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半熟日和

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“未熟で、ままならない日々を書く”。毎日書いている400字以上のnoteをまとめています。現在は土日祝日を除く週日更新です。800本を機に「毎日note」から「半熟日和」にマガジ…
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2022年2月の記事一覧

ヴェネツィアと、当たらない天気予報。

カメラロールを遡ると、約3年前、2019年5月の写真にたどり着いた。 イタリア・ヴェネツィアで撮影したものだ。アパートのような建物と建物の間の一本の路地。その奥に向かって歩いていく男性の後ろ姿が写っている。写真全体がちょっと明るいので、晴れているように見える。しかし、石畳の地面に注目してほしい。濡れているのがわかるだろうか。上のフードから背中の真ん中あたりが蛍光イエロー、そこから下半分が黒で二分されたジャンパーを着ている男性がフードをかぶっているのも、雨を避けるためだろう。

非日常感を味わうには、自分から足を踏み入れるしかないかも。

飛行機や新幹線に乗る直前、背負っていたリュックサックをおろして前でぎゅっと抱き抱える。忘れ物はないだろうか。着いた先で困ったことにならないだろうか。でも楽しみだなあ。緊張と高揚感で胸が高まっていく。 小中の修学旅行。小学生のとき、新千歳空港で親に見送られながらひとりで飛行機に乗って、千葉県に住む祖父母の家へ泊まりに行った夏休み。どの旅行も、早いときには行くと決まった1ヶ月くらい前からなんだかそわそわして、1週間前から荷づくりをはじめていた。着替えやハンカチ、本のセレクト、念

目覚まし時計は2個でお願いします。

目覚まし時計は2個以上ないと不安になる。だからその分、鳴らす必要のない休みの日がたまらなく好きで、いつも待ち遠しい。決めた時間に起きなきゃいけない時は、「目覚まし時計2個作戦」を決行する。 ベッドの棚の部分に1台、ベッド壁際の窓のフチに1台配置。最初にベッド側の目覚まし時計が鳴る。IKEAで手に入れた白いコロンとした四角の時計。アラーム機能以外にも、温度計やタイマー機能も付いていて、本体の向きを変えると切り替えられる(でもアラーム以外で使ったことはない……)。 ベット側の

集大成と、切り取りたい瞬間と。

まぶたが重い。けれど書かねばと思ってポチポチとキーボードを打っている。 今日(厳密に言えば昨日)、バトンズの学校のオンライン懇親会があった。そのあと仲間のnoteを読むと、「バトンズの学校1期が終わりました」といったことが書いてあったりして、「ああ、そうか、終わりなのか」とちょっと驚いてしまった。終わり、というより集大成を迎えた、といったほうが個人的にはしっくりくるかもしれない。やっぱり学校は続くから。でも、一区切りついたことは確かだ。 懇親会で、パソコンの画面上にズラー

地元の図書館デビュー。

この前、地元の図書館に行ってきた。行政センターの2階に併設されている。館内に入るのは初めてで、それまでは選挙期間中、同センターの3階にある投票会場へ階段を使う時に横切るだけだった。今住んでいる場所に引っ越してから、13年間(!)一度も足を運ばなかったことになる。 普段、本は紙か電子書籍で購入している。けど最近、置くスペースが無いなど物理的な限界を感じるように。それに、自分が普段読まないジャンル、興味がないジャンルの本に触れてみたいとも考えていた。そうなると、図書館はその問題

半径3メートルの世界を、やさしい言葉で書きたいのかもしれない。

「書類の文章とずいぶん印象が違いますね~」 私の履歴書と課題作文を眺めながら、誰かが言った。不意に思い出した就職活動中のワンシーンだ。印刷会社、介護施設の会社、スーパーマーケットの会社、刷毛の会社……おぼろげな記憶を辿り、面接を受けたいくつかの会社を思い浮かべてみる。けど、どこの会社で、何回目の面接で、どんな面接官に言われたかは覚えていない。スーパーマーケットはちがうと思う。 「文章だけだと、堅い、ちょっと怖い感じの方かなって思っていました。お話すると、結構明るいっていう

猫でも犬でもなく、シロクマ派。

2022年2月22日。2が6つ並んで「にゃんにゃんにゃんの日」ということで、猫の日が例年よりもちょっと盛り上がっている……らしい。犬の日(11月1日)より毎年盛り上がっている気がする。なぜなんだろう。猫耳がアイコンにしやすいから? 私は犬猫どっちも好きです。見かけるとヒャア! と嬉しくなる。 でも犬猫よりも、クマ、もっと言えばシロクマのほうが好き。 物心ついた時から、そのビジュアルの虜だ。リアルでもデフォルトされたものでも。動物園に行ったら一番みたい動物ナンバーワン。むし

