和唐那依

色々「わからない」ので勉強中の28歳です。神戸市外国語大学卒業、留学経験アリ。鬱及び発…

和唐那依

色々「わからない」ので勉強中の28歳です。神戸市外国語大学卒業、留学経験アリ。鬱及び発達障害で精神障害者3等級ですが、頑張って生きてます。エッセイと旅日記とたまに小説を書きます。今のところ、四国八十八ヶ所巡りの結願が人生の目標です。

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  • 降霊の箱庭

    note創作大賞2024、ホラー小説部門応募作品。 とある女子生徒たちが「こっくりさん」をしてしまったことにより、中学校は恐怖と混乱に陥れられる。 主人公は果たして、この事件を解決できるのか。

  • 紫煙草子

    煙草屋と喫茶店を兼ねた「Here and There」には、今日もお客がやって来る。彼らは何を迷い、探し、怨み、心残りにするのか。店主の馬場立江さんは煙草片手に横柄な態度を崩さず、俺・泡沫栞は溜め息をつきながら彼女を手伝うのだった。

最近の記事

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降霊の箱庭 ~序~

こっくりさん、こっくりさん。 どうぞおいでください。 とある中学校でその日、秘密の儀式が行われていた。 儀式というのは大抵、人目を忍んで開かれるものだ。この小規模な儀式も例に漏れず、校舎の最上階・最奥にある空き教室にて開かれていた。 おまけに時は放課後。大多数の生徒は部活動に向かい、そうでない生徒も帰路についた後だ。 カキーン、と。 野球部のバッティングの音が、グラウンドの方角から聞こえてくる。 プァーン、と。 吹奏楽部の合奏の音が、反対側の校舎の中で響いている。 妙

    • 【近況】note創作大賞2024応募作、完成!!

      どうも、和唐那依です。 ここのところ連日小説を投稿していたので、この文体で書くのは久し振りです。何か新鮮。 今回もpicrew(ピクルー)にて、アイコンを作らせていただきました。 さて、タイトル通りなのですが。 note創作大賞2024応募作 ホラー小説部門 『降霊の箱庭』 約57,500字 完成しました☆ 今のところ、達成感より虚脱感のほうが強い……。 それでも自分の中の「5月中に書き切る」という目標は達成できたので、そこは素直に嬉しいです。 様々な気付きがありま

      • 降霊の箱庭 ~終~

        <前話> 一時間が経過して、約束通り空き教室にやって来た神山は、達季たち三人が教室のあちこちを調べているのを見て、目を点にした。 「あれ? どんな大きなことをしでかすかと思ったら、大掃除? アタシはもっとこう、能力バチバチのバトルみたいなのを期待してたんだけど」 「もう終わりましたよ」 まどかが呆れた調子で言った。 「それより先生も手伝ってください。一並君曰く、この教室のどこかに、大事な手紙が隠されてるそうです」 「え~……?」 何が何やらといった様子の神山だが、危ないこと

        • 降霊の箱庭 ~第十三話~

          <前話> 地獄もかくやというほど赤く染め上げられた、教室。 窓の赤い手形は、粘着シートに貼り付けられた虫のように、べたべたべたべたと数を増やしていく。五月の明るい陽光は、その手形で塗り潰された窓を透過した結果、夕日のように赤くなって教室に差している。そして教室内には、赤い血と肉を晒した異形の「犠牲者」たちが蠢き、こちらに危害を加えようと、儀式を邪魔しようと襲い掛かってくる。 「達季に近付くな!」 相変わらず大声で校則を叫び続ける「長谷川」に、蓮が三鈷杵を突き立てる。 「一並

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        降霊の箱庭 ~序~

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        記事

          降霊の箱庭 ~第十二話~

          <前話> さらに次の日の午後。 空はよく晴れ渡っていた。米野中学校にも等しく、五月の爽やかな風と太陽は降り注いでいた。 傍から見れば、そこに見えない暗雲が立ち込めていることなど全く分からない。せいぜい中学校近くに住む人が、最近静かだな、何かあったのかなと首を傾げる程度だ。 二階西側の職員室以外、人の気配のない敷地内。 その真下、職員玄関の扉が開かれた。 「十三時きっかりだね」 内側から開けたのは、神山。 そして外に立っていたのは、達季・蓮・まどかの三人だった。 「もう一

