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世間で言うところの下積み経験はないけどさ

『売れるまでは大変でした、毎日のようにバイトして…』

『下積みは長かったです。なんせ10年はテレビにも出た事ないですし、お仕事もなかったので』

僕は辛いというか不安な時にこういった芸能人の下積み時代の話をよく見る。この心理は本当に恥ずかしい限りなのだが「自分よりも大変だった人が今はこうして成功を収めている」という自身の精神安定剤として使っているのだ。
下積み時代、それは安定した仕事以外をやっている人の話からよく聞くものである。例えば一芸でお仕事をもらっている人とかで僕は芸人さん・声優さんとかでよく見かけます。

輝かしい地位を築いた人の背景として描かれる下積み。けれど実際、社会人でも下積みなんてものはあると思っている。特にまだ入社したての1年目なんてのは下積みと言えるだろう。

そんな中で僕がよく見かける下積みエピソードは芸能人や声優さんの下積み話だ。
今でこそ有名になって、ゴールデンの時間帯で司会をやったり、超人気アニメの声優として花ひらいた人達の過去に積んだ苦い経験を好んで見ている。

だがそんな話を読んでいく中で自分の心の中では暗く粘ついた『自己嫌悪』が襲ってくる。
自分は実際の所、このような下積み経験は一切ないのだ。
いや、積んだ事はあったのだがよく見かけるような苦労話は特にないのだ。全くネタにすらならない。

仕事がなかった話や極貧話など語れるほどの物はなく、社会人として働きながら趣味のペースでコツコツ投稿していた矢先に自分のやりたい事、好きな事で稼げる手段が見つかり地道に続けたと言うだけ。

羨ましいのだ。そんな酸いも甘いとなんて経験はどうしてと光り輝いて見えてしまう。
それはきっと、どれだけ壁に当たったのかと言う証明にもつながるのだろう。

多分、チャンスはあったんだと思う。
そんな刺激的で壁しかないような日々を感じさせるタイミングは確実に存在していた。だから僕はあの人たちのように辛い経験を!なんて思ってみたは良いけど「安全」という保証もない不安定な綱渡りは自ずから避けていた自分にとってきっとやらないものだろうし、これは無いものねだりなだけで、目の前に訪れた下積みの種をメンタルも弱い自分が持てるはずがなく羨ましいだけ。

それはもしかして山を登っている時に周りは重装備の中、自分は軽いリュックサックを持っているからだ。軽い軽量の手荷物で周りとは違うと言う不安感。
重装備というのは、人が今まで歩んできた経験である。そんな中で僕は何となく上手くいった、趣味として初めて月に1回から週ペースといつの間にか書けるようになって今では正社員の仕事を辞めることができたのだ。

「ちょっとずつ」

だけど僕にも下積みはあったのかな?ただ、周りに言えるだけの辛い経験は無い。ただ、ちょっと上手く出来ただけ…ただ、それだけの話

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