7時37分からの朝ドラ。

朝起きて、洗面所の前に立つ。『ズートピア』のニックのヘアバンドで前髪を上げる。洗顔料で顔を洗った後、タオルで水気を拭き取る。そのあと、鏡のすぐ下の位置に置いてある置き時計を見て、7時37分まで何分あるかを計算しておく。20分は欲しい。着替えて、化粧をして、ヘアアイロンで前髪を整えたい……。 洗面台の時計は7分早い。なので37分は、正確には30分を指している。7時30分から何があるのかというと、朝ドラである。 いま放送されている連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』が毎日の

悩んだらスンドゥブチゲ。

出社したとき、だいたいランチは近所にあるセブンイレブンで購入します。昼休憩の時間は決まっているので、自分が買いに行きたい時に行くわけじゃないし、お腹があまり空いていないときもある。なので実際買いに行くとき、食べたいと思うものがないな……と商品が並ぶ棚をウロウロするときも少なくありません。 そんな時に重宝しているのが、インスタントのスンドゥブチゲです。辛いから、食欲がない時でも結構食べやすい。 辛いスープの素と、豆腐がカップに入っています。これに、とり雑炊のフリーズドライか

10年後も必要な服。

「後ろを向いていただけますか?」 扉を開けて出てきた私の姿を一瞥したあと、店員さんが言う。くるりと後ろを向くと、目の前には試着室の全身鏡があり、全身真っ黒の私が写っている。なんだか、4、5歳、年を取ったみたいで不思議な気分だった。 礼服を買いに、紳士服売り場へ来た。良くも悪くも着る機会がなかったのだが、母と「いい加減買っといた方がいいだろう」という話になって、重い腰をやっと上げた。 店内では、黒いワンピースがハンガーラックに何点か並んでいる。2着に目星をつけて、店員さん

印字で一喜一憂する。

通帳記入が好きです。ATMに開いた通帳を入れて、タッチパネルを選択し、出てくるのを待ちます。そして数字の増減を見ながら、一喜一憂する。お預かり金額に新しい数字が増えているとうれしいし、一方で、お支払金額に見覚えのない数字があると、「?!」と慌ててクレジットカードの明細をネットで確認します。すべて身に覚えのある支出で、がっくり肩を落としがち。およそ1ヵ月前の自分を呪います。そうやって過去の自分を戒めてみますが、正直一過性です。上手に倹約ができません。うーむ、ただただ数字に踊らさ

カバンの紐がちぎれた。

先週の水曜日、朝の電車内で肩に下げていたショルダーバックの肩紐部分が引きちぎれたんです。席に座ろうとしたとき、突如左肩が軽くなると同時に「どんっ」と落ちる音。さっと足元に目をやると、カバンの本体が倒れて落ちていました。不思議なもので、頭で理解するよりも先に体が動く。すぐにカバンを拾い上げて、何事もなかったかのように席に座りました。カーッと恥ずかしさで体温が上がっているのに気づいたのはそのあと。席はまばらに空いていて、周りに乗客が少なかったことがちょっとだけ救いでした。 カバ

自分に風穴を開けたくて。

去年の11月から12月頭にかけて、3回占いを受けました。30分以上のがっつりした占いで、それぞれ占い師の方も違う。アプローチもさまざまで、西洋星術、霊視、タロット、姓名判断……と三者三様。ちゃんと受けたのはこの時が初めてでした。 占いを受けたいと思ったきっかけは、突如ふって湧いてきたある悩みがしばらく頭から離れなかったことです。3回も受けたのは、結果に納得がいかなかったわけではありません。結果について、ここに詳しく書くつもりはないけれど、それぞれのやり取りの中に被る内容があ

どうぞどうぞ合戦。

カフェで作業をしてたら、私が座っている隣の隣のテーブル席に20代前半くらいの女性2人が近づいてきた。「奥どうぞ」と、ソファー席を手で指し示しながら女性の1人が言う。すると、 「えっ? いいの? やったやった〜ありがとね、嬉しい!」 と、もう1人がルンッとした声色で返事をする。そのままいそいそと席へ座った。「やった〜」と素直に返した女性、その一連のやり取りが、なんだか素敵だなあ、と思った。 もし自分が同じやり取りをするとなると、「どうぞどうぞ合戦」が起きやすいと思う。この