直前対策に活用するための第6回合不合フィードバック(物語文)

先日の合不合お疲れ様でした。皆さん手応えはいかがでしたでしょうか?僕がざっと解いた所感では、前回の難易度を踏まえて優しくしたのかなという印象です。(一問、んんっ!?というような問題もありましたが...笑)感覚的には平均点は男子が85〜95点、女子が90〜100くらいなのかなあと思っています。(執筆12/11時点)さて、模試は受けて終わり、結果に一喜一憂するためのものではありません。むしろ点数よりも模試の結果に基づいて自分の弱点を炙り出し、克服に繋がる事こそが大切。そんな訳で僕は毎回大きな模試に関してはとき直しや弱点克服に役立ててもらうためにフィードバックを配るのですが、今回は今年度最後の合不合と言うことで、noteに簡易版としてアップしてみたいと思います。

1(1)場面把握

初っ端から若干トリッキーですよね。僕はこの問題に関しては、正誤以上に各受験生がどう向き合ったのかが大切だと思っています。(ちなみに僕は授業で「読みながら時間・場所が変わったらチェックを入れる読み方」を推奨しているため、僕の生徒さんは比較的時間を取られる事が無かった模様。)おそらく解答への最短経路は第三の部分でイ、ウの2択に絞り、第二の部分が85行目なのか89行目なのかを吟味するというやり方なのではないでしょうか。さて、先にも述べましたが個人的に大事だと思うのは正解以上にこの問題にどう向き合ったのかという部分。この問題への向き合い方は、おそらく次の4パターンに大別できるように思います。a.即飛ばして後回しして制限時間いっぱいでローラー作戦b.一読後にパッと解けたc.先に設問を読んだため意識しつつ読み進めたd.設問に惑わされて時間を大量に浪費このうち最も避けねばならないのはd、ついで予防線を貼る必要があるのはbの人です。dの人は言わずもがな、おそらく反省が甘くなるのはbの人でしょう。今回bで4点を奪取できたという人は、ゆめゆめそれが偶然の要素が高いことを忘れてはなりません。(オーバーss65の常連は別ですが...)本番に対する心がけとしては「苦戦した場合」を前提に立ち回りを想定するべきです。したがってbの人は仮にあっていたとしても、細かく解答への過程の分析をお願いします。

1-(2)(3)空欄補充

こちらは言わずもがなノーミスで突破したいところ。特に、付属中(僕のクラスを想定した言い回しです)志望の方は!上記に該当する方で間違えた人は慣用表現等の復習を冬休みまでに済ませてください(ここは担当クラスに関してはテキストで具体的に指示を出しています)問2で間違えた人は①それぞれの表現を用いて例文を作成②それが5感のどこに紐付くかを書き出して擬音・声・態語の解像度を高めてください。問3は知識不足なので、特に高槻、同女あたりを想定する方は①慣用表現の知識の補充、②語句の意味を問う問題に対する[文脈<語義]の姿勢の再確認をお願いします。

1-(4)選択問題

40〜52行目あたりにイコの気持ちが明確に書かれているので比較的優しい問題であったと思います。「いつも同じが大好きなのに(個性を貫くおチヨさんと)一緒に思われるのが嫌なんて、言ってることがおかしい」という表現を踏まえれば正解に辿り着けるはず。おそらくこの問題を間違えるパターンは「イコのおチヨさんへの羨望」が把握できていなかった場合でしょう。
ウで間違えるのは避けたいところです。この選択肢で間違えた方は、読みながら情報がぐちゃぐちゃになっている可能性があります。
ここからひと月の物語文の演習では、登場人物ごとの性格把握を強く意識しましょう。
イ、エで間違えた人は、部分の要素に引っ張られすぎです。
まずは復習する際、これらの選択肢が二つの要素から構成されていることを意識してください。

1-(5)選択問題

こちらも直接的に書かれているので比較的易しい問題といえるでしょう。
(4)に比べると選択肢は明確に誤りがある反面、本文中の表現が直接使用されている率が増えているため、この問題を間違えた人は、内容ではなく本文中に使われている語句だけを見て機械的に問題に向き合うような解き方をしている恐れがあります。
この問題の正解の根拠が解答の解説を読んでもわからない人は、もしかしたら「読む」という訓練がまったくできていないかもしれません。
冬休みは志望校の過去問の解き直しとともに、内容をまとまりにわけながら(要約のように)読む訓練をつむとよいでしょう。

1-(6)記述問題

①イコは俄然/②おチヨさんが気になりだした
「俄然=急に/にわかに」ということで、①何をきっかけにしたのかと、②おチヨさんにどういう思いをもっているかの2点を抑える。
まずきっかけは直前に書かれた「自由な服装の女学校に通う女の子たちの様子をみたこと」でしょう。
「自由」であるはずなのに「女学生らしさ」に納まる姿をみて、改めておチヨさんが気になったのです。
この「気になった」のは「うらやましさ」と考えるのが妥当でしょう。
あとは直前にある女学生たちの態度との対比を意識しつつ57~59行目の内容を整えれば模範解答のようになるはずです。

