瑣末なもの

今日私は、毒抜き注射を打たれていながら毒を打ち込まれたような錯覚を起こす。

例えば春、桜前線をなぞるようにして出迎えて、長く短い陽の光に恍惚とした別れがそれを遮る。新しい日の目を浴びず、眠ったままの春は言葉を蓄え、寝刃のように置いてけぼりで埃を被る。またもや日が経つにつれ、その後悔も次の季節への期待と恐怖に移り変わるだろう。
これはいつの日かと悩むほど無駄な事で、もしかして、と思うほど私達は小さな刃を研ぎ続けた。
最悪な結末とは、もう使わなくなったコップみたいに片隅に置かれていたし、だから最悪な結末になったのだろうと、私は納得した。勝手に、わたしはひとり、笑っていた。

予測変換なんていつも変わらないあなたが好きでした。秋と答えと落葉のように
すぐさまぼんやりとして
すぐに冷たくなった恋でした。

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