          降霊の箱庭 ~第十二話~

          降霊の箱庭 ~第十一話~

          <前話> 昨晩、一週間の休校を知らせるメッセージが、全校生徒の連絡網に届いた。 時間に余裕ができたと考えるべきか、一刻の猶予もないと考えるべきか。 ともかく達季と蓮とまどかは、校外で集合して話を進めることにした。昨日の朝のうちに連絡先を交換しておいて本当によかった、と達季は思う。 目的は、上島文美と鈴木ゆうから、こっくりさんをした当時の状況を詳しく聞くこと。 文美と達季は、これまた連絡先を交換してある。ゆうには文美が話を通してくれたようだ。待ち合わせ場所は、彼女らが住んで

          降霊の箱庭 ~第十一話~

          降霊の箱庭 ~第十話~

          <前話> 音楽教師・神山冴雪は、空き教室の前に立った。 今やこの米野中学校にいる者なら誰でも知っている、四階の封鎖された空き教室だ。 「…………」 廊下はシンと静まり返っている。 いや、学校全体にそもそも人の気配が全くない。 最近連続する生徒の不審死。「こっくりさん」を巡る噂。極め付けに衆人環視の中で、生徒指導部の長谷川が惨たらしい死を遂げた。他にもガラス片で怪我をした生徒、過呼吸やパニック状態に陥った生徒が多数おり、グラウンドは松原市の救急車全台が来たのではというほど

          降霊の箱庭 ~第十話~

          降霊の箱庭 ~第九話~

          <前話> ガシャァン!! という大きな音が体育館の方から聞こえてきたのは、達季がちょうど四時間目の授業を受けている時だった。 次いで、大勢のざわめきや悲鳴が、かすかに。 「何だ?」 隣の席の間宮颯志はじめ、音に気付いた何人もが窓の外に目をやる。 授業をしていた英語担当の教師は、様子を確認するため教室から出ていき、しばしの後に深刻そうな表情で戻ってきた。 「皆さん。急ですが、本日の授業は四時間目で終わりです」 えっ、と数名から声が上がる。 「給食の時間は設けますが、昼休みを帰

          降霊の箱庭 ~第九話~

          降霊の箱庭 ~第八話~

          <前話> 「それじゃあ、また」 朝のHRが始まる直前。 紙に書いた連絡先を交換し、昼休みに再び集まる約束をした後で、達季と蓮とまどかは解散した。 達季が何か話そうとしていたのが気になったが、残念ながらそれを聞き出す時間はなかった。 「あまり首を突っ込みすぎるんじゃないよ~」 少し見せた真面目な雰囲気はどこへやら、神山はひらひらと手を振って職員室へ去っていった。相変わらず飄々として、掴みどころのない教師だ。まどかにとってはやりにくい人物である。 一時間目、二時間目と授業は進

          降霊の箱庭 ~第八話~

          降霊の箱庭 ~第七話~

          <前話> 「え? 分かること、ですか?」 まどかの問い掛けに、達季は必死で頭を回す。 「そうですね……この学校のこっくりさんは、人の願い、つまり呪殺を引き受けられるくらい強力だったとか?」 「そうだね、その通り」 幸いにもまどかの合格をもらえる回答だったようだ。 「三つほど考えられる説があって、一つはまさに一並君が言ったものだよ。だが確率の低い説でもある。 今更語るべくもないが、『こっくりさん』とは固有の霊を指す言葉ではない。漢字で書くと『狐狗狸さん』となる通り、動物霊が呼