1-(7)語句の意味

いずれの語句も「行動」を指すものなので、物語文の解く際の王道である「きっかけ→心情変化→行動」のうち、きっかけと心情変化を押さえられていれば正解にたどりつけた問題であるように思います。
特に反省という観点でいえばaの分析が大切でしょう。
選択肢には「向上心」「好奇心」「恐怖心」の3語が使われているわけですが、特にエで間違えた人は要注意です。
ウとエで間違えた人は、「向上心」と「好奇心」の意味の差異にこだわれなかったという可能性が考えられます。
これがたまたまならよいですが、頻繁に選択問題を2択に絞った末に間違えるのであるとしたら、最後の絞込みの過程で単語レベルのこだわりを持つ習慣がついていない可能性があります。
特に関西であれば高槻中学校さんなどがそういった細部の語句に着眼した絞込みも必要になります。
今回エで間違えた人は選択問題を解く際の方法論を確立させましょう。

1-(8)空欄補充

比較的易しい空欄補充問題でした。
ここが解けなかった場合、また解けたとしても時間がかかってしまった場合は、相場観を持って空欄補充問題に取り組む訓練が足りていない可能性があります。
自分の志望校に素早く空欄補充の語句を抜き出す情報処理力が求められないのであれば、時期的にそれを鍛える優先度は高くありませんが、もし必要な人は以下を参考にしていただけたら幸いです。
空欄補充系の問題が苦手である子に関して、僕はよく「2つの相場観」という話をします。
ひとつは本文のどの辺りにあるのだろうという内容把握の相場観、そしてもうひとつは空欄の前後からどういった種類の言葉が入りうるのかと考える設問洞察の相場観です。
まず、製造さんのかかわり方に対してイコが不快感を抱きつつあるというところから、89~102行目あたりであると「あたり」をつけます。
この感覚が内容把握の相場観です。
語句を探しに行く際に、おそらく「何行目から何行目のあたりだろう」という予想を立てる習慣がない、もしくは立てられない場合は、ここの特訓が効果的です。
次に空欄の前後の語句とのつながりに着目すると、(1)はセイゾウさんを説明する修飾語(さらに最近のイコに対する接し方に関するもの)、(2)は「~に従う」と下に格助詞がついていることから、「従う」というニュアンスを含む名詞であるという見当、「~こと」という形から、(3)は自分の行動に対してどんなことをするのか、そして(4)はそれに対する印象を示す言葉であると想定します。
このように、前後関係から内容以外の想定を行うのが設問洞察の相場観です。
こちらは必ずしも必要がないスキル(特にざっと読むのが得意な人には)ですが、解くのが遅く、抜き出しが多い学校を想定する場合は練習しておいてもよいでしょう。
設問洞察の相場観を身につけたい場合、抜き出し問題に向き合う際に、どういう根拠が考えられるかということをノートに書き出してみてください。
その分析の精度が上がれば、今からでもスピードがつくはずです。

1-(9)選択問題

表現の解釈を問う問題です。
志望校が新規性のある問題を好む傾向がある場合はしっかりと復習しておきましょう。
もちろん解き方にはいろいろあると思いますが、①6年生が、②今の時期から、③ある程度一定の方法論に沿って解ける力を身につけるという制約を踏まえれば、解釈の問題は要素ごとに分けて消去法で情報を精査する情報処理型が現実的でしょう。
今回の問題はそれを試すのには最適の問題であったように思います。
本文全体を通したイコの想いを基準に、それぞれの選択肢の誤っている箇所にチェックを入れる練習をしてみてください。

1-(10)選択問題

全体の心情を問う問題です。
文学的文章の心情を問う問題には、①部分の心情を問う問題と②全体の心情を問う問題があり、それらは絶妙に解法がことなります。
毎回後半に来る心情を問う問題で点数を落としがち、もしくは後半の記述で部分点が多いという人は、ここの違いを理解して問題に取り組めていない場合があります。
部分の心情であれば傍線部を含む箇所の「きっかけ→心情変化→行動」の流れを的確につかむことが基本てきな作業になりますが、全体の心情把握の場合、そうした心情変化や登場人物とのやりとりを通して、「成長」や「挫折」、どんな「価値観の変化」が主人公にあったのかを把握したり、物語が展開するなかで読者に伝わってきた主人公の共通する想いを押さえておく必要があります。
今回であればそれは自分を貫くおチヨさんへの羨望、自分の行動を制限しようとするセイゾウさんへの反抗心、本屋さんにある外国の書籍を見るわくわく感から見える「ここではない、どこかへ」の羨望でしょう。
イコの物事への接し方をとおしてこの部分が押さえられていたら、積極法で正解にたどりつけるように思います。

需要があれば2に関してもアップしようと思います。
この記事が直前期の学習に少しでもお役に立てば幸いです。

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