に包まれた。その幽霊は、白い着物を纏い、顔は見えないほど長い黒髪で覆われていた。男は、幽霊が自分に呪いをかけたと叫び、翌朝、彼の家は焼け落ち、彼の姿も消えていた。 村の長老は、この呪いを解くためには、幽霊が何を求めているのかを知る必要があると語った。そして、最も勇敢な若者たちが、

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