          降霊の箱庭 ~第七話~

          降霊の箱庭 ~第六話~

          <前話> 狭い場所に閉じ込められていた。 冷たい。 鉄製の天井と壁と床に囲まれた空間は、牢獄そのものだ。 暗い。 空気窓こそ開いているが、そこから漏れ来る光はあまりに心許ない。 身じろぎすると、一緒に閉じ込められたバケツや箒が、がたんと背後の壁に当たった。 ――出して! 空気窓に口を付けるようにして、叫ぶ。 ――出してよ! 扉に体当たりするが、踏ん張りの利かないスペースでは大した力も出ない。 早く、早く出なければ。 そして探さなければ。 僕の、大切なものを。 ―

          降霊の箱庭 ~第六話~

          降霊の箱庭 ~第五話~

          <前話> また夜がやって来た。 ベッドの上で布団にくるまって、鈴木ゆうはじっと耐えていた。 あの日……空き教室でこっくりさんをした日から、一体何日が経ったのだろう。学校に行かず家に引き籠りっぱなしで、日付や曜日感覚はとうに失われていた。 いやそもそも、そんなことを気にする余裕など、今のゆうには全くなかった。 二つの「恐怖」に苛まれていたからだ。 一つは、非難されるかもしれない恐怖。 奈々絵の通夜にも葬式にも、結局出席することができなかった。できるはずがない。奈々絵の死

          降霊の箱庭 ~第五話~

          降霊の箱庭 ~第四話~

          <前話> 「ほんっとに馬鹿みてぇだ」 図書準備室を出てすぐ。 溜息交じりに、割垣蓮は呟いた。 蓮はそもそも面倒臭がりだ。 宿題も委員会活動もきちんとこなすが、サボれるものならいくらだってサボりたい。そうしないのは、教師に叱られるという上位互換の面倒を避けるために他ならない。 服装や髪型は、この面倒な日常に対するせめてもの抵抗だった。 最初は当然、叱られた。生徒指導部室に呼び出され、完全に不良生徒のレッテルを貼られた。しかし一年生の夏頃、クラスの友人を私刑していた犯人をとっ

          降霊の箱庭 ~第四話~

          降霊の箱庭 ~第三話~

          <前話> 喧々囂々の騒ぎが収まった後。 図書準備室内の椅子に、当事者たち三人は座っていた。 「こちらの言い争いに巻き込んでしまって、すまなかったね」 革張りの回転椅子に腰掛けた三年生の女子生徒は、倉闇まどかと名乗った。 「とはいえ、ええと、一並君。『よく分かりません』という回答はいただけないね。質問に対して、深く考えもせずに『分かりません』と言うのは逃げだ。もっと自分の意見をしっかり持ちたまえ」 「ごめんなさい……?」 あれ? 僕、何か説教されるようなことしたっけ? 達季

          降霊の箱庭 ~第三話~

          降霊の箱庭 ~第二話~

          <前話> ――どうしてこうなったんだっけ。 図書準備室にて。 一並達季は困り果てていた。 「なァおい一年生。お前は俺の味方だよなぁ?」 右方に立つのは、二年生の男子生徒。 既に身長は百七十センチに達していると思われ、その証拠として今も達季を威圧するように見下ろしてくる。 着崩した制服、オールバック気味に流した髪。達季の苦手な、不良またはヤンキーと呼ばれる部類の人間だった。 「一年生君は私の味方だよ。そうだね?」 左方に立つのは、三年生の女子生徒。 身長は百五十センチに

          降霊の箱庭 ~第二話~

          降霊の箱庭 ~第一話~

          <前話> まるで、白い城塞だ。 校舎を見てまず初めに浮かんだのは、そんな感想だった。 職員室は、四階建ての校舎の二階部分、ちょうど生徒玄関を見下ろす位置にあった。この中学校の校舎全体が城塞ならば、この職員室はさしずめ物見櫓といったところか。 学年主任とクラス担任に挨拶を済ませ、母親が帰っていった後。 「じゃあ、行こうか」 三十代くらいの女性担任に促され、職員室から教室に向かうことになった。 かすかに生徒たちのざわめきが聞こえてくる渡り廊下を、担任教師と並んで歩く。聞けば

          降霊の箱庭 ~第一話~