バットウ 第2話

第2話 再会
 
中学校の入学式を終えて同じクラスになった抜刀とアッキーは、同じクラスにかわいい女子がいたことも手伝ってテンションが上がって大声でしゃべりながら帰宅している。
「モモちゃんって隣の小学校でも人気だったらしいよ」
「かわいかったなー」
「明日話しかけてみよ」
「俺の方が先に話しかけるぜ」
新しい環境にワクワクしながら、なぜか有頂天になって歩く2人。

「おい、お前ら」
後ろからどこかで聞いたことのあるような声が・・。
振り向くとあの忌まわしい2人の姿が。その瞬間、あの辛く屈辱的な出来事が脳裏に鮮明に蘇り、抜刀とアッキーの心はざわめき、瞬時に鼓動が高まった。
改めて見ても明らかに不良の身なりをした2人は、天国から地獄に突き落とされた顔をした抜刀とアッキーに
「久しぶりだなー。元気だったかー?」
「ちょっとこっち行こうか」
道路脇の目立たない場所に連れて行こうとする。恐怖と緊張が抜刀とアッキーの心を支配し、彼らは何の抵抗もすることができず足を震わせて従うことしかできない。

「またお前らかよー?」
突然、声が響く。
なんとその声の主は、あの体の小さな男の子。彼は抜刀とアッキーの前に歩み寄り、不良との間に立ちはだかる。
そして、不良の2人に向かって冷たく鋭い視線を向け
「やるか?」
後ろ向きだがはっきりそう聞こえた。
抜刀は、凛々しい後ろ姿の背中が急に大きくなったような錯覚を覚えた。

不良の2人も一瞬動揺し、
ケンジが
「お前また邪魔するのか?俺たちに手を出してタダで済むと思うなよ。」
30年以上前から使い古された言葉を吐くと、
もう1人の方が
「どけっ!!」
威嚇するように大声で怒鳴るも、少年は微動だにしない。
「お前ら2人で同時にかかってきてみるか?」
少年の声は冷静かつ断固としていた。
2人は互いを見つめ合い、即座に決断を下し一目散に逃げていく。

抜刀とアッキーは、少年に驚きと感謝の気持ちを抱えながら、その場に立ち尽くしていた。
アッキーが
「ありがとう。また助けてくれて。」
少年は謙遜するように微笑むだけで何も言わない。

抜刀とアッキーが早速汚れてしまった真新しい鞄を拾おうとした隙をつかれ、少年の姿はなくなっていた。
アッキー「全員同じ制服だったよね」
「確かに」
「てことは、あの不良2人もあの少年も同じ中学校!?」
抜刀は、頭を整理するのに少し時間が掛かったけれど、不良2人と同じ中学であるという「恐怖」よりも、あの少年と同じ中学である「希望」の方が少しだけ優った不思議な感覚を覚えた。

第1話 バットウ 第1話|かいのすけ (note.com)
第3話 バットウ 第3話|かいのすけ (note.com